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「ここまで太くなるのか!?」ド迫力の極太脚でボディコンテスト優勝の34歳 「体型へのコンプレックス」でボディメイク開始

ステージの上では丸く発達した筋肉が圧倒的な存在感を放っていたものの、バックステージでこちらが声をかけると、彼女は自信なさげな表情を浮かべながら「私は取材していただけるような選手ではないんです……」と、大きな肩をすぼめた。9月1日に仙台で開催された、『オールジャパン ウェルネス チャンピオンシップス』。JBBFでは今年から開催されるようにった新競技「ウェルネス」の日本一決定戦、その163cm超級を制した岸野悠佳(きしの・はるか/34)選手は、これまで陽の当たらない場所にいた。

【写真】岸野悠佳選手の極太脚&「バックポーズもすごい!」

フィットネス競技には2022年に初挑戦。デビュー戦は「ビキニフィットネス」で、2戦目以降は「ボディフィットネス」。ボディフィットネスでは初戦の2022年の東海大会では2位になるも、同年のオールジャパン選手権では予選敗退。筋肉量こそあったものの、いつも減量を完遂することができずに、もがいていた。

「ジムの指導者の方や会員の方たちからは、『筋肉量があるから、絞れば上位にいける』とずっと言われて続けていました。でも、これまでしっかりと絞ったこともなかったので、『絞った自分の姿』をイメージすることができなくて……。また、私は自分の身体に対してネガティブな気持ちが強くて、なかなか頑張り切れませんでした」

もともと岸野選手にとって、フィットネス競技への挑戦は決してポジティブな選択ではなく、「人前に立つことが苦手」で「体型にコンプレックスを抱えていた」自分と向き合うために始めたものだという。だから、「自分に自信を持てなくて、どうしても頑張り切れなかった」と。

そんな彼女に、ジムのコーチや仲間たちは、下半身のボリュームが大きな武器となる「ウェルネス」への出場を勧めた。ウェルネス初挑戦となった今年7月のスポルテックカップでは3位入賞。ジムのコーチからは、今回のオールジャパン選手権に臨むにあたり、そこからさらに5kgを減量するよう助言を受けた。

「だから、周りのみなさんは私の適性を見抜いてくださっていたんです。今回は自分なりに絞ったのですが5kgには至らず、スポルテックカップからマイナス4kgにとどまりました。ですが、大会当時の体重は、これまでの最軽量です。今日、こうやって(優勝という)評価をいただけたのは、『ちゃんと力を持っているんだから、もっと頑張れよ』ということなんだと思います」

新たな舞台で掴み取った、初めての勝利。これまでどうしても頑張り切れなかった岸野選手に、頑張らなくてはならない理由ができた。

「人とは違う部分に悩んだり、苦しんだりしている人ってたくさんいると思います。でも、そういった部分が自分では想像もできなかったような場所につながることもある。そんな気づきを得られる機会がみなさんにもあればいいなって、競技に取り組んでいて思いました」

今年12月、彼女は日本のチャンピオンとして、東京で開催される世界選手権の舞台に立つ。

岸野悠佳選手

JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

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文:藤本かずまさ 撮影:中島康介

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佐藤奈々子選手
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