増量期のトレーニング、あなたは「変える派」or「変えない派」?
日本トップレベルの選手12名とマッスルゲート出場者320名の調査から実際に効果的な増量戦略を徹底分析する【増量のリアル】シリーズ最終回の第六弾!
オン・オフで分割を変え、高強度で攻める「変える派」か? 常に身体の改善を意識しながら積み上げる「変えない派」か? ボディビル&フィジーク競技者たちのリアルな声とデータから、その答えに迫る!
取材・文:舟橋位於 撮影:中島康介 EastLabs Photo Team、 構成:あまのともこ

2024年マッスルゲート出場の320名と日本のトップ選手12名へのリアル調査❻「トレーニング内容は変える?変えない?」
その他の調査結果はこちらの記事から見られます。
【増量のリアル】マッスルゲート320名+トップ選手12名の調査で判明!バルクアップ成功への”最適解”とは?
トレーニング内容 変えない派
須江正尋
『常に身体を改善させる意識を持つことができる』

須江正尋
2023年IFBB世界選手権
ボディビルマスターズ55〜59歳75㎏以下級2位
昔から、オフとオンでトレーニングの内容を変えることはしていません。場合によってはトレーニング頻度を上げることはありますが、それも調整局面で毎回必ず行うというわけではないです。トレーニングの中で自分の身体についてよく考え、今の身体を改善するために必要なことは何かを常に意識するようにしています。そのため、メニューや手法の変更は、改善点に気づいたタイミングでオンオフ問わずに行います。最近で言えば、これまでは広背筋狙いで背中の下部や中部を刺激していたところを、背中全体の発達を考えて上背部よりのトレーニングに重点を移したのが一例です。ベテランになってくると、1年で仕上がり体重が何kgも増えるということはなかなかないです。しかし、たとえ指一本分の筋肉量だったとしても、その分だけ肩が横方向に張り出せば、見え方は大きく変わってくるはずです。常に身体をインプルーブさせようと考えて取り組むことが大切です。
2021年、月刊ボディビルディングの取材で相澤隼人選手と背中トレーニングを行ったときの須江選手(撮影:BEN)
すえ・まさひろ
1967年2月27日生まれ。埼玉県出身。身長161cm、体重70㎏(オン)、77kg(オフ)。1988、1989年全日本学生ボディビル選手権優勝。2008、2009年日本男子ボディビル選手権2位。2023年IFBB世界選手権ボディビルマスターズ55~59歳75kg以下級2位。
"変えない派"のマッスルゲート出場選手の声
「トレーニングは筋肉を増やすために行っているから、減量のためのトレーニングはしません」 クラシックフィジーク 小柳渚生
「ほぼ変えません。フリーウエイトが好きです。大会1カ月前位になると怪我が怖いので、少し工夫はします」ボディビル 篠原綾希
「各部位に反応がいいメニューは減量期も増量期も変わらないからです」メンズフィジーク 白石和也
「いろいろやってみて、変えない方が体調や筋肉のコンディション、トレーニングの質などが安定することが分かったからです。」クラシックフィジーク 坪内義弘
トレーニング内容 変える派
藤井貫太朗
『オンとオフでテーマを明確に変えることで、必要なことに集中して取り組める』

藤井貫太朗 2024年日本クラス別ボディビル選手権70㎏以下級2位
オンとオフではトレーニングの分割が変わります。減量期は、胸・肩・三頭、背中・二頭、脚の3分割に週1回のオフを加えたものを繰り返します。一方の増量期は、胸、肩、背中、腕、脚(前面)、脚(後面)で週6日トレーニングします。このプログラムはAthleteBodyのコーチングで指導されたもので、3年前から続けています。僕は減量が苦手で絞り切るということができなかったので、コーチングで客観的な目線からアドバイスをもらおうと思ったのが導入のきっかけです。自分の中で決めているのは、増量中はトレーニング強度をとにかく上げること、減量中は上げてきた強度の維持に徹することです。今年はコーチングに則って無理のない計画で進められたので、強度の維持はよくできたと思います。増量中は重量やレップ数を伸ばすことにとにかく集中するので、減量時と比べると緊張感が大きくなります。現在メインで行う種目はBIG3です。
2024年、飛躍の年となった藤井選手。増量期はBIG3の記録更新に集中する
ふじい・かんたろう
1995年9月19日生まれ。大阪府出身。身長168㎝、体重71~72kg(オン)、83~85kg(オフ)。トレーナーおよび運動指導士。2022年関西クラス別ボディビル選手権70kg以下級優勝。2024年大阪府ボディビル選手権優勝。2024年日本クラス別ボディビル選手権70kg以下級2位
"変える派"のマッスルゲート出場選手の声
「増量期にはシーズンで明らかになった弱点を克服するために、弱い部分の種目を変えたり、量を増やしたりなど試行錯誤期間と捉えています」マスキュラーフィジーク 馬田健太郎
「増量期はバルクアップのためにパワー系のトレーニングに力を入れています」ボディフィットネス 山田美穂
「減量中は全身法で代謝を上げることをメインに、増量中は弱点箇所を徹底的に鍛え、高重量トレーニングで筋力をつけるようにしています」メンズフィジーク 長野博之
「増量期は時間と心に余裕があるので色々試しながら自分に合うものをみつけていきます。弱点克服のため苦手なものもやります」ウェルネス 宮井 郁