今年10月に開催されたフロリダハリケーンプロ50歳以上級で4位の成績を残したHiromi May (めい・ひろみ/51)選手。様々なケガを経験したHiromi選手がたどり着いたトレーニング方法を伺った。
Hiromi選手が一番好きな部位は脚。しかし4~5年前からの脊柱菅狭窄症で坐骨神経痛が両脚に広がり、まともな脚トレができないのが現状で、それによってハムが弱くなり、ハム系の種目に苦戦しているという。
「脚トレに関しては、狭窄症の術後はひたすらレッグエクステンションとシーテッドレッグカールをしていました。また、加圧トレーニングを取り入れています。背中に負担のかからないマシンやエクササイズは別の方法で対処いたしました」
「ケガで大好きな筋トレができない期間は、ほぼ我慢大会(笑)」高重量を扱うのが楽しくなってくる矢先によくあることで、今は高重量でなくても効かせる方法で、とにかくケガを回避するように努めているという。
そして、2021年に脊柱菅狭窄症で手術をした後くらいから股関節の違和感を感じるようになった。
「数年抱えていた脊柱菅狭窄症による座骨神経痛は治ったものの、立っていることが厳しくなるほど左脚が痺れが残ってしました」
その後、それをかばったせいか左股関節も痛くなり大量の痛み止めを服用してしまうことになったHiromi選手。
「ブロック注射を何度も背中に打つ対処をしたのですが全く効かず、持病の小径線維ニューロパチーの痛みに追い打ちをかけるように、次々とやってくる痛みに負けそうなときもしばしばありました。人前に出ると、なぜかその痛みをあまり感じず、また頑張り続けてしまうという……。持病のときといい、身体とのコミュニケーションが一番大事なボディビルをしているのに、また自分の身体が悲鳴をあげているのを無視してしまいました。反省しています」
Hiromi選手はどのようなトレーニングサイクルを組んでいるのか。
「仕事もしていたので、最初の方は週に3回くらいでしたが、試合に出る決心をしてからは、分割法というものを教わり、週に5日行っていました。一回は50分くらいでオールアウトしています。今は、身体のあちらこちらが故障してて週に2~3回とかなり減っておりますが、とにかく痛めたところの回復やリハビリに重点を置いています」
「脚、肩(フロントのときに胸の上部を入れる)、背中(リアデルトを入れる)、脚、肩(大円筋を入れる)の順番で、週に5回行ければラッキー、そうでなくても3回行けば全ての部位が回せるようにしています。例えば、今週は週3回しかこなせなかった場合、翌週はまた脚からというふうにリセットをします」
トレーニング中は綺麗なフォームと丁寧な筋トレを意識。音楽は聞かず、マインドマッスルコントロールに集中することを大切にしている。
そして、筋肉にしっかり効かせられて、関節には負担のかかりにくいギアやテクニックを駆使してトレーニングを行っている。
「ナルシス山本さん(日本選手権の元ファイナリスト山本昌弘選手)が開発したギアを駆使してのトレーニングは、特に肩と背中に効果的で、まさにそれでわたしの上半身が発達したと思っても過言ではないです。様々なケガをされた方が開発されたので、本当によくできていて、筋肉への愛を感じます」
Hiromi選手は3人の息子の母親で、家事や育児、仕事とトレーニングはどのように両立していたのか。
「家族や仕事に差し支えないように、会社勤めのときは、早朝にトレーニングをしていました。そのあとは通常の生活というライフスタイルに変えました。仕事の後は、疲れてすぐ家に帰りたいですし、子どもが小さいときは習い事や宿題があったので」
効果のあった食事は「2.5時間~3時間おきに食事を摂る方法」だという。
「これは年間を通して変わらず、今ではライフスタイルなので、減量期はクリーンな食事がメインになるという感覚です。オフシーズンは、人らしい食事も取り入れて、外食がある時は、日中のミールで調整をするなど工夫しています」
また、減量方法に関しては、そのときのコーチによって減量法は違い、今現在も研究中だという。
「相性の合うコーチと相談しながらプランを毎年変えております」
様々なケガを経験し、試行錯誤を重ねてステージに立ってきたHiromi選手の挑戦は続く。
「人工股関節手術をしたビルダーの方は、ほとんど選手生活をリタイヤしているので、自分のできる範囲でどこまでできるか、新たな挑戦に挑もうと思います」
《Hiromi May選手プロフィール》
1998年からハワイ在住。3人の男の子たち(20歳の双子と17歳)のママ。フィットネスウエアの808coconuts Ave.プロデュース。自分が着たいウエアをデザインしたいセレクトショップのようなブランドです。その他、日本でのパーソナルセッションやセミナー、オンラインコーチもしております。デビュー戦や次のレベルに向けてのコンディション調整が得意。また、ハワイ自宅ではハワイ参戦合宿や、筋トレ合宿もしています。自分でいうのもなんですが、とてもフレンドリーです。
取材:FITNESS LOVE編集部 写真提供:Hiromi May