ヘルスケア

たくさん寝ているのにうとうと…。実は睡眠の質を下げていた“ある習慣”とは?

緊急事態宣言が解除され、会社へ通勤する生活に戻った方もいると思いますが、自粛生活が続くと夜眠れなったり、寝起きがスッキリしないなどの悩みも増えます。
今回は、運動・栄養と同じくらい大切な「睡眠」について。
効果的な睡眠のために行うと良いことを、コンディショニングコーチの桑原先生から教えていただきました。

桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。
スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。
NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。
武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。
国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。

日本では特に休息が軽視されがち

人の体は、運動栄養休息のサイクルがうまく回ることによって進化します。
筋トレや技術練習などは運動の要素に入り、食事やサプリメントなどは栄養の要素に入ります。それに加えて「休息」が入らないと、体は進化しないどころか後退してしまう危険性もあるのです。それにもかかわらず、休息への意識が低い人は多いのではないでしょうか。

日本では特に、子どものころから頑張ることが美徳とされ、寝不足でも部活に行ったり、徹夜してでも仕事をこなしたりする場面は多々あります。スポーツに限らず、価値観として休息が軽視されているのです。寝ないで勉強に励む子どもを叱る親はあまりいないでしょう。これ自体を否定するわけではありませんが、結果的に3大要素の中の1つである休息が、軽視されがちであるといえます。

ぐっすり眠るための3つのポイント

休息には、1週間でどれくらいオフをとるか、1日のなかでどれくらい休むかなど、いろいろな要素があります。
中でも主軸となるのが、睡眠です。日中に活動する人であれば、誰でも夜は必ず寝ているもの。ここをどれだけ充実させるかがカギになります。
睡眠には、3つのファクターがあります。
1つは睡眠の時間。どれだけの長さを確保できるかは重要です。もう1つはリズム。人の睡眠とは、最初にノンレム睡眠という深い眠りに入って、次にレム睡眠という浅い眠りになることを繰り返しています。繰り返しながら、少しずつ浅くなっていくリズムが基本です。
最後の1つは深さです。時間が長くても、うとうと寝ていては効果がありません。よい睡眠をとるために、時間・リズム・深さの3つを意識しましょう。

1.睡眠の長さ

絶対的に必要な量があり、一般的には6時間あれば大丈夫とされています。ナポレオンがそうだったと言われていますが、稀に体質的に短い睡眠時間でも元気でいられる「ショートスリーパー」と呼ばれるような人もいるのですが、少なくとも6時間は確保すると効率的です。まずは、なぜ睡眠時間が足りなくなるか、一度自らの日常を振り返ってみてください。練習時間や食事時間、移動時間などを考えてみて、ライフスタイルを棚卸しすること。すると、削ってもよさそうな部分が見えてきます。そこをかき集めて睡眠時間につなげる。これが、睡眠量を確保する方法です。

2.リズム

睡眠リズムを崩す代表的なものが、アルコールです。飲酒自体は全否定はしませんが、少なくとも深酒は避けて規則正しい生活を送ること。アルコールのほかにも、不規則な生活をすると、睡眠リズムが乱れる原因になります。イベント的なことを入れると、脳が覚醒してしまい、リズムが崩れがちです。大事な時期は特に、なるべく普段と同じように日々を過ごすようにしてください。

3.深さ

深さが一番のポイントで、特に入眠直後の眠りの深さが大切です。程度の差はあれど、誰でも最初の眠りが一番深くなっています。しかし、本来の自分の深さにたどり着かない人がほとんどです。
その原因は、スマホやパソコン。多くの人がベッドでもスマホを見ているでしょう。これは明らかに眠りの質を下げています。それ以外にもスマホに限らず、寝る前にコーヒーを飲む、ハードにエクササイズをする、熱いシャワーを浴びる、テンションが上がるような映画やDVDを見る、明るい部屋で寝る、音楽を聴くなど、睡眠にとってマイナスと思われる要素を列挙し、3つほど取り除くと、自分本来の睡眠導入になります。

睡眠の質が上がる裏技

1.ホットミルク&半身浴

ホットミルクを飲んで半身浴をすると、睡眠の質が上がります。「睡眠時代謝」といって、睡眠の時は省エネモードに入るために体温が少し下がるのです。そこで、ホットミルクと半身浴によって、体の内側と外側から少し体温を上げておくと、睡眠時にうまく体温が下がって入眠しやすくなるのです。
牛乳の理由は、カフェインがないことと、トリプトファンというアミノ酸が含まれていること。これは、脳のなかでセロトニンやメラトニンといった、睡眠に密接なホルモンに変わっていきます。牛乳が苦手な人はカフェインが入っていなければ他の飲み物でも構いません。

2.サプリメントを摂る

グリコのエキストラアミノアシッドのようなサプリメントを活用するのもいいでしょう。エキストラアミノアシッドは、ハードなトレーニングを行ったあとや、特に頑張った日など、疲れを取りたいときにおすすめのアミノ酸です。

3.「入眠儀式」

「入眠儀式」をお勧めします。寝る前に、例えばストレッチをしてシャワーを浴びてエキストラアミノを飲むなど、日々同じことを行う3ステップくらいのルーティンをつくるのです。すると、合宿や地方のホテルでも比較的いつも通りに睡眠導入をしやすくなります。ちなみに私は、最後の3つ目をエキストラアミノアシッドにしていますが、自分なりの3ステップを決めておくと、環境に左右されず睡眠がぶれにくくなるでしょう。

 

Fight & Life vol.74 掲載


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