歴史に名を刻んだボディビルダーが威信にかけて選りすぐった選手がしのぎを削る。ボディビルファンにはたまらない企画ではないだろうか。
10月19日(土)、東京都・ひの煉瓦ホールにて新興ボディビル大会、ジュラシックカップ2024が行われた。本大会は、“筋肉の祭典”として華やかなステージ演出と配信、高額な賞金を提供するなどエンターテイメント性を特徴としつつ、厳格なアンチ・ドーピングボディビル団体JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の認可を受け、日本一を争うトップボディビルダーを数多く招致する競技性の高さを併せ持つ。
今回、新設されたカテゴリーである「レジェンドウォーズ」は、その名のとおりレジェンドボディビルダー達が目利きした選手を推薦しての代理戦である。参加者6名とも、お眼鏡に適った選手とあり、同率・僅差の熾烈な接戦となった。
そのレジェンドウォーズを制したのは、ボールペンを垂直に挟めるほどの腹筋の分厚さと溝の深さから“防弾腹筋”の異名を持ち、2度のミスター日本の経歴を待つ谷野義弘氏の推薦、阿部公太(あべ・こうた/29)選手だ。「周りが全員大きく見えた」と不安をこぼしながらも、丸々と隆起した手榴弾のような腕周りと鋭く絞り込まれた背中で1位を勝ち獲った。
「出場された選手の方々が、違う特徴を持ちながらも凄い身体をされている方ばかりだったので、自分は自分でいつも通りやるだけだと言い聞かせながらステージに立ちました。谷野さんやジムの方々に何とか良いご報告をする事ができて、嬉しく思います」
トレーニング歴は6年、市民ランナーとしてマラソンに励んでいたが、ふと鏡に映った自分のあまりの痩せ具合に危機感を覚えてバーベルとダンベルセットを買ったのが筋トレのきっかけだという。
「地元の岩手に住んでいた頃のお正月に、本格的な設備のジムへ行ってみたいと思い、ゴールドジムのイースト東京にお邪魔したことがありました。トレーニングエリアには歴代の日本チャンピオンの写真が飾られていて、その中にあった谷野さんの写真を見たときに、ものすごい衝撃を受けました。調べたらジムを経営されていたので、もし、東京やその近郊に住むことになれば、この方のジムに入りたいと思いました」
こうして谷野ジム東京の会員となった阿部選手は、憧れの人のもとでさらに猛特訓。見事、栄冠を勝ち取った。優勝特典として、現在ボディビルの最高峰で活躍する選手陣と闘うグランドクラスへと進んだ。
「まだまだトップ選手の方々との筋量の差を思い知らされました。これからも谷野さんの言う通り、ボディビルに関わる全てのことを楽しみながら、またコツコツと頑張っていきます」
今後は全国レベルの大会にも挑戦していきたいと意欲を見せた。ベテランの意志を受け継ぐ若手選手が続々と台頭し、新時代を迎えるボディビル界にまた一人新たなホープが立ち上がった。
【レジェンドウォーズ結果】
1位 阿部公太/谷野義弘推薦
2位 林慎之輔/相澤隼人推薦
3位 榊原徹/合戸孝二推薦
(同率)4位 荘田巧登/木澤大祐推薦
(同率)4位 渡邉怜央/嶋田慶太推薦
5位 小原啓太/須江正尋推薦
取材:にしかわ花 撮影:中島康介
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。