「4年前に大失恋をしました。2週間で4kgも体重が減って、どんどん衰弱していく自分を立て直そうとトレーニングを始めました。たくさん動けば食べられるようになるだろうと思ったからです」
永田えり(ながた・えり/24)さんはボディコンテスト『サマースタイルアワード』にて、モノキニビキニでの肉体美を競うビューティーフィットネスモデル部門で活躍する注目選手だ。昨年、プロ選手に昇格し、今年は団体最高峰のステージでの戦いを控える。永田さんのボディメイクとの出会いから、現在に至るまでの変遷を追った。
「最初はYouTubeや友人にトレーニングを教えてもらい、見よう見まねでやっていました。私の本来の性格は『三日坊主』で、すぐ結果を求めたがるところがあるのですが、ちゃんと続けようと思ったのは筋トレが初めてでした。私生活にトレーニングを馴染ませるために1日2回通ったりもしました。そうして続けるうちに、もっと自分の骨格や筋肉の付き方に合った方法はないかと模索するようになりました」
そのころに、成果を確かめるため出場してみた大会では惨敗を喫したという。そこで、やはり自己流には限界があると指導者を探したという。
「たくさんの方に体験指導を受ける模索の時期が続いたとき、とある指導者の方に出会いました。受けた瞬間、この方だと思いました」
それが、現在のトレーナーである波多江祐直氏だった。福岡県福岡市を中心にパーソナルトレーナーとして活躍する波多江氏は、アスリートやコンテスト出場者を多く手がけ、特に女性のボディメイクにおいて造詣(ぞうけい)が深いとして評判を集める。永田さんが最も感銘を受けた言葉は「僕はたくさん食べて絞ってもらいます」。競技者指導を担当する者のなかには、勝つことを重視するあまりに基礎代謝を下回る危険なカロリー設定の提案をする層も、少なからず存在することを知っていたからだ。
「女性ホルモンなど女性特有の人体の仕組みに精通しており、減量期の揺らぎやすいメンタルのケアもしてくれる一方、いい意味で距離を持ってドライに接してくれるところが好きです。『5カ月間で優勝できる身体にしてください』と申し出て、ワンセッションごとに浮き彫りになる課題を一つひとつクリアしていきました」
相性の合うパートナーと巡り会えてからの成長は早かった。特に、バランスの取れた身体への仕上がりは日に日に洗練されていった。実は永田さんは当初、知人に「骨格で負けているから大会では勝てないと思っていた」と言われるほど下半身を中心に歪みが大きかった。だが、股関節の柔軟性、胸椎の伸展などの動作だけでなく呼吸や歩き方といった生活の癖までを修正することにより、重心が整い、均整の取れた体型へと変化し、その年には優勝を獲得し全国戦へ上った。
「ボディメイクは1日、2日でどうにかなるものではなく、とても地道な努力を必要とします。でも、今の自分を更新しようという気持ちと正しい努力があれば必ず成果は出るということに楽しみを感じています。今年は全国トップ3への入賞を目指して、精一杯頑張っていきます」
努力はやみくもにするだけで報われるものではなく、自身の求める方向に正しく合致したときに初めて成果をもたらす。明確な目標があるのなら、その目標への道筋を熟知した同士を見つけることも重要な努力のひとつといえるのではないだろうか。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 写真提供:永田えり
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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