人生の変化は、ほんのささいな興味から起こることがある。
「生まれてから一度も痩せたことがなかったので、本気で努力したらどこまで変われるかと興味を持ちました」
七三BOY(30)さんはあるときこう思い立ち、ボディメイクに乗り出した。10歳から極真空手をしており、「大きい身体がカッコいい。ゴリゴリこそがTHE漢」という信念のもと食べては鍛える日々を送った結果、身長161cmで体重80kgの打たれ強いボディとなっていた。脂肪を落とした身体を一目見るため、ジム通いを始めたという。
「極真時代はウエイトトレーニングをしたことがなかったので、ゴールドジムに入会して初心者プログラムで基礎から学びました。また、自主的にYouTubeやInstagramでトレーニング法を勉強しました」
ウエイトトレーニングには馴染みがなかったが、根性がすごかった。腕立て(拳立て)や自重スクワット、足で踏まれながらの腹筋などを1000回以上というハードな鍛錬に耐えてきた身体はすぐにトレーニングに順応し、週に5回、1回2時間以上のハードなジム通いを習慣化した。それでも、当初は続けるのが辛いこともあったという。
「1回サボってしまうと行きたくなくなり、ジムへ足が遠のくことが何度かありました。仕事で疲れている、身体が痛いなど休む理由を考えたらいくらでも出てくるので、それに負けないようにとにかく通うように頑張りました」
仕事帰りに寄れる場所にジムを選んだのも功を奏したという。食事は鶏胸肉と白米をメインにした低脂質に変更。身体はみるみる変わっていった。
「日に日に自分の変化を感じました。最も変化を感じたのは大腿四頭筋です。空手の時から太さはありましたが、筋肉の凹凸はあまり感じられませんでしたが、ジムで筋トレをはじめてからYouTubeでみる人たちのような脚になっていき嬉しかったです。自分の身体のなかでの推し筋肉です」
そして2023年、大会出場の登竜門と呼ばれるマッスルゲートにも出場。60kgに絞り上げ、くっきりと形を現した筋肉を披露した。念願の痩せた自分を見ることができた七三BOYさんは、今後の目標をさらに高みに据える。
「2025年の東京ノービスに出場し、6位以内入賞を目指して頑張りたいです。そしてその上のクラス別などの大きな大会に出るのが現在の目標です」
ふと始めたことから新たな自分を発見し、今までとは違った人生の目標と生き甲斐を見つける。慣れた日常に飽きたときは、今までとは全く違う自分を探してみるのもいいかもしれない。熱中できるものは多ければ多いほど、人生は楽しい。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:にしかわ花 写真提供:七三BOY
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。