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身体の機能を最大化する!人気鍼灸師・前田修平おすすめの【背骨と骨盤周辺のストレッチ4選】

ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル「前田のまいにちセルフケア by GronG」(登録者は28万人以上※2025年1月時点)を運営する前田修平(NASM-PES、はり師・きゅう師)さんが科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝える本連載。
第6回のテーマは「背骨と骨盤周辺のストレッチで身体の機能を最大化しよう!」です。

【動画】全身ストレッチ|すご〜く丁寧に身体を伸ばそう【25分間】

 

知識を行動に変えよう

AIに「健康的な身体を維持するにはどうすればいいですか?」と質問すると、「1日に7000歩以上歩きましょう!」 「トイレのついでに10回スクワットしましょう!」という回答が返ってきそうだ。確かにまっとうな意見だが、その返答をみても実際には身体を動かさない人がほとんどではないだろうか。「頭で理解している」と「身体を使ってやったことがある」の2つにはとても大きな隔たりがある。もしかして、この記事を読んでいるあなた自身も前者かもしれない。

しかし、現代人が日々の生活やスポーツ、仕事で最良のパフォーマンスを発揮するために必要なことは後者になることだ。ヒトは脳で考えたり、物を創ったり利用したりと、他の動物にはない素晴らしい機能を兼ね備えているのに、うまく使わないのは非常にもったいない。本体あるべき身体の基本的な機能を最大限に引き出すことが重要になる。

少し余談が多くなったが、身体の中でも特に重要な役割を果たしている部位。それは他の脊椎動物とも共通する、背骨から骨盤にかけての関節とその周辺の筋肉だ。

これらの部位は、全身の動きや安定性を支える基盤となる。そのため、ストレッチを通じて、本来あるべき動きを引き出しておくことは運動の手始めとしても重要度が高い。

今回は背骨と骨盤周辺の動きを出すストレッチの効果と、それを日常生活に取り入れるメリットついて解説する。また、背骨と骨盤の動きを出すための4つのストレッチも紹介するので、一日の習慣として取り入れてみて欲しい。

背骨と骨盤の役割

背骨は頭から骨盤までの身体の中心となる軸を形成している。二足歩行になったヒトは重力に抗い続けて生活しなければならないため、身体の安定性と柔軟性の両方が必要になる。骨盤は背骨と下半身をつなぐ要となる。立つ、しゃがむ、歩くなどの日常的な動作に欠かせない中心的な部位である。

これらの部位の動きが硬くなると、以下のような問題が生じる場合がある。

姿勢不良(猫背、反り腰など)
腰痛や肩こりなどの慢性的な痛み
パフォーマンス低下(スポーツや仕事での動きが鈍くなる)
呼吸の浅さや疲労感の増加

これらの問題を防ぐために必要なことは、ストレッチをはじめとする軽い運動で、背骨と骨盤の動きをスムーズに保つことである。

ストレッチの効果

背骨から骨盤の動きを引き出すストレッチには以下の効果があげられる。

 柔軟性の向上
筋肉や関節がほぐれることで身体の動きがスムーズに。特に胸椎(背骨の中央)や骨盤周辺の柔軟性が高まると日常動作や運動が楽になる。

姿勢の改善
胸椎の動きが硬いことによる猫背、骨盤の動きが制限されることによる反り腰や骨盤の前傾。これらを改善するストレッチは筋肉のアンバランスを調整する助けとなる。

痛みの軽減
慢性的な腰痛や肩こりの原因の多くは関節の硬さや筋肉の緊張から起こりやすくなる。背骨や骨盤周辺をストレッチすることで血流が促進され、痛みの緩和につながる。

パフォーマンスの向上
身体の中心部分が柔軟で安定していることで、手足の無駄な動きが軽減される。全身の力を効率的に使えるようになると、スポーツや運動の場面で、パフォーマンスが向上しやすくなる。

呼吸機能の改善
胸郭(背骨の中央と肋骨で構成させる部位)の柔軟性の向上は、肺が広がりやすくなり、深く効率的な呼吸が可能になる。深い呼吸は身体をリラックス状態に導き、疲労感の軽減や集中力向上への期待が持てる。

日常的にストレッチをおこなうメリット

背骨と骨盤周辺のストレッチを日常的に行うことの意義は、身体だけでなくメンタル的にもポジティブな影響をもたらす。

1. 疲れにくい身体づくり
柔軟性が高まり、関節や筋肉の負担が軽減しやすくなる。日常の動作が効率化し、消耗しなくなると疲れにくい状態になる。

2. ストレスの軽減
ストレッチによる副交感神経の優位化は心身をリラックスさせる働きを持つ。ストレスの軽減と気分のリフレッシュが期待できる。

3. 代謝の向上
骨盤周辺の動きを促進するストレッチによる血流の促進は代謝の向上につながる。冷えやむくみの対策としてもおすすめだ。

4. 毎日の快適な動作
ストレッチによる身体の可動域の拡大。家事や歩行、階段昇降などの日常動作がスムーズになると、身体を動かすことも億劫でなくなりそうだ。

おすすめの背骨と骨盤周辺ストレッチ4選

背骨と骨盤周辺の動きを出すための具体的なストレッチを紹介する。
各ストレッチは1回あたり60秒ほどを目安に取り組もう。

1. キャット&カウ

四つん這いの姿勢になり、背骨を丸めたり反らせたりする。胸椎と骨盤の動きを引き出し、背骨全体の柔軟性を高める。

2. ツイストストレッチ

床に寝転がり、背すじをまっすぐに保つ。下半身と上半身を互い違いにひねり背骨の回旋を促す。

3. 腸腰筋のストレッチ

膝立ちで足を前後に開き、上半身と下半身をつなぐ筋肉をストレッチ。骨盤の動きをスムーズにする。

4. おしりのストレッチ

仰向けに寝て、足を4の字に組み、両足を持ち上げる。骨盤周辺の筋肉の柔軟性を高める。

まとめ

結論として、身体本来の機能を維持するためには、それほど激しい運動は必要ない。日常生活をしっかりこなして、軽いストレッチやトレーニング、ウォーキングなどを取り入れれば十分まかなえるものだ。

背骨から骨盤周辺の動きを出すストレッチは身体本来の機能を最大化するための鍵となる。柔軟性を高め、姿勢を調節し、慢性的な痛みを和らげるためにまずはコツコツ続けてみよう。

また、ストレスフルな社会では心身のリラックスも非常に重要である。呼吸が深くなる、リラックスしやすくなるなどの副次的な作用も期待できるため、忙しい日々の中でも、毎日5〜10分のストレッチを習慣化してみよう。

AIにあなたの身体を動かすことはできない。自分の身体を動かすのは誰でもなく、あなた自身だ。

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著者:前田 修平(まえだ・しゅうへい)
NASM-PES、はり師・きゅう師。ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル『前田のまいにちセルフケア by GronG』を運営。登録者は23万人以上(※2024年6月時点)。科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝えている。

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