淡路島出身の寺内柚太(てらうち・ゆうた/23)さんは、社会人2年目で初のボディメイクコンテスト『POWER BUILDING CLASSIC(パワービルディングクラシック・以下PBC) in AWAJI 2025』に挑戦した。フィットネス競技とパワーリフティング競技の合計順位で競われるこの大会のジュニア部門で2位、一般176cm以下級では4位入賞を果たした。高校生のころから続くトレーニングを土台に、半年間の減量をやり遂げて出場したという寺内さん。「筋肉量ではまだまだ」と語りながらも、その絞り込みは高く評価された。
バスケ少年がボディメイクに惹かれた理由
寺内さんは小学生から大学まで、長年バスケットボール一筋だった。ただ、当時から「線が細い」と言われることが多く、身体づくりのために自重トレーニングを始めたのが原点だという。
「大学時代に手首を骨折して、手術まで必要な大けがをしました。リハビリで筋トレを再開したとき、萎んでいた筋肉が目に見えて戻っていくのを見て、身体ってこんなに変わるのかと感じたんです。それがボディメイクの楽しさを知ったきっかけでした」
大学を卒業後も会社員として働きながらトレーニングを継続していた寺内さん。
「私は出身が淡路島なんです。なのでいつかは地元淡路島で行われるPBCに出たいという思いがあったんです」
初めてのボディコンテストに向け、減量期間は約半年。トレーニング歴8年(ボディメイク目的は3年)という経験を生かしながらも、試行錯誤の連続だった。
「おそらくですが、今回の大会では絞りを評価してもらえたと思います。正直、筋肉の大きさでは負けていましたが、自分の努力が形になった感覚があり、自信につながりました。だからこそ、次はもっと筋肉量を増やして臨みたいです」
平日は9時〜17時勤務の会社員。残業があっても2時間ほどで、仕事終わりに週5回のトレーニングをこなす。「この日は無理だな」という日があっても、別の日に振り替えて必ず週5をキープ。自分に合ったルーティンを確立している。
「特別な工夫はないんです。家族や周囲の理解があって、自然と続けられた感じです。本当にありがたい環境だと思っています」
食事は“続けられること”を意識
オンもオフも基本の食事はほとんど変えないという寺内さん。
「朝は卵と納豆と白米。昼と夜は鶏胸肉にピーマン、なす、きのこを合わせた料理を白米と一緒に食べます。卵は完全栄養食なので、微量栄養素の摂取を意識しています。なすとピーマンは味のバリエーションが作りやすいので飽きないんです。納豆ときのこは腸内環境を整える目的で選んでいます」
休日は定食屋で焼き魚や回転寿司を選び、魚からオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取するなど、栄養バランスも重視。減量中は脂質を減らしすぎたことを反省したという。
「脂質を削りすぎると、体調面で悪影響が出ました。今後は減らしすぎない減量を意識したいです」
今大会では、腹筋の仕上がりが審査員に高く評価された。
「腹筋の形がほぼ遺伝で決まっていると知ったときは驚きました。だから今回評価されたのは、両親のおかげですね(笑)。今回は入賞させていただいたのですが、コンテストに出なくても、ボディメイクは心と身体を健康にしてくれるものだと実感しました。私の体験が、誰かのやってみようにつながればうれしいです」
淡路島から発信する、等身大のボディメイク挑戦。23歳の新たな第一歩は、これからの自分自身をさらに強くするためのスタート地点になった。
取材・文:柳瀬康宏 写真提供:POWER BUILDING CLASSIC運営
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。