「本当に悔しいです。優勝するつもりでこれまでずっと準備していたので、本当に悔しいです」
目から溢れる涙とともに、喉から絞り出された第一声だ。その声の主は廣中れな(ひろなか・れな/34)選手。9月29日(日)、岡山県で開催されたJBBF主催『オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス2024』(以下オールジャパン)のビキニフィットネス163cm超級で昨年に引き続き、2位に輝いた。
階級別とはいえ素晴らしい成績だが、「結果が出せなかった」と廣中選手は苦悶の表情を浮かべた。
鳥取県で痩身とパーソナル指導のサロンを営む彼女の元には、身体を変えたい人、競技に興味がある人など山陰地方を中心に多くの人が集まる。そういった人に向けての指導をする立場である以上、「仕事も自分のトレーニングもすべて手を抜かないって決めていました。私についてきてくれるお客さんに頑張れって言うのに、自分が手を抜いたら示しがつかない」と話す。
「勝つって周りに宣言している以上、絶対手を抜けないし結果として表さないと。本気で応援してくれているみなさんがいるから、なおさら結果として返したいという気持ちが大きくて。でも、なかなか結果が出せない……」
これほどの感情を表すのは努力に努力を重ね、さらに努力を重ねてきた1年があるからだろう。その努力とは、身体づくりの話だけではない。昨年の悔しさをバネに、今年のオールジャパンに向けて見た目だけでなく内面にも磨きをかけてきた。
身体のラインはトレーニングや食事管理などによって作ることができるが、内面を磨くとなると自分の苦手なことにチャレンジしなければならない。
これほどの大きな舞台で堂々とした世界観を魅せる彼女だが、実は人前で話すのが苦手。しかし昨年の後半から積極的にセミナーに登壇したり、ステージに立ったりと機会を増やしたという。
それもすべて昨年の自分を超えるため。今回手にしたメダルは銀色だが、彼女の伸び代を感じずにはいられない。10月6日に行われる『グランドチャンピオンシップス2024』で、“廣中れな” という存在感を放ってほしい。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材:小笠拡子 撮影:中島康介