「高校1年生の夏に、10年間やってきた柔道を辞めました。練習は厳しかったですが、身体はしっかりそれに応えて変化してくれてきたなと気づいて、せっかく得てきたものを無駄にするのは勿体ないと感じトレーニングだけでも継続しようと思いました」
【写真】山田一輔さんのガッシリとついた肩周りビフォーアフター
山田一輔(やまだ・かずほ/19)さんは、こうしてボディメイクの世界に足を踏み入れた。最初は暇つぶし程度にトレーニングに臨んでいたが、ある日、YouTubeで偶然流れてきたメンズフィジークの動画に目を奪われたという。この競技で上を目指したい。それから山田さんは本格的にトレーニングに打ち込んだ。
「週5〜6回で胸・三頭、背中・二頭、脚、肩の4分割にしました。食事は高校生のころは寮生活だったので、白米を1食に4杯くらい、あとはお小遣いでプロテインを買ってタンパク質をしっかり摂るようにしました」
ボディメイクには、柔道で経験してきた楽しさとはまた違う楽しさがあったという。
「柔道の楽しさは、試合で1本を取ることだと思っています。ですが、練習では強い人に負けることが多く、日々の練習で成長を感じることが少なかったです。ボディメイクは毎回のトレーニングで前回の自分を超える、自分との勝負と考えていて、扱う重量や回数の変化で成長や身体の変化を感じることが多いです。成長を感じる機会の差が多くなったこと、これが夢中になった理由だと思います」
あまりにのめり込んでいたため、周囲からは「ずっと一人でトレーニングをしている人」というイメージを持たれていたという。しかし、ベンチプレスを100kg挙げたり、寮の行事でフリーポーズを披露する機会が訪れてからその反応は変わっていった。トレーニングを教えてほしいと同級生や後輩に話しかけられる機会が増えていき、以前よりも人との交流が多くなっていった。
「筋トレを通じて新たにできたコミュニティはとても楽しかったです。筋肉量もどんどん増えていきました。体重は60kgから84kgになり、筋トレを始めてから現在でデータ上は10kg以上、筋肉量が増えています」
山田さんは今までに「筋肉のウィンターカップ」と呼ばれる立志舎主催の高校生大会『RHF高校生フィットネスボディコンテスト』、「初心者が日本一参加しやすいコンテスト」とされ親しまれる『SHAPE FIT FESTIVAL(SFF)』2024大阪大会に出場。将来の目標はもちろん最初に抱いた志のままだ。
「初めて観たメンズフィジーク動画に写っていた伊吹主税選手(JBBFメンズフィジーク現王者)のようになるのが夢です。メンズフィジーク競技で日本一になりたい。その目標をぶらさず、トレーニングを続けていきたいと思います」
目指す場所は変わっても、目標があるということはそれだけで人生を豊かにしてくれる。そして、それが孤独な始まりでも、志を持ち懸命に取り組む姿に人は惹かれ集まっていく。山田さんが伊吹選手に憧れたように、いつか山田さんの背中を目指す人々が現れる未来を応援したい。
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取材:にしかわ花 写真提供:山田一輔
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。