ボディビル初挑戦の選手の活躍が見られた『JBBF日本ジュニア男子ボディビル選手権大会』(8月25日(日)開催)。70kg超級で優勝したのは、昨年に陸上競技を引退しボディビルへ転向した井上光陽(いのうえ・こうよう/22)選手。高校時代は砲丸投げで千葉県記録を持つ。
「優勝を目標に身体を作ってきたので、とても良かったです。オフでも気を抜かず勝てる身体を作っていけるように努力します」
表彰後、ステージでの優勝インタビューで「今大会がデビュー戦」と井上選手が言った瞬間、会場から驚きの声が上がった。それほど大きく熟練された筋肉をつくりあげた井上選手のトレーニングサイクルとは。
「トレーニングは週5回で2〜3時間程度です。分割は脚、背中、胸、肩、腕です。サイクルは特に考えていません。筋肉痛のないところをとことん潰していきました。扱える限界の重さを必ず持つこと、トレーニングを始める前にマインドセットをしっかり整えることを意識しています」
身長が180cmと高身長で「間伸びして見えてしまうので、脚の強化にとても苦戦しています。シルエットを作り込むようなトレーニングを多く取り入れました」という井上選手。高身長でも太く、深い溝の入った脚は努力の賜物だろう。その脚の太さに加え、僧帽筋はよく褒められる部位。陸上時代の練習が影響しているという。
「僧帽筋は肩のトレーニングの技量が低い(※)ことと、砲丸投げの影響だと思います。脚は陸上時代のジャンプトレーニングやスプリントトレーニングの感覚が、現在のウエイトトレーニングに活きていると思います」
※トレーニング時に対象筋の肩に加えて僧帽筋にも大きな負荷がのっている。
井上選手は昨年9月に陸上競技(投てき)を引退し、ボディビルを意識したトレーニングに本格的にシフト。今大会に向けて昨年10月から減量を始め、約10カ月の減量期間で体重112kgから84.5kgと-27.5㎏もの大幅な減量に成功した。
「急速減量すると皮膚感が悪くなると予想して減量期間を長くしました。除脂肪期間を長く取り、炭水化物を落としすぎないことがすごく効果的だったと思います」
今後の目標を聞くと「シニアの大会で結果を残すこと。クラス別優勝を目標にやっていきます」と答えてくれた井上選手。今後の身体の進化に期待が高まる。
「これから結果を残せるよう全力でボディビルに励んでいきます。クラシックフィジークにも挑戦しようと考えています。より良い身体に強化していくので、期待していてください」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介