元Yoga&Fitness編集部員がインドで本格的にヨガ・アーユルヴェーダを学ぶため1カ月間の「ヨガ修行」を開始。ヨガ初心者、英語もうまく話せない、海外一人旅もしたことないような私ですが、「インド」で学んだことを何話かに分けて伝えていきます。
毎年100万人以上のヒンドゥー教徒が、沐浴と祈りの儀式のために集まる「ワラナシ」に訪れた。ワラナシはガンジス川で有名な場所だ。ヒンドゥー教徒は亡くなったらガンジス川に遺体を流す。そこら中で燃えている遺体の横で食事をする人、寝ている人、記念に自撮りをする人。そんな異様な光景の中で暮らすインド人だが、実際に彼らから感じたのは「生きる力」だった。
【写真】インドで感じた「生きる力」ガンジス川で有名なワラナシでのフォト
■ヒンドゥー教のカースト制度
人口が世界一となったインドでは、その80%がヒンドゥー教徒。ヒンドゥー教のカースト制度は、バラモン(司祭者)、クシャトリヤ(王族)、ヴァイシャ(庶民)、シュードラ(隷民)という4つの階級に分かれた身分制度だ。中にはこの4つのカーストにも属さない不可触民(上位カーストに触ってはいけない人)や、俗世から離れ自ら戸籍上の「死者」となるサドゥなどもいる。
インド人は結婚によって両家が一緒に住む(家族が増えていく)ことが多いためか、基本的には同じ身分の人同士でしか結婚が認められていない(上位カーストの親が大反対するため)。つまり、下位カーストに生まれれば一生下位カーストなのだ。
■“足るを知る”
ヨガの教えの中に「サントーシャ(知足)」という言葉がある。今あるものに満たされ、目の前の状況をありのままに受け入れることで、幸せに気づくことができるという教えだ。
今日の夜ご飯がないという子ども、子どもに飲ませるミルクが買えない母親、観光客にすがる彼らとは対極に、美しいドレスを見にまとう貴族たちが楽しそうに笑っていた。貧しい家では遺体を燃やす薪を少ししか買うことができないため、遺体が全て燃えきらないまま川に流される。
日本で見ることがない光景だが、そこに住む彼らにとってはこれが普通のことなのだ。そんな彼らからたくさんの話を聞くと、「私の家は裕福ではないけど」と前置きしながらも「私は自分を愛している」と答えてくれた。
日本は豊かな国と言われ、生きる上で必要不可欠ではない便利なもので溢れているのにG7各国で自殺死亡率が最も高いという現実。ワラナシは「生きたい」というパワーを強く感じる場所だった。
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松本実奈美(まつもと・みなみ) 元Yoga&Fitness編集部。退職後、ヨガ修行と一人旅を兼ねて約2カ月間インド生活を送る。WORLD PEACE YOGA SCHOOLの『200 Hour Yoga Teacher Training』講座修了
取材・写真:松本実奈美