体調管理 ホルモン ヘルスケア

【体型タイプ別】インスリン感受性で激変!「痩せ型・筋肉質・太りやすい」に合わせた正解「炭水化物」アプローチ|米フィットネス誌が解説

巷では「〇〇ホルモンをアップ」といった表現をよく目にするが、こうした言い回しは正確ではない。

内分泌系の機構において、ホルモンは分泌されればされるほど好影響をもたらすといった類のものではない。ホルモンは適正な量が適正なタイミングで分泌されるというホルモンバランスが重要となる。特に、膵臓から分泌されるインスリンは、そうしたバランスが重要なホルモンだ。

そこで、本記事では米フィットネス誌がまとめたインスリンバランスのメカニズムに関するトピックをわかりやすく説明する。また、インスリン感受性に関しての体型タイプ別注意点など、それぞれの体質・体型に合わせた基礎知識についても詳しく解説する。

本記事は、海外のフィットネス事情やトレーニング文化に関する情報をもとに構成された翻訳・編集記事です。日本国内の事情や環境とは異なる部分も含まれます。

(IRONMAN2026年9月号「from IRONMAN USA」より転載)

 

インスリン分泌で重要なのは適正なバランス

近年は、これまでの動物を対象にした研究などから「寿命を延ばすのに有効な方法は摂取カロリー制限である」という認識が研究者や健康意識の高い人々の間で一般的になってきている。

この考えが支持されている理由の一つに「血中インスリン濃度の低下」があるが、血中インスリン濃度は下がれば良いというわけではない。

古い格言に「量こそが毒を決める(*)」という言葉があるが、適度な分泌量を維持し、乱高下しないようにコントロールできれば、インスリンは運動後の筋肉修復に有用な役割を担うなど私たちの身体にプラスの働きをもたらしてくれるのである。

適正なレベルのインスリン分泌は栄養素の取り込みやタンパク質の合成を促し、結果的に疲労回復や筋発達を促進する。

また、インスリンが不足したカタボリックな状態とは、筋肉の分解だけでなく脂肪の分解も促進するため、全てにおいてマイナスというわけではない。重要なのはインスリンの分泌に関与する食事や運動を適切にコントロールすることで、インスリンバランスを整え脂肪の増加を抑えつつ筋肉を維持・発達させることである。

インスリンの働きを意識したダイエットが推奨されたり、インスリンの分泌を抑制するような食事法に人気が集まるのは、多くの人がインスリンバランスを崩すような食事をしがちで、その結果、インスリン過多の状態に陥る傾向が見られるからなのだ。

 

* 編集注

この格言は近代毒性学の父と呼ばれる16世紀の医師・錬金術師パラケルスス(Paracelsus)が残した「Sola dosis facit venenum(ラテン語。英語訳:Only the dose makes the poison.)」のことだと思われる。

また、各ホルモンは負のフィードバックによって相互に影響し合っており、単純に「高ければ良い」「低ければ良い」、あるいは「善玉・悪玉」と二元論で捉えられるものではない。全てのホルモンが生体維持に不可欠であり、適正なバランスを保つことこそが重要であることを留意しておこう。

 

インスリンバランスについて知っておきたいこと

インスリンの分泌は個人差が大きく、そのコントロール方法も万人に当てはまる一つの正解があるわけではないが、以下のポイントは多くの人に共通する要素なので押さえておきたい。

インスリン感受性

インスリン感受性とは、身体が膵臓から分泌されるインスリンにどのように反応するかという感度の度合いを示すものだ。

例えば、少量のインスリンで一定量のブドウ糖を細胞内に取り込める場合は「インスリン感受性が高い」、同じ量のブドウ糖を細胞内に取り込むために大量のインスリンを分泌する必要がある場合は「インスリン感受性が低い」もしくは「インスリン抵抗性がある」といった言い方ができる。

インスリンの悪影響

単純炭水化物の過剰摂取、運動不足による筋肉量の低下、そして慢性的なコルチゾール値の上昇などの要因でインスリンの感受性は鈍りやすくなる。

インスリンの感受性が鈍ると、インスリン値が慢性的に上昇するようになり、体内で炎症が起きやすくなる。この状態が続くと、2型糖尿病をはじめとする生活習慣病や代謝機能の低下といったリスクが高まると考えられている。

また、単純炭水化物の過剰摂取によって生じるインスリンの過剰分泌は体脂肪の蓄積を促進してしまうといった指摘もある。

インスリンの好影響

インスリン感受性が鈍るような食生活や生活習慣はできるだけ避けることが賢明だが、前述した通り、運動後の一時的なインスリン分泌の上昇は望ましいことである。

運動後にタンパク質と糖質(炭水化物)の両方を摂取できるようなドリンクを飲むことが積極的にアスリートに推奨されているのは、血糖値の上昇に呼応して一時的にインスリンの分泌が促進され、摂取したタンパク質や糖質が効率よく筋中に運搬されることで、傷ついた筋肉の修復や疲労回復に役立てられ筋発達の環境が整うからなのだ。

減量中のアスリート

減量期間中は、体脂肪を減らすために、できるだけインスリンレベルを比較的低い状態に保つ必要がある。

一般的に「インスリンダイエット」などと呼ばれるインスリンの働きを意識したダイエットには「ゾーン」「アトキンス法」「低炭水化物ダイエット」などがあるが、これらはマニュアルどおりに実践すれば一貫してインスリンレベルを低く保つようなメソッドになっており、それが体脂肪が減少しやすい体内環境づくりに貢献するのである。

ただし、こうした減量方法は筋肉量の減少を伴ってしまうことが多い。筋量を維持しながら効率的な体脂肪の燃焼を促すなら、ワークアウトを行う日だけは炭水化物を多めに摂取し、完全にトレーニングを休むオフの日には少なめに摂取するなど、メリハリをつけるといいだろう。

タイプ別の一般論(ソマトタイプ:Somatotypes)

ヒトの体格は大きく3つに分類される。自分がどのタイプに近いかによって、インスリン感受性の傾向もある程度見えてくるので把握しておこう。

ソマトタイプ(Somatotypes/体系分類)

1940年代に米国の心理学者ウィリアム・シェルドン博士によって提唱された人間の体型を3つに分類する理論

エクトモーフ(Ectomorph/外胚葉型)

ほっそり痩せ型タイプ
このタイプは一般的にインスリン感受性が高い傾向があり、体脂肪は増えにくいが筋肉もつきにくい。炭水化物の摂取量を制限してしまうと筋が発達しにくい体内環境になりやすいので注意

メゾモーフ(Mesomorph/中胚葉型)

がっしり筋肉質タイプ
このタイプは一般的にインスリン感受性が効率よく働きやすい傾向があり、比較的容易に筋量を増やすことができる。トップクラスのボディビルダーに多く、代謝能力にも優れた体質を持っている

エンドモーフ(Endomorph/内胚葉型)

ぽっちゃり太り型タイプ
このタイプは一般的にインスリン感受性が低い傾向があり、筋量も増やしやすいが体脂肪も多くなりがちで体重も増えやすい。特に減量期間中は、炭水化物の摂取量に細心の注意を払う必要がある

炭水化物の適正量

インスリンバランスを整えるには、前述のように個人の特性・タイプ・目的などに合わせて、炭水化物の摂取量を適正に管理することが重要になる。

また、こうした炭水化物のコントロールは、インスリン感受性の適切な維持や、健やかな体内環境へのアプローチにも寄与する可能性がある。そのため、炭水化物を全く食べないという極端な食事法は避け、賢くメリハリをつけて摂取することが大切である。

 

-体調管理, ホルモン, ヘルスケア
-, , , , ,

おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手