コンディショニング フィットネス

YouTubeで話題のトレーナーが伝授!腰痛解消におすすめのセルフコンディショニング【連載】

ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル「前田のまいにちセルフケア by GronG」(登録者は24万人以上※2024年8月時点)を運営する前田修平(NASM-PES、はり師・きゅう師)さんが科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝える本連載。第2回目は「腰痛解消におすすめのコンディショニング」だ。

結論:腰痛対策は痛みのセンサーを働かせないことが大事。ストレッチを活用して、身体を整えよう!

ご自身や周りの知人、友人に「腰痛になったことがない!」という方はおそらく少ないのではないだろうか。古いデータだが、2003年の「腰痛に関する全国調査」では、男性の約6割、女性の約5割が「治療を必要とするほどの腰痛」を経験したとある1)。かく言う私も学生時代から腰痛に悩まされてきた。今でも油断をすると、腰痛の影が忍び寄ってくるものだ。自身でのセルフケアにより、頻度は減ったもののリスクがゼロとはいかない。

慢性腰痛は日本人の多くが悩まされる代表的な症状のひとつ。たとえトレーニング経験が多くても、腰痛ばかりは避けられないという人もいるのではないだろうか。

名は体を表すとはよく言ったもので、腰は「月(部首:にくづき=身体)の要」と書く。身体における重要度の高い部位について、対処方法を理解しておくと快適な身体づくりにも役立つはずだ。

▼第1回記事

YouTubeで話題のトレーナーが伝授!肩こり解消におすすめのセルフコンディショニング【連載】

目次
1. 腰痛の原因とは?
2. 腰痛対策にストレッチをやらない理由はない
3.まとめ

1. 腰痛の原因とは?

腰痛は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、内科疾患など原因が明らかな「特異的腰痛」と、原因が不明瞭な「非特異的腰痛」の2種類に分類される。日常的に起こりやすいのは後者の非特異的腰痛で、一般的には筋肉や靭帯の問題、姿勢の悪さ、疲労などが関与していると考えられている。

非特異的腰痛は現代人の生活を考慮すると、誰にでも起こりうると言える。何も対策を講じない場合、痛みや違和感にさいなまれることになるだろう。長時間のオフィスワーク、運動不足、姿勢、度重なるストレスと緊張、肥満などなど。

生活のインフラとして食事のデリバリーサービスが広がり、車や電車などアクセスの方法が便利になればなるほど、使える時間は増え、労力は効率よくなっていく一方で、失っていくものも多いのかもしれない。動かなくてよい生活の結果として、腰に痛みやこりが発生してしまうこともある。

【腰痛になりやすい場面】
1. 長時間の座り仕事: オフィスワークやデスクワークが多い現代の生活では、長時間座ったままでいることは避けがたい。正しい姿勢を保たないまま長時間座っていると、腰に負担がかかり、腰痛の原因となる。
2. 運動不足: 現代人は運動する機会が減りがち。筋肉が弱くなると腰椎を支える力が低下し、腰痛を引き起こしやすくなる。
3. 姿勢の悪さ: スマートフォンやパソコンを使う際に前かがみの姿勢を続けることが多く、姿勢が悪くなる。人の頭部は体重の10分の1ほどの重さがあり、スイカやボーリングの球を身体の前で支えることを考慮すると、腰にも負担がかかりやすくなるのは容易に想像できるはず。
4. ストレスと精神的な緊張: ストレスや緊張は筋肉の緊張を引き起こし、特に腰部の筋肉が硬くなる。これが腰痛の一因となる。
5. 肥満: 体重が増えると腰にかかる負担が大きくなる。特に腹部の脂肪が増えると、腰椎(腰の背骨)への負荷が増し、腰痛を引き起こしやすくなる。

2. 腰痛対策にストレッチをやらない理由はない

なぜ、ストレッチは腰痛に有用なのか。それは痛みを感じてしまう悪循環を断ち切る方法だからである。
腰痛が起こるサイクル
① 長時間同じ姿勢を続けると、血行が悪くなり筋肉が硬くなる
② 痛みを感知するセンサーが働く
③ 痛みの信号が神経を通じて脊髄から脳へ伝わる
④ 脳が痛みを感じる
⑤ 痛みに対する反応(腰を押さえたり、動かしたくなる)
⑥ 痛みが長引く(センサーが過敏になり、より痛みを感じやすくなる)

ストレッチをすると・・・
① 定期的に筋肉が伸ばされ、血行が良くなり筋肉が一定の柔軟性を保てる
② 痛みを感知するセンサーが働かない
③ 痛みの信号がでない
④ 信号がないため、脳も痛みを感じない
⑤ 痛みを感じにくい身体になる(センサーが正常に働くようになる)

身体のトラブルには早めの対応がカギになる。わかっていてもやめられないことを続け、身体を痛めたり悩みを抱えているのだとしたら、ほんの5分から10分のストレッチをすることに時間を使おう。

以下のストレッチを痛みのない範囲で実践してみよう。セルフでできる腰痛対策を5つご紹介!

2.1 背骨周辺のストレッチ

1. 四つ這いになり、背中を丸めたり背中を反らせたりを繰り返す。30秒キープ。
肩の真下に手、骨盤の下に膝を置くのがポイント。


2.2 ハムストリングスのストレッチ

1.両足を前に伸ばし、片方の足を膝の下に置く。
2.一度身体を起こしてから、前に倒す。30秒キープ。
3.反対側も同様に

2.3 おしりのストレッチ

1. 膝の上とくるぶしを重ねて足を組み、胸の方へ手で引き寄せる。
2. あごを引き、背すじを伸ばした状態で30秒キープ。
3.反対側も同様に

2.4 腸腰筋のストレッチ

1. 膝立ちになり、片足を前に出す。膝は90度ほどに曲げる。
2. おしりに軽く力を入れて、両手を前の膝に付き重心を前に移動する。30秒キープ。
3.反対側も同様に

2.5 腰ひねりストレッチ

1. 仰向けで片膝を立て、反対の足と交差させる。
2. 片手を膝に置き、腰をひねるようにして床に近づける。30秒キープ。
3.反対側も同様に

これらのストレッチを毎日続けることで、腰周辺の筋肉を柔らかく保ち、血液のめぐりが良い状態を維持することができる。

3. まとめ

腰痛対策はいたってシンプル。「ちょっとデスクワークに集中し過ぎたな」と感じたら、気分転換ついでに軽く身体をほぐそう。痛みのセンサーがはたらこうとしている時は、きっとあなたも十分に働いているはず。身体に痛みを認知させないためには、痛みのセンサーを働かせる前に対策することが大切。ストレッチはハードルが高くなく、比較的誰でも取り組みやすいはず。ぜひ、自分の身体ファーストで忙しい毎日を乗り切ってほしい。

引用・参考文献
日本整形外科学会. (2003). 腰痛に関する報告書. 日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/lumbago_report_030731.pdf




佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手

-コンディショニング, フィットネス
-