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高知県・大豊町でマッスルバケーション!? HYROXジムとプライベートリバーで「観光しながらトレーニング」

英国人の父と、高知県・大豊町出身の母を持つパチレオ・バイオレットさんは、金融の世界で長年働いてきた。だが2020年、コロナ禍をきっかけに東京から母の故郷・大豊町へ移り住み、今では山あいの町でトレーニング施設と宿泊施設を運営している。

中段中央にいるのがバイオレットさん

人口の少ない山間部で、本格的なクロスフィットやHYROXのトレーニングができる施設を作る――。一見すると意外な挑戦だが、その背景には、バイオレットさん自身の国際的な生い立ちと、「町おこしのためにできることをしたい」という思いがあった。

英国人の父と大豊町出身の母 金融の世界から故郷へ

バイオレットさんは日本生まれ。父は英国出身で、1960年代に世界をバックパッキングして回っていたという。

「父はヨーロッパから中東、アジアを通って韓国まで旅をして、そこから船で日本に来ました。本当はそのままオーストラリアへ行く予定だったそうです」

しかし東京で、原宿でファッションデザイナーをしていた母と出会った。二人は結婚し、父は早稲田大学や早稲田高等学院で英語とラグビーを教えるようになった。

幼い頃のバイオレットさんは、父の勤務先で過ごすことも多かったという。

「父が高校生を教えている教室の前に座って、塗り絵をしたり宿題をしたりしていました。ラグビー部の合宿にもよく付いて行きました」

その後、金融業界へ進み、日本株を扱う仕事を約15年続けた。香港のヘッジファンドと契約し、東京でリモートワークをしながら働いていたが、2020年、母が高齢となり、故郷の土地や家の管理が難しくなったことから、大豊町への移住を決意した。

「最初は夫と子どもだけが先に大豊に来て、私は東京に単身赴任のような形で残っていました。でもコロナ禍で行き来が難しくなって、2020年の夏に私もこちらへ移ってきました」

「町おこしのために」 補助金を活用してジムを立ち上げた

大豊

大豊町に移り住んだ当初、バイオレットさんは本格的にジムを始めるつもりではなかったという。

「最初は、コロナが落ち着くまでここで暮らして、その後また都市部へ戻るつもりでした」

しかし、自宅車庫で家族がトレーニングをしている姿を見た地元の人たちから、「教えてほしい」と声をかけられるようになった。そこから、地域の人たちが運動できる場所を作れないかと考えるようになった。

ちょうどその頃、国の事業再構築補助金の存在を知った。もともと金融業界で財務分析をする仕事をしていた経験があり、自ら10年計画の事業書を作成。業種転換を前提とした補助金に応募し、採択された。

「私は金融出身なので、資金調達や事業計画を立てることに対しての違和感があまりありませんでした。町おこしのために何かやりたい、という思いもあって応募したら採択されたんです」

こうして誕生したのが、大豊町でトレーニングと宿泊を組み合わせた施設「クロスフィットおおとよストレングス」だった。

一般的な地方のジムと違うのは、ジム単体ではなく、宿泊事業を組み合わせている点である。むしろ、売り上げの中心は宿泊の方だという。

「地元の人たちに安く運動の場を提供するためには、宿泊で収益を作る必要があります。観光で来てくれた人のお金で、地域の人が運動できる場所を維持しているイメージです」

現在は一棟貸しの宿泊施設を運営しており、今後さらに2棟増やす予定だという。宿泊者は、チェックインからチェックアウトまでジムを自由に利用でき、トレーニングクラスにも参加できる。

「観光しながらトレーニング」の文化を日本にも

施設を利用する地元会員は、40代以上が中心で、特に50〜70代が多い。さらに、地域の子ども向けのキッズクラスも行っている。

一方で、県外から訪れる利用者も少しずつ増えている。特に近年は、世界的に人気が高まっているフィットネスレース「HYROX」をきっかけに訪れる人が多いという。

「四国でHYROXのトレーニングができる場所はまだ少ないので、県外からパーソナルを受けに来る人もいます。HYROXの大会に出る前後に、ここへ寄ってトレーニングしながら観光していく人もいます」

バイオレットさんが目指しているのは、単なる“山奥のジム”ではない。旅行や観光とトレーニングを組み合わせる、新しい滞在の形である。

海外では、ホテルの中にジムやクロスフィット施設があることは珍しくない。しかし日本では、まだ「旅先でも本格的にトレーニングしたい」というニーズに応えられる場所は多くない。

「トレーニングをする人って、どこへ行っても身体を動かしたいんです。旅行をして、リラックスして、トレーニングもして、そのうえ地域にも貢献できる。そういう場所として使ってほしいと思っています」

山に囲まれた大豊町では、トレーニングの後に川へ入ったり、バーベキューや焚き火を楽しんだりすることもできる。また大豊町を流れる吉野川のラフティングは、激流で知られる日本有数のスポットでもある。地域の子どもたちが飛び込んで遊ぶ小川には、ジム施設から新たに階段も整備した。

「自分のために旅行をすることや、リカバリーのために自然の中で過ごすことも、すごく大事だと思うんです。観光しながらトレーニングするという文化が、日本でももっと広がっていけばいいなと思っています」

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