9/21(日)、兵庫県・神戸芸術劇場で『第5回日本クラシックフィジーク選手権大会』が行われた。本大会は身長別・年齢別の審査後に、各階級の優勝者で比較審査を行うオーバーオール審査がある。身長別、そしてオーバーオール優勝を飾ったのは五味原領(ごみはら・れい/28)選手だ。五味原選手のクラシカルボディは世界的にも評価が高く、「歩くギリシャ彫刻」と言われるほど。
足関節の安定性を高めたことで、自信が持てるものが増えた
「年々、出場選手のレベルも上がってきていて。その中で1つずつ何か成長できれば、自ずと結果につながっていくと考えています」
舞台裏で五味原選手はこのように語った。部分的にではなく身体の機能を高めることで、全体的な成長につながると捉えている五味原選手。「脚を良くする一環として、足関節の安定性を地道に取り組んだ」そうで、バックポーズは自信を持てたと話す。
「フロントのリラックスポーズやダブルバイセップス、バキュームポーズは負けないかな、と思っています。今年は、サイドやハムストリングス周りの筋肉の出方が良くなり、バックに関してかなり自信を持ってポーズを取れたことが大きかったです」
「魚の脂質は0カウント」理論は健在
過去にアイアンマンの減量特集で、「魚の脂質はゼロカウント理論」といった印象的なエピソードを話してくれた五味原選手。
魚以外の脂質を抑えているそうで、逆に言うと魚に関しては脂質の多いものから低いものまでなんでも食べる。
減量が停滞したときにカーボサイクルで打破することがあるが、五味原選手は日によって食べる魚が変わるため、自然と摂取カロリーに波ができるのだ。これを大会当日まで行うので、カーボサイクルならぬ「フィッシュサイクルをしている」と教えてくれた。
今年のシーズンもその理論は変わらず、今大会の前はサバを食べたという。
緩める期間と身体づくりの期間の波をつくる
五味原選手の初戦は6月・アラブ首長国連邦で開催された『IFBBアジア選手権』で、最終的には11月27日〜12月1日に行われる『IFBB男子世界選手権』に出場する。
1年を通して長いシーズンだが「緩める期間と、身体を作る期間の波を作ること」がーズンを過ごす秘訣だ。
「いつでも出られるようなコンディションを保っておきます。次戦は11月末の世界選手権ですが、これから1ヶ月は少し緩めます。食事も3食のうち2食が減量食で、1食は好きなものを食べますし外食もします。メンタルもトレーニングも少し緩めて、また身体を戻していきます」
はっきりとオン・オフのシーズンを作らないのが五味原選手のやり方だ。「好きな食事では何を食べるのか」を聞いてみると「パスタとか、フレンチとか(笑)」とはにかみながら答えてくれた。
次戦まで約2カ月半。五味原選手が行う独自の身体づくりで、次なる世界の舞台も期待したい。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文・撮影:小笠拡子
小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。