減量 ヘルスケア

「ダイエット=減量」は間違い!?あなたの身体が輝く健康的なダイエットとは?セルフケアの専門家・前田修平が考える体重との向き合い方

気温が上がり、薄着の季節が近づくにつれ、「ダイエット」を意識する方も多いのではないでしょうか。そんな中、日本肥満学会が若い女性を中心とした「痩せすぎ」について警鐘を鳴らしたことがニュースになりました。


【動画】一緒にチャレンジ!全身引き締め筋トレメニュー【30分】

体重は、私たちの健康状態を示すバロメーター。高すぎても、低すぎても、生活習慣病やサルコペニア、フレイルなどのさまざまな健康リスクを高めることがわかっています。だからこそ、身体と正しく向き合い、ちょうどよい体重を探ることが大切なのです。

今回は、セルフケアの専門家として、体重との健康的な向き合い方ついてお話しします。

身体との正しい向き合い方:BMIと体脂肪率を知る

まずは「なんとなくの数字」を見直しましょう。

「なんとなく体重は◯kg以下がいいな」ではなく、どのくらいの数字がご自身にとって無理がないかを知っておくことが大切です。

今回は、体重に関する指標として【BMI】と【体脂肪率】についてご紹介します。

❶ BMI(Body Mass Index):体格指数

BMIとは、身長と体重から計算できる「肥満度を表す」指標です。具体的には「体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)}」で計算できますが、今はインターネット上のツールなどで簡単に出すことが可能です。

BMIの指標と区分

  • 18.5未満: 低体重(痩せ)
  • 18.5以上 25未満: 普通体重
  • 25以上: 肥満

データでは、BMIが「22」のときに、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に最もかかりにくいとされています。まずはご自身のBMIを計算し、どの範囲にあるかを確認してみましょう。同じ50kgの体重でも、150cmの人と、170cmの人では数値が異なります。つまり、体格によって適した体重が変わるということです。

❷ 体脂肪率:体重に占める脂肪の割合

体脂肪率は、体重のうち、体脂肪の重さが占める割合です。同じ体重でも、筋肉と脂肪のどちらが多いのかによって見た目の印象や健康状態は大きく異なります。

一般的に、健康的な体脂肪率の目安は以下の通りです。

・男性: 10%~20%未満
・女性: 20%~30%未満

体脂肪率は、家庭用の体重計やフィットネスジムなどの体組成計を使って測定できます。ただし、食事の状況などで数値は変化します。あくまでも目安としておきましょう。

あなたに必要なのは「減量」?それとも「増量」?

「ダイエット=体重を減らすこと」ととらえられがちですが、必ずしも正しくありません。減らした方がよいときと、増やした方がよいときがあります。

・減量: 主に体脂肪を減らすこと
・増量: 主に筋肉量を増やすこと

この二つを区別して考えることが重要です。2つ例を挙げてみましょう。

事例 Aさん(男性)の場合:身長170cm、体重90kg、 BMI31.1、体脂肪率31%

⇒減量を優先:体重、体脂肪率共に高い状態です。この人は「肥満」に分類されます。社会人になって食生活が乱れたり、運動不足になったりした方によく見られます。この場合はまず生活習慣を見直して、無理のない範囲でウォーキングや筋トレなどの運動を始めるのがよいでしょう。やみくもに痩せるのではなく、運動と食生活の見直しによって筋肉を増やし、体脂肪を減らすことを優先します

事例② Bさん(女性)の場合:身長170cm、体重50kg、BMI17.3、体脂肪率28%

⇒増量を優先:BMIは低体重の範囲で、体脂肪が多い状態です。この人は「かくれ肥満」に分類されます。若年層の女性に多くみられ、無理なダイエットを繰り返した結果、筋肉量が減って体重が落ちた方に多いパターンです。この場合は、痩せることよりも運動と食生活の見直しによって筋肉を増やすことのほうが、優先順位が高くなります。

筋肉は脂肪よりも密度が高く、同じ体積であれば重くなります。そのため、見た目は引き締まっていても、筋肉量が多いために体重が重い、というケースは珍しくありません。同じ体重でも見た目が変わるのは、これが要因なのです。

もしあなたが「痩せたい」と思っている場合でも、BMIが低体重の範囲であり、体脂肪率が著しく高いなら注意が必要です。体重を落とすのではなく、筋肉量を増やすほうが、長期視点での健康的な身体につながる可能性があります。

ご自身のBMIと体脂肪率を確認し、「体脂肪を減らすべきなのか」「筋肉をつけるべきなのか」を見極めることが、適切なアプローチの第一歩です。

健康的な減量・増量の進め方

では、具体的にどのように体脂肪を減らしたり、筋肉を増やしたりすればよいのでしょうか。

❶【共通】エネルギーバランスの原則を理解する

体型が変化する基本的な仕組みは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスにあります。

・摂取カロリー > 消費カロリー: 体重は増える
・摂取カロリー < 消費カロリー: 体重は減る
・摂取カロリー ≒ 消費カロリー: 体重は維持される

まずは、現在の体重を維持するために必要なエネルギー量、いわゆる「メンテナンスカロリー」を知ることが大切です。これは、太りも痩せもしない現状維持のカロリーの目安です。基礎代謝量(生命維持に最低限必要なエネルギー)と、日常の活動量(生活活動強度)から推定できます。


これも【 基礎代謝量 計算 】でインターネット検索すると簡単に調べられるので、自身の指標を把握するのにおすすめです。

❷健康的な「減量」のポイント

体脂肪を減らすには、メンテナンスカロリーを少し下回るカロリー摂取を目指します。しかし、ここで注意が必要です。

注意点

  • 極端な食事制限はNG: 単に食べる量を減らすのではなく、必要な栄養素はしっかり摂ることが重要です。特に、筋肉を維持するためにタンパク質は欠かせません。十分に摂取しましょう。(総摂取カロリーの15〜20%程度をタンパク質から摂るのが理想ですが、個人差があります)
  • 筋肉を守る意識を: 食事制限だけで体重を落とすと、脂肪だけでなく筋肉も一緒に減ってしまいます。筋肉が減ると基礎代謝が落ち、かえって痩せにくくなることも。筋力トレーニングが最も効率的ですが、ウォーキングやジョギング、水泳など、ご自身が楽しめる運動を継続することも有効です。音楽を聴きながら散歩するなど、簡単なことからはじめましょう。
  • 焦らず、長期的な視点で: 体重は日々のわずかな変動があります。1日単位の視点ではなく、1週間、2週間、1カ月くらいごとにチェックしましょう。コツは、数字を追いすぎないこと。長い目で身体の変化を見守りましょう。ストレスはダイエットの大敵ですから、一喜一憂しないことが大切です。
  • 無理のないペースは1月あたり体重の5%減:100kgの人なら1カ月あたり5kgまでを目安にしましょう。60kgの人なら3kgまで。これも水分や筋肉で減らすのではなく、運動と合わせて筋肉をできるだけ維持します。

上記の表やスマートウォッチの消費カロリー計測などの情報から、1日の活動量がおおよそ把握できるので、そこからマイナス500kcal程度を目安に食事量を調節しましょう。マイナス500kcalにすると基礎代謝を下回るという方は、ダイエット目標をもう少し緩やかにするとよいでしょう。

❸健康的な「増量」(筋力アップ)のポイント

筋肉量を増やしたい場合は、メンテナンスカロリーよりも少し多いカロリー摂取が必要になります。理想の身体に近づくためには、一時的に筋肉や脂肪を増やした方がよい場合もあるのです。増加量の目安は上記の表に基づいて調節します。

ひとつの目安は下記のとおりです。

1日あたりプラス 250kcal〜500kcal

摂取カロリーを増やす時は、タンパク質の摂取量を固定するのがおすすめです。糖質、脂質については好みがあるので、ご自身で調節しましょう。

タンパク質摂取を意識: 筋肉の材料となるタンパク質を十分に摂取することが重要です。体重1kgあたり1.2g~2.0g程度を目安に、トレーニング強度や目的に合わせて調整しましょう。

筋力トレーニングは必須: 自分に合った筋トレをすることで、筋肉が増えます。ちょっとキツイけど、なんとかできる10回を目指しましょう。全身の筋トレを1回30分、週に2回くらいから始めるのがおすすめです。ジムでのマシントレーニングやフリーウェイト、自宅で動画を見ながらトレーニングなど、自分に合った方法で継続しましょう。

一緒にチャレンジ!全身引き締め筋トレメニュー【30分】

ジムの場合はトレーナーさんやサポートしてくれるスタッフがいるほうが、安心できますし、自己流でやらずに済むのでおすすめです。

適切なタイミングでの栄養補給と休養: トレーニング後の栄養補給(特にタンパク質と糖質)や、十分な睡眠も、筋肉の成長には欠かせません。繰り返しお伝えしますが、過度なストレスは身体の敵です。

まとめ

ダイエットとは、単に体重の数値を追い求めることではありません。身体の状態を正しく把握し、目的に合ったアプローチ(減量または増量)を選択し、バランスの取れた食事、適度な運動、そして十分な休養を継続することです。

体重、BMI、体脂肪率はあくまでも指標。他の人と比べず、数字に振り回されすぎず、何よりもご自身の身体と心に向き合いながら、健康的なライフスタイルを見つけましょう。

あなたは体型を変えた後、何をしたいですか?そのときの自分はどんな気持ちになっていそうですか?

もし、具体的な進め方に迷う場合は、医師やトレーナー、管理栄養士などの専門家に相談することをおすすめします。

小さな一歩から、始めてみてください。

著者:前田 修平(まえだ・しゅうへい)
NASM-PES、はり師・きゅう師。ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル『前田のまいにちセルフケア by GronG』を運営。登録者は29万人以上(※2025年2月時点)。科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝えている。

-減量, ヘルスケア
-,

次のページへ >


おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手