ベストボディ選手 コンテスト

娘たちから「ママ、何をやってんの」 最初はビキニに抵抗あった47歳が「ブートキャンプ式トレーニング」で満点グランプリ

挑戦は、時に「結果より過程で得たものが大きな財産になる」ことがある。

「コンテスト出場を通じて、肉体の変化や成績ももちろんですが、健康意識や、人との絆、諦めないことの大切さを改めて学びました」

10月13日(月・祝)開催の『ベストボディ・ジャパン2025東海大会』ウーマンズクラス(40歳〜49歳)で満点のグランプリに輝いた、安江仁美(やすえ・ひとみ/47)さん。歯科衛生士として働きながら、2人の娘を育てる安江さんが、しなやかな肉体とともに得たものを聞いた。

【写真】満点優勝を獲得した安江仁美さんのしなやかな肉体
安江仁美さん

ジムで職業病が改善 続けられた理由は「ブートキャンプ式トレーニング」

7年前、トレーニングを始めたきっかけは身体の慢性的な不調だった。

「仕事中、中腰で前屈みを続けるため、慢性的にひどい肩こりと頭痛に悩み、毎週整体やカイロプラクティックに通う状態でした。友人に相談したところ、『運動習慣をつけたほうがいい』と言われトレーニングを始めました」

癌家系で、病中の母の不調が運動不足が一因だったことも後押しとなった。とはいえ、続けられるかは不安だったという。

「トレーニングは孤独に行うものというイメージがあり、一人で何かに打ち込んだことがない自分にできるか不安でした」

その不安は、徒歩で約5分という近さで選んだジムが偶然にもグループ形式の指導を行っていたことで解消された。

「ダンベルやケトルベルを持ち、トレーナーの掛け声のもと集団で取り組むグループレッスン、『ブートキャンプ式』というトレーニングです。参加者は20代から70代までと幅広く、各自に合った負荷やリズムで行えるため、無理なく始められました」

安江さんにとってジムは「大人の部活」のようで、仕事に疲れたときこそ行きたくなる場所だ。人付き合いも増え、生活に彩りが増したという。

「仕事が終わり、家事・育児にひと段落したら、21時から22時までジムで過ごす。その後は心地よい疲労の中で眠るというルーティンができ、心身が好調になりました。励まし合う風土が継続の源です。先生や会員の皆さんがいなければ、続けられなかったと思います」

栄養を学んで得た、母との最期の思い出

体重はトレーニングに励んでもリバウンドを繰り返していた。

「妊娠中、主治医に『初めて妊婦さんにダイエットしろと忠告した』と言われるほど太りました。産前の体重にはあと10kgが戻らず、ストレスを過食で紛らわせることもあり、ダイエットは難航していました」

そこで、体型を戻す覚悟を決めるため、ボディコンテスト出場を決意した。

「ビキニを着ること自体が人生で一度あるかないかだったため、かなり抵抗がありました。2年くらいは出場を渋っていましたが、目標がないと無理だと思い出場しました」

当時の食事は、「お菓子など好きなものばかり食べる偏食」かつ「大雑把」なものだった。そこで、担当栄養士と相談し、ストレスになるカロリー計算や計量を避け、「色味」で栄養摂取を重視する方針を取った。

「緑・赤・黄・白・黒の5色の食材を食べるようにしています。目で見ても楽しく、同じ色でも自分の身体が喜ぶ食材を見つける喜びが生まれました」

減量を通じて食の大切さを学んだ安江さんは、その後、自身で学びを深め、『食生活アドバイザー』の資格を取得。

「ほとんど食事がとれなくなった母が唯一口にできる、栄養たっぷりのスープを作りました。言葉もほとんど話せない状態でしたが、『美味しい』と言ってもらえたことが、栄養を学んで最も良かったことです」

「諦めない姿」が家族へのエールに

4年前からほぼ毎年、大会に出場するようになった安江さんだが、当初は5位入賞がやっとだった。それでもめげずにトレーニングを続け、肉体は着実に進化。今年の8月に行われた名古屋大会で準グランプリを獲ったことから、グランプリを目指して本大会に急遽出場。ついに自身初となるグランプリを獲得した。さらに満点だったことで喜びもひとしおだったに違いない。

「最初は、『ママ、何をやってんの』という反応だった娘たちが、優勝という有言実行を果たしたことで、『諦めないことってすごい』と言ってくれました。進学・就職と進路を模索している二人が、『諦めずに頑張り続ければ結果になるんだ』とやる気を出してくれたのが、とてもうれしかったです。最高のグランプリでした」

今後の目標は、全国戦となる『日本大会』だけでなく、来年、再来年とステップアップしていくこと。プレッシャーを良い刺激に変えて、地道に頑張りたいと意気込む。

「今回の大会では、初めて友人・知人を大会に招待しました。大切な友人たちの応援は格別の力になりました。ウォーキング指導、お尻のトレーニング指導、ヘアメイクさん、私の大会出場に関わってくださったすべての方との出会いに、感謝でいっぱいです」

大会を通じて様々なものを手に入れた安江さん。まさに、「結果よりも過程で得たものが大きな財産になる」という好例ではないだろうか。

次ページ:満点グランプリを獲得した安江仁美さんのしなやかな肉体

取材:にしかわ花 撮影:上村倫代

執筆者:にしかわ花
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。

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