サマスタ選手 コンテスト

「夫の突然死から10年」でボディコンテスト優勝 10周年のサマスタ大舞台にかけた想い

6月のサマー・スタイル・アワード(以下サマスタ)のデビュー戦から約6カ月。鎌苅美佳(かまかり・みか/42)さんは努力と挑戦を重ね、12月8日(日)、ベルサール渋谷ガーデンにて行われた『FINAL(決勝大会)&JAPAN PRO GRAND PRIX』でルーキーベティ部門(※1)優勝、プロベティショート部門(※2)3位という輝かしい成果を収めた。

【写真】鎌苅美佳さんの丸みのあるヒップ

※1 決勝大会初出場で、肩・ヒップ・太もものしっかりとしたアウトラインが評価される。なおかつ、フロント・バックのVシェイプ、サイドポーズのSシェイプが評価の基準となる
※2 各地区予選で優勝し、PRO契約をしたものだけが出場できるベティ部門

日本大会での結果について鎌苅選手は、ルーキーベティ部門優勝を「うれしいと同時にホッとした」と振り返る。一方、プロ戦では勝ち負けに執着するよりも、「これまでの努力をステージ上で出し切りたい」という思いが強かった。決勝ステージでは多くの声援を受け、「ステージ上で初めて楽しさを感じる余裕が持てた」と喜びをにじませる。

人生の大きな転機を経て挑戦を続ける彼女の舞台裏には、特別な想いと決意が込められていた。

肩の強化、ポージングの改善の日々

前回の大会を終えた鎌苅さんは、トレーニングを根本から見直し、新たなコーチのもとで再スタートを切った。週に一度コーチから指導を受け、その内容を週5日間の自主トレーニングで復習する日々。肩の丸みを出すことに注力し、夏の大会時よりも確実に成長した自分を実感できたという。

肩のトレーニングはアップライトロウ、サイドレイズ、ショルダープレス、リアレイズを中心に構成し、それぞれの種目で「どこに効かせるか」を強く意識した丁寧な取り組みが進化の鍵となったようだ。

日常生活にも細やかな工夫を取り入れた。冬の寒さが代謝に与える影響を考慮し、トレーニング前には温かい飲み物を摂取。サウナや酵素浴に通い、身体を冷やさないよう配慮するようにした。

さらに、サマスタ代表の金子賢(かねこ・けん)さんからの助言により、柔軟性の向上にも力を入れ、柔軟クラスに通うほか、日常的にストレッチを取り入れることで、ポージング時のアウトラインの強調に努めた。

これからの課題について尋ねると、鎌苅さんは背中の広がりを作ること、お尻やもも裏の強化、柔軟性のさらなる向上など、多くの課題があると語る。しかし、それは同時に可能性でもあり、「改善すればもっと変われるというワクワク感がある」と笑顔を見せる。

特別な想いと決意

そんな鎌苅選手の挑戦の背景には、人生の転機となった出来事があった。10年前、夫を突然亡くした鎌苅さんは、深い悲しみの中で前を向けない日々を過ごしていた。家族や友人など、多くの人々に支えられ、少しずつ前を向き始めたその過程でサマスタと出会った。改めて挑戦することの大切さを実感し、今では自らも行動でその姿勢を示している。

「辛い日々を過ごしている人や、挑戦を迷っている人に伝えたいのは、少しの勇気を持つことで世界は変わるということです。自分を諦めなければ理想に近づける。生きている限りなんでもできる、ということを信じてほしい」と語る。彼女の言葉には、経験に裏打ちされた力強さがあった。

「今年、夫の死から10年という節目を迎えました。サマスタ10周年の大舞台に立ったことに深い感慨を抱いています。前に進めなかったころを思うと、この大会に挑戦して本当によかったと心から思えます」

これからも挑戦を続ける鎌苅さんの今後の活躍に注目したい。

鎌苅美佳さん

【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。

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取材:柳瀬康宏 撮影:岡 暁

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