「仕事と子育てとトレーニングのバランスを大事にしています。努力はしますが、限界を越えない程度に続けています。日々の生活を楽しみながら、若々しく生きていくためのトレーニング、という感じだから競技も続いているのかもしれません」
ビキニフィットネス選手として活躍する堀田ひろみ(ほりた・ひろみ/38)選手は、本人曰く、「競技が好きと言うよりトレーニングが好きなタイプ」。大会はあくまでも、なりたい身体になるためのトレーニングの目標なのだという。自分軸をしっかり持って競技に取り組む姿勢は、会社員トレーニーにとってひとつの理想像ではないだろうか。
堀田選手にとって2024年は「オールジャパンマスターズ優勝と国際大会出場」という2つの目標をどちらも達成することができた年だった。
「オールジャパンマスターズは3位、2位が続いていたので、優勝できて素直にうれしかったですね。12月の世界選手権は初めての国際大会でしたが、日本開催だったおかげで、お金と時間を準備できたというのが正直なところです」
日本開催でも選手団は4泊5日の日程だ。会社員トレーニーにとって自国開催は、国際大会に出場できる数少ないチャンスという選手も多いのかもしれない。
世界選手権を経験して、「肩とお尻の丸みがもっと欲しいと感じた」という堀田選手。現在のトレーニング内容はその課題をふまえたものになっているそうだ。
「トレーニングを始めた当初は、ベンチプレス、スクワット、デッドリフトなどベーシックな種目をやり込んでいました。トレーニング歴が長くなり、大きな筋肉がついてきたので、今は自分に足りないと感じている肩とお尻をメインに、週4回ほどトレーニングしています。時間があれば今までやってきた種目も追加でやるなど、自分のライフスタイルに合わせてトレーニングメニューを自分で組んでいます。重量を増やすというより、今は意識するトレーニングに変わっています。自分の骨格や癖に合ったトレーニング方法を模索中です」
また、ポージングについての課題も見つかったという。
「身体の歪みがポーズに出ていたので、昔に比べるとストレッチなどにも時間を使うことが増えました。今後は筋トレと併せて身体のコンディショニングにも時間をとりたいと思います」
堀田選手は食事面でも自分軸を持っているようだ。
「基本的に野菜と果物が好きです。食べることも作ることも大好きなので今はあまり制限せず、食事を楽しんでいます。平日はフルタイムで働いているので、会社には毎日鶏ハムと野菜メインのお弁当を持参しています。プロテインやサプリメントは基本取りません。疲れが取れないときや、調子が悪いときにだけビタミンやグルタミン、プロポリスを摂ります。あまり脂質が高いものは食べないように気をつけてはいますが、娘と一緒にお菓子を食べたりスイーツ巡りしたり、親子の時間も楽しみたいので食べちゃいます」
「世界選手権では7位という結果に終わり、決勝に残れなかったのは残念でした」と堀田選手。自身のなりたい身体と、ビキニというカテゴリーには少し乖離も感じている。
「自分はハードな仕上がりが好きで、ステージだと背中がバキバキでビキニらしさとは違うな〜、と感じますが、2024年の仕上がりも自分では好きなんです」
今年どの大会に出るかはまだ考え中だそうだ。いずれにしても、仕事、子育て、トレーニングのバランスを大事にしながら、「なりたい身体」に仕上げてステージに登場するだろう。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材:あまのともこ 撮影:中島康介、中原義史