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筋トレ後のグリコーゲン回復には「糖質のゴールデンタイム」がある!マルトデキストリンなどの正しい活用術

リカバリーを達成するために、サプリメントの力を借りるのも良い選択だ。今回は、比較的ベーシックな素材と、それに対応するやや珍しい素材を、サプリメントマスターの桑原弘樹氏が解説する。自分の症状と見比べて、使えそうなものがあればぜひチャレンジしてみよう。

取材・文:舟橋位於 写真:木川将史 Web構成:中村聡美

①マルトデキストリン

速やかなエネルギー補給ならやっぱりこれ

地球上の生き物は全て、ATPを使うことによって生きていくことができます。身体の中でATPを作る方法はいくつかあるのですが、なんといっても糖を使う経路が一番優秀です。そうなってくると、吸収の早いマルトデキストリンは、リカバリーという観点で非常におすすめできます。吸収されたマルトデキストリンはグリコーゲンという形になって、筋肉や肝臓に保管されたりもして、次に使われる機会を待つことができます。ハードな運動をすると、筋肉からはグリコーゲンがほとんど枯渇するのですが、このタイミングで吸収の早い糖質を補給してあげると、速やかにグリコーゲンの回復が引き起こされます。プロテインのゴールデンタイムのことを聞いたことがある方もいると思いますが、糖質摂取にもゴールデンタイムがあるんですね。ウエイトトレーニングに限らず、有酸素運動の後に取ってあげても、効率良くリカバリーを促せると思います。

推奨摂取量:30~50g

②アルロース

グリコーゲン合成を強力にサポート

アルロースは希少糖と呼ばれる成分です。自然界にほんのわずかにだけ存在する糖で、キシリトールなんかもその仲間です。アルロースはほとんどカロリーがないため、これ自体ではグルコースのようなエネルギー源にはなりません。しかし、アルロースは、グルコキナーゼの活性化という重要な機能を持ちます。消化吸収されたグルコースがグリコーゲンとして身体の中に蓄えられるためには、グルコース6リン酸という物質を経由する必要があります。グルコースがグルコース6リン酸になるのを助けるのがグルコキナーゼなのですが、人によってはこの部分の活性が低くて、食べてもなかなか太れないということがあるようです。アルロースによってグルコキナーゼが活性化されると、摂取したグルコースはグリコーゲンへと作り変えられやすくなります。前述のマルトデキストリンと合わせて飲んであげると、より効率良くリカバリーができるのではないでしょうか。

推奨摂取量:5g

③ヘム鉄

吸収効率は非ヘム鉄の5~10倍!

鉄は身体の中でさまざまな働きをします。代表的なのは、ヘモグロビンですね。鉄を中心にして作られたタンパク質で、全身に酸素を届ける役割をします。鉄分が不足して酸素を十分に運べなくなる症状が貧血です。鉄のサプリは大きく分けて2種類あり、植物由来の非ヘム鉄と動物由来のヘム鉄です。非ヘム鉄は吸収性が低いという弱点があるのですが、それに比べてヘム鉄は非常に吸収しやすいです。吸収が良いということは過剰摂取につながるのではないかと心配する方もいるかもしれませんが安心してください。不要な分は逆に吸収されないように作用してくれるのです。ヘモグロビンによる酸素の運搬を一つの例に挙げましたが、鉄は身体の中の多くの反応に関わりまは身体の中の多くの反応に関わります。そのため、サプリメントで十分な量を確保してあげると、全身の不調が軽減される可能性があります。リカバリーの感覚が大きいサプリメントだとも言えますね。

推奨摂取量5~10mg

④5-ALA

「ヘム」を作り出す珍しい素材

5-ALAはアミノレブリン酸と呼ばれる素材です。日本では、コロナウイルスに効果があるということで一時期流行りました。この5-ALAのポイントは、ヘム鉄で出てきた「ヘム」の部分を作り出すところです。口から摂取したヘム鉄は、身体の中でヘムと鉄に分離されて吸収されます。それから改めて、ヘムと鉄をくっつけてヘム鉄にするわけです。ヘムがリカバリーに効果的な理由の一つは、電子伝達系を回すためのシトクロムCの材料になることです。電子伝達系は、身体の中で最も効率良くATPを生み出すことができる装置です。マルトデキストリンがATPを作るための材料であるならば、電子伝達系は工場なんですね。なので、工場が正しく機能していないとATPも作れないわけです。いわばシトクロムCは工場の部品でもあるわけです。この5-ALAは身体の中でも作れますが、加齢により作れる量が減るので、サプリメントでの補充が有効かと思います。

推奨摂取量:20~50mg

⑤ビタミンB群

身体の中の代謝の主役

ビタミン類の中でも、B群は特に代謝に関わります。それも、タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素全ての代謝に関わる物質です。自由診療で「にんにく注射」というものがありますが、あれは実はビタミン注射なんです。ビタミンが血流に乗って鼻を通るときの匂いがにんにくに似ているので名付けられました。ビタミンB群は、食品で言うと豚肉に多く含まれますが、身体づくりをしている人では必要量が増えるので、サプリメントで補ってあげると良いと思います。他のビタミンやサプリメントと比べて、多めに取っているくらいの状態で良いでしょう。ポイントは、ビタミンBにも種類があり、それらが支え合いながら機能する点です。そのため、ビタミンB群がまとめて配合されているタイプのサプリメントを使うのがおすすめです。水溶性なので、取り過ぎても速やかに排出されるのも安心なところですね。

推奨摂取量:5mg

⑥還元型コエンザイムQ10

食事から取りづらいのでサプリがおすすめ

還元型コエンザイムQ10は、ATPを作る上で最もキーとなる成分だと言えます。最も効率良くATPを生み出すことのできる電子伝達系は、その名の通り、電子を運ぶことで機能します。コエンザイムQ10は、その電子伝達系の中で電子の受け渡し役を担います。すなわち、コエンザイムQ10が不足すると電子伝達系が潤滑に回らなくなり、ATPも効率良く作れないことになります。ATPが不足すれば、当然、全身の倦怠感が引き起こされたり、風邪を引きやすくなったりもするでしょう。また、コエンザイムQ10は、加齢によって体内の量が大きく下がる物質でもあります。40代を過ぎたあたりからは、サプリメントの活用を視野に入れても良いと思います。ちなみに食事から摂取する場合は、コエンザイムQ10が比較的多く含まれるとされるイワシでも20尾を食べる必要があります。ぜひサプリメントで効率良く摂取してみてください。

推奨摂取量:100mg

⑦マカ

自然が生んだ天然の配合の妙

植物由来の有効成分をファイトケミカルと言います。元はと言えば、薬も自然界の植物を模倣して作られたものであり、その効能の高さはうかがい知れます。マカは男性や中高年向けのイメージが強いですが、実は男女問わず役立つ素材です。まず、アミノ酸、ビタミン、脂質、ミネラルなどが、絶妙なバランスで含まれています。そのため、マカの成分を真似して作られたサプリがあってもおかしくないくらいです。そしてマカ特有の機能を支える成分に「マカミド」があります。ランナーがレース中に高揚状態になるランナーズハイは、脳内にアナンダミドという物質が蓄積することで引き起こされます。しかし、アナンダミドは分解されやすい性質も持っています。そこでマカミドの出番です。マカミドはこの分解を進める酵素をブロックして、アナンダミドの効果を持続させてくれます。リカバリー面でも、パフォーマンスアップ面でも役立つのではないでしょうか。

推奨摂取量:1500~5000mg

トレーニング中に、なんだか気持ち良く感じたことはないでしょうか。これはアナンダミドと呼ばれる脂質由来成分の効果です。以前はベータエンドルフィンが原因とされていたのですが、よくよく調べると、脳内にはベータエンドルフィンは充満していなかったようなんです。このマッスルハイ(ビルダーズハイ)の原因はアナンダミドだったんですね。

 

⑧ジオスゲニン

性ホルモンの大元を充足させる

ジオスゲニンは、琉球ヤムイモから抽出される成分です。この成分の特徴は、DHEAと非常によく似た構造を持つ点です。DHEAは、男性ホルモンや女性ホルモンの元となるマザーホルモンとも呼ばれる物質です。未認可の医薬品でもあり競技者の人はアンチドーピングに違反するので摂取できません。海外やネットでは容易に入手もできますが、オーバードーズによる身体への影響が未知という点でも怖い側面があります。このジオスゲニンの良いところは、DHEAが足りていない人には多めに働き、そこまで不足していない人には少なめに働く点です。そのためDHEAそのものの摂取よりも安全性が高くドーピングの対象ともなりません。DHEAの体内合成量は加齢に伴って減っていくのですが、それ以外でも、持久系および瞬発系のアスリート、減量期中の人は体内量が足りないことが分かっています。減量中で疲労が取れないという悩みのある方は、試してみると良いと思います。

推奨摂取量:20mg

サプリメント開発をしていた頃から、配合の妙を大事にしています。素材の組み合わせにより、個々が持つ力以上のものが発揮されるということですね。実際にサプリを摂取するときにも、組み合わせや相性を意識できるようになると、幅広い知識も手に入るのでおすすめです。ぜひトライしてみてください。

くわばら・ひろき
1961年4月6日生まれ。愛知県出身。立教大学卒業後、江崎グリコに入社。スポーツサプリメント事業を立ち上げ、スポーツフーズ営業部長などを歴任し、現在はアドバイザー。桑原塾を主宰し、100人以上のトップアスリートのコンディショニング指導も行っている。

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