説教中に反抗期の息子からカウンターを喰らった水谷雅代(みずたに・まさよ/49)さんは、反射的に「ボディコンテストでグランプリ(優勝)を獲ること」と答え、後に引くことができなくなり、ボディメイクへの覚悟を決めた。3年前、46歳のときの出来事だった。
夫からは「水着でコンテストなんて恥ずかしいよ」という意見……。46歳の水谷さんには逆風だったが、筋トレは裏切らなかった。
そもそもボディコンテストへの出場を口走った背景には偶然の重なりがあった。
「7年前に産後のお母さん体型が気になって通い始めたパーソナルジムのトレーナーさんからもベストボディ・ジャパンへの出場を強く勧められ、さらにインディバサロンの担当さんもベストボディ・ジャパン準グランプリの実績というめぐり合わせ。たまたまご飯やさんで隣になった男性もベストボディ・ジャパンでのグランプリ経験者。別世界の話だと思っていたのですが、そういった重なりが背中を押してくれたんだと思います」
目標を持つと身体は変わるというが、水谷さんはグランプリを目指すことで「劇的に変わった」と振り返る。
「ヒョロヒョロと細いだけでしたが、筋トレをすることでメリハリが生まれました。今までは肩幅がなくて、お尻は大きい、ウエストは細いという体型だったんですが、ベストボディ・ジャパンでのグランプリを目指すようになり、肩幅を付けていわゆる砂時計ボディに近づいていきました」
2022年にベストボディ・ジャパンデビュー(当時47歳)、デビュー年の高知龍馬大会でいきなりのグランプリに輝いた水谷さんは、中学3年生の息子さんに有言実行する姿を見せつけた。
「息子は悔しそうな、嬉しそうな感じでした。できないと思っていたことを(母親が)やってしまったという悔しそうな表情と、グランプリを獲ったという嬉しそうな表情が混ざっていました」
「今まではだいぶ私を舐めていたんですが、敬意を感じられるようになりましたね。あまりに反抗がひどかったので力づくで戦っていたんですが、そういったこともなくなりましたし、私自身も息子の細かいことを気にしがちだったんですけど、小さいこと言わなくなったのも良かったのかなと思っています」
さらに高校3年生になる息子さんは受験勉強真っ只中。日本大会に挑戦した水谷さんにとっては切磋琢磨し合えた存在だったという。
「高校3年生の息子とはお互い目標に向かって頑張る1年間になったと思います。ただ、応援するのではなく、自分も応援してもらいながら、一緒に頑張るというのはお互いにいい方向に働いたと思っています」
息子たちが青春を謳歌する姿をみて、3年前までは「もう青春なんて来ない」と諦めていた水谷さんだったが、ベストボディ・ジャパンに挑戦するようになり、「青春が再びやってきた」と思ったという。
「結婚して子育てして、自分の時間とか、自分の目標とかに全力になることはもうないと思っていましたが、もう一度自分のやりたいことをする時間が過ごせています。もちろん子育ては楽しいことです。だけど、ベストボディ・ジャパンに出会って、充実した時間を過ごしている今は、周りも幸せで、いい運気の中で生きている感じがします。来年、クイーンクラス(50~59歳)という新しいステージに立ちます。そのときまでに私にしかできない何かを見つけたいと思っています」
取材・撮影:FITNESS LOVE編集部