最終回となる今回はデッドリフト。その動作のポイントを解説していきます。これはズバリ!「シンプルに考える」ということが重要なカギになってきます。では、さっそく見ていきましょう。
<本記事の内容>
デッドリフトは特殊な種目
どこからがスタートと考えるか?
どのような初動を出すか?
腰の位置はどこまで下ろせば良いのか?
握りの意識
どのように引くか?
とにかくシンプルに!
最後に
■デッドリフトは特殊な種目
まず、デッドリフトという種目は少し特殊な種目だということを覚えてほしいです。例えば、スクワットやベンチプレスはラックアップしたときにすぐに重さを感じます。そこから、スクワットでしたらステップバックしてスタンスを決めてしゃがんでいく、ベンチプレスでしたら受け止めて下ろしていく、という過程においてずっと重さを感じていますよね?
スクワットでは、立ち上がるところからいきなり重さを感じるわけではありません。ベンチプレスも、胸から押し上げるところでいきなり重さを感じるわけではないです。
ただ、デッドリフトに関しては、床からいきなり重さを感じる種目となります。床にセッティングしてあるバーベルが60㎏だろうと100㎏だろうと200㎏だろうと、引き始めた瞬間からいきなりその負荷が身体にかかってくるわけです。
■どこからがスタートと考えるか?
デッドリフトでは「どこをスタートポジションと捉えるか?」ということがすごく大切になってきます。ナローデッドリフトでもワイドデッドリフトでも、どのスタンスでも構いません。自分のスタンスを決めたら、そこでまず真っ直ぐに立ってみましょう。「ここがフィニッシュである」というポジションをしっかり意識して、一旦立つのです。
そして、そこからが「スタート」なのです。そこから動き出した瞬間に、すでにフォームがスタートしているということを意識してください。
シャフトを握ったところからいろいろ考えても、それはもう遅いです。「立ったところから動き出した瞬間」がフォームなのです。そして、できればそこからいつも同じリズムで行いたいです。
軽いときには握ってサッと動作に行くけれども、重くなると握ったところでモジモジしてしまう人いませんか? 結構多いと思います。何㎏でも、いつもスタートしたところから同じリズムで引くように普段から練習しましょう。このリズムを覚えると、デッドリフトは非常に安定しますし、自分の武器になります。
■どのような初動を出すか?
この、スタートポジションから動いたところがデッドリフトのスタートと言いましたが、次に大切になってくるのが「どのような初動を出すか?」ということです。「初動」とは動き初めの動作のことです。デッドリフトにおいての初動は真っ直ぐであり、なるべく頭と上腕が初動で真っ直ぐに下りてくることが大切です。特に、土踏まずの上に頭が位置して、そこから頭がブレないような意識で初動を出しましょう。
最初から頭を前にバーンと傾けて、お辞儀するように握ってしまうパターンの人が多いですが、これはおすすめできません。とにかく「初動で頭と上腕を真っ直ぐ下ろして行く」ことを心がけましょう。その時に股関節から柔らかく動かすタイプと、膝から柔らかく動かすタイプがいます。これは別にどちらでも構いません。
ポイントとしては自分の足の裏の圧力、いわゆる「踏み圧」が抜けないようにするのはどのような感じで初動を出したらいいか?というところを感じ取ってください。踏み圧が抜けてしまう場合は、股関節や膝を動かす順番が違うと思ってほしいです。股関節から動かすタイプでも膝から動かすタイプでも、とにかく足裏の圧が抜けないように真っ直ぐ初動を出すということが大切です。
■腰の位置はどこまで下ろせば良いのか?
シャフトに対して真っ直ぐに初動を出してしゃがみ始めたら、今度はどこまで腰の位置を下ろせばいいのか? どこまで膝を曲げればいいのか? ここを解説しましょう。
このあたりのことも、どこが基準なのかがよくわからない人が多いです。体型的にかなり腕が短いとか、腕が長いとかといった人は別ですが、一般的な体型であればだいたいの場合は、頭と腕を真っ直ぐ下ろしていった時に、指の先から第一関節くらいがシャフトに触れる腰の高さや膝の曲がり具合でいいと思います。
このときの股関節や膝の曲がり具合に関しては、足裏の踏み圧が抜けないように体をしっかりと下ろしていけば、自然といい形に曲がって行きます。これはナローデッドリフトでもワイドデッドリフトでも同じです。真っ直ぐ初動を出していった中で指先から第一関節がシャフトに軽く触れるところまでの腰の位置を、まずは記憶しましょう。
この段階において腕がすごく長い人だったら、頭をブラさず真っ直ぐ下ろしていけますが、一般的な腕の長さの人はシャフトに触れる手前で少しだけ頭が前に出ると思います。しかし、大切なのは「初動で真っ直ぐ」ということです。
この位置で腰の高さを記憶して、そこからシャフトを握りにいきます。そうすると、もう少し頭が前に出る場合がありますが、シャフトを握った後に最初に記憶した腰の高さまで戻ってあげるという意識があれば、体勢が崩れずにポジションを良い位置に保てます。なので、最初に真っ直ぐ頭と腕を下ろしていって、どのぐらいの腰の位置に下ろすか。ここを記憶することが大切なのです。
■握りの意識
正しく初動を出せて腰の位置が決まったら、そこからシャフトを握りにいきます。最初はナローデッドリフトの握り方から解説します。
ナローデッドリフトは基本的に脚のすぐ真横を握れば、シャフトを目視しなくてもそこまで位置がずれることはありません。オーバーハンドでもフックグリップでもオルタネイトグリップでも、そんなに位置がずれることはないです。
問題はワイドデッドリフトのグリップ位置です。基本的に腕は真っ直ぐ下ろしていきたいのですが、そうするとワイドデッドリフトの場合は左右のグリップ位置が少しずれてしまう場合が多いです。ある程度、シャフトを目視してずれないように握りの位置を定める必要があります。
しかし、先ほど頭を真っ直ぐ下ろす意識が必要と言いましたよね。では、その時にどうやってシャフトを見るのか? この場合は耳の穴を中心に頭を下に向けるのです。
耳の穴がブレなければ、基本的に頭はブレていないと思ってください。耳の穴を中心にス~ッと下に頭を向けて回転させて、その目線の先にシャフトをしっかり捉えて、そして指先から第1関節まで下ろしていき、握りの幅を決めて握ってあげる。このようにしてあげるとワイドデッドリフトでもしっかり目視しながら握る場所がずれない形になってきます。
■どのように引くか?
シャフトをしっかり握ったら、今度は引き上げる意識です。初動で真っ直ぐ垂直に下りてきましたから、行きと帰りは基本的に一緒です。ですから、「真っ直ぐ上がる」ということが大切になってきます。
この時に腰を一旦、後ろに上げて、また入れ直すというかたちで行う人もいれば、そのままのかたちから上げる人もいます。これはどちらでも、やりやすいほうで構いません。自分の体がブレなければどちらでもいいです。引きやすいほうでやってください。
そこからどこで引き上げるか? これは自分の「首」です。首といっても首の付け根から頭の付け根まで幅がありますが、主に「首」というところで意識してあげればどんな人でも大丈夫です。
首は体の中で一番高い関節なので、そこを真っ直ぐ上げる意識でリードしてあげることで自分の体をバランスよく使いやすくなってきます。後ろに引きつけるなど考えずに、真っ直ぐ上に引いていきましょう。
首でリードしていけば脚を使うとか背中を使うとかなどの意識は極力なくなり、骨格をバランスよく使いやすくなってきます。
■とにかくシンプルに!
ここまで解説してきたことを守れば、自分にとっての良いデッドリフトができると思います。デッドリフトはとにかくシンプルな意識がカギなのです。
特に意識したいのは「垂直」です。この垂直というものを意識してやっていただければ必ずいいフォームになります。
そしてもう一度言いますが、脚を使うとか背中を使うとか、そういう筋肉のことではなくて、自分の骨格が真っ直ぐ下がって真っ直ぐ上がるという意識。首でリードするという骨格の部分を意識してください。それだけで勝手に背中や脚の比率というのは決まってきます。このようにンプルにデッドリフトの動作を行ってください。
■最後に
今回で4回に渡って掲載された短期連載を終わらせていただきます。今回の連載で解説した内容は「究極のビッグ3完全解説」の中から抜粋してまとめたものです。この連載を読んでもっとビッグ3のフォームについて詳しく知りたいという方は、「究極のビッグ3完全解説」をぜひご覧ください。今なら20%割引クーポンもありますのでお得に購入できます。最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。この連載が少しでも皆様のトレーニングレベル向上に役立てたなら嬉しいです。
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みどて·だいすけ
1972年8月26日生まれ 神奈川県横浜市出身。NoLimits 代表·レッシュマスター級トレーナー。一般社団法人レッシュ·プロジェクト理事。スクワットで日本人初の400㎏オーバー、ベンチプレス日本人初の300㎏オーバー、トータル日本人初の1t オーバーなどパワーリフティングで数々の記録を樹立。世界パワーリフティング·世界ベンチプレス·ワールドゲームズ·アーノルドスポーツフェスティバルPRO BENCH と4つの世界タイトル獲得。ベスト記録はスクワット435㎏、ベンチプレス360㎏、デッドリフト320㎏、トータル1060㎏。
構成:藤本かずまさ 写真提供:三土手大介 サムネイル写真:Shutterstock