「2024年は、自分の限界まで挑めた年でした」。そう語るのは、5月のサマースタイルアワード(以下SSA)千葉大会でプロ資格を獲得し、12月のプロ戦で自己最高の仕上がりを達成した、体操インストラクター・倉澤理子(くらさわ・りこ/26)さん。今回は、SSAプロとなった彼女のトレーニング・食事・睡眠のルーティンを深掘りし、美しい体を作るための秘訣を紹介する。
「睡眠が最強の回復法」—— トレーニングとセットで考える
倉澤さんは、「大の睡眠好き」。普段は8時間半の睡眠を確保し、さらに昼寝も取り入れる。
「強度の高いトレーニングをした日は、いつもより長く眠くなる。それくらい、睡眠は体の回復に必要不可欠です」
睡眠が不足すると、以下のような影響が出る。
- むくみやすくなる(体内の水分バランスが崩れる)
- 体がだるくなる(回復が遅れ、トレーニングに影響)
- 腸の動きが悪くなる(消化・吸収が低下し、ボディメイクに悪影響)
そこで倉澤さんは、睡眠の質を高めるために以下のことを意識している。
- 電気毛布で布団を温めてから寝る
- お腹を冷やさないように、腹巻きやレッグフォーマーを着用
- SNSをダラダラ見ないことで、しっかりと睡眠時間を確保
「冷え」は睡眠の質だけでなく、腸の働きにも影響する。倉澤さんは、身体を温めることでコンディションを最適に保っている。
「お尻の丸みを作る」ーヒップメイクのトレーニング法ー
倉澤さんが主戦場とするカテゴリーはベティカテゴリー。SSAの女子カテゴリーの中でも最も筋肉量を必要とするカテゴリーだ。特に倉澤さんは下半身、中でもお尻の発達に力を入れている。
「お尻全体の丸みが欲しいので、ヒップスラスト、ブルガリアンスクワット、アブダクションを重点的にやっています」
倉澤さんが特に意識しているのは、重さではなく回数。
「決めた回数をこなすのではなく、1〜2回プラスして自分を追い込む」 という考え方でトレーニングを行っている。彼女が実践するヒップメイクは以下の通り。
- ヒップスラスト(ヒップのボリュームアップ)
- ブルガリアンスクワット(ヒップ下部の引き締め&アウトライン作り)
- アブダクション(お尻の横幅を作り、丸みを強調)
- ワイドデッドリフト(お尻とハムストリングの境目を際立たせる)
「お尻ともも裏、肩と背中の日」でトレーニングを分けているが、お尻ともも裏の日でも「サイドレイズを取り入れる」ことで、肩のアウトラインを強調し、全体のバランスを整えている。
「絞るための有酸素運動と食事」— 減量で意識したことー
「4月のSSA SPRING CUPの後、千葉大会に向けてさらに絞ることを意識しました。」
有酸素は1日1時間半。朝40分のウォーキング、夜も40分の傾斜ウォーキングを行い、1カ月で2〜3kgの体重を落とし、体の見た目が劇的に変化した。
「とにかく毎日継続すること。無理な減量ではなく、楽しみながら続けられる方法を選ぶことが大事です」
減量期は「いかに継続できるか」がカギとなるが、倉澤さんは「食事にあまり興味がない」ため、毎日同じ食事を続けることに苦労はなかったという。
「私は決まったものを食べ続けるタイプなので、目玉焼き、鶏胸肉、ささみ、めかぶ、白米など、固定メニューを守りました」
食事に対するストレスがないことが、「無理なく絞れる理由」になっている。
SSAプロとなり、自分史上最高の仕上がりを達成した倉澤さんだが、彼女の挑戦はまだ終わらない。「2025年は、ベティカテゴリー絶対女王の射手矢味香さんと並んで審査されることです。射手矢さんのように、圧倒的な存在感を持つ選手になりたい。そんな憧れの人と並ぶために、自分をもっと進化させたいです」
理想のボディメイクを追求する倉澤さんは、様々な工夫を凝らしてトレーニングや食事管理を行っている。中でも睡眠については多くの人が睡眠不足となってしまっている昨今、重要な考え方になるのではないだろうか。ダラダラSNSを見ることをせず、翌日のパフォーマンスのためにすぐに寝る。刺激的な情報が溢れる現代ではなかなか難しいかもしれないが、1日でも真似してやってみてはいかがだろうか。
【SSAアンチドーピング活動】SSA(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:柳瀬康宏 撮影:舟橋賢