フィットネスといえば「一人で黙々とトレーニングするもの」――そんな常識が変わりつつある。大阪市内でLAULEAを始めとする3店舗のジムを展開する古橋周治(ふるはし・しゅうじ/31)さんは、セミパーソナルという新しい形態を軸に、トレーニングを“人とつながる場”へと進化させている。
パーソナルでもない、完全なグループレッスンでもない。その中間にあるセミパーソナルの魅力とは何なのか。

古橋さんは現在は大阪市内で3店舗を運営。個室型パーソナルジムに加え、HYROX対応のセミパーソナルジム、さらに女性専用のセミパーソナルジムも展開し、会員数は約350人にまで拡大している。
セミパーソナルの本質は「人と人がつながる場所」
古橋さんが最も重視しているのが、セミパーソナルという形態だ。1対1で指導するパーソナルではなく、複数人を同時に指導するセミパーソナル。
「他のジムと違うのは、お客様同士のつながりが強いところ。会社でも家族でもない“サードプレイス”になっていると思います」
一般的なパーソナルジムでは、利用者同士の交流はほとんどない。しかしセミパーソナルでは、同じ空間でトレーニングをすることで自然なコミュニケーションが生まれる。
年齢や職業が違ってもフラットに会話ができる関係性は、大人になると得がたいものだ。「会社の愚痴や家庭の話など、気軽に話せる場所になっている」と話す。さらに、同じメニューをこなしながらも、重量設定やフォームは個々に合わせて調整。少人数制だからこそ、パーソナルに近い指導も可能だ。
「複数人なのに、ちゃんとパーソナルのようにアドバイスがもらえる。そのバランスは大切にしています」
継続率の高さが証明する“ひとりじゃない強さ”

セミパーソナルの価値は、数字にも表れている。古橋さんのジムでは、月間の退会率が約3%台と非常に低い水準を維持しているという。
「スポーツクラブだともっと高いと思うんですが、うちはかなり低い。幽霊会員も少ないです」
その理由は明確だ。人とのつながりがあることで「行かなければ」という自然な動機が生まれる。
「一人だと出しきれない力も、誰かと一緒だと出せる。きついことを共有することで仲も深まるし、パフォーマンスも上がる」
実際、ジムからはHYROX大会に50〜60人規模で出場。古橋さん自身も妻の綾香さんとミックスダブルスで出場するなど、コミュニティとしての一体感が強い。
「一緒に練習した仲間を応援する。その一体感は、普通のトレーニングでは味わえない魅力です」
“一人で鍛える文化”からの転換へ
古橋さんは、日本のフィットネス文化についてこう指摘する。
「日本は一人で黙々とトレーニングするのが当たり前。でも海外では、クロスフィットやHYROXのように“みんなでやる”のが普通です」
一人で追い込むトレーニングも価値はあるが、それだけでは得られないものがある。人と一緒に汗を流すことで生まれる刺激、モチベーション、そして人間関係。
「複数人でトレーニングするのも、案外悪くない。むしろ、それが当たり前になる可能性もあると思っています」
セミパーソナルは、単なる“安価なパーソナルの代替”ではない。人と人をつなぎ、トレーニングの価値そのものを拡張する新しいフィットネスの形だ。
古橋さんの挑戦は、ジムの在り方だけでなく、日本のトレーニング文化そのものを変えていく可能性を秘めている。
取材・文:FITNESS LOVE編集部 写真提供:古橋周治










