ただ長生きするだけでなく、できることなら若さを保って健康でいたいと誰しもが思うものですが、今回はアンチエイジングのポイントとなる「抗糖化」について、サプリメントマスターの桑原先生がご紹介します。肌を若々しく保つためのポイントとは?
<本記事の内容>
桑原流アンチエイジングの柱
肌の老化はコラーゲンの糖化が原因
まとめ:肌を若々しく保つためのポイント
桑原流アンチエイジングの柱
1.抗酸化:体の錆つきを防ぐこと
2.抗糖化:体の焦げ付きを抑えること
3.成長ホルモンや性ホルモンの活性化
4.筋肉の増強
この4つの柱を実践していくことで、いつまでも若々しい体を保つことができると考えています。今回は、2つ目の「抗糖化」についてお話しします。
糖化とは
タンパク質と糖が熱の反応によって変化することです。体内にはブドウ糖が常に存在しています。タンパク質は、肌をつくるコラーゲンをはじめ、血管や骨といった体そのものをつくっている物質です。タンパク質と糖が、体温という熱を媒介して変化するのが糖化であり、体内で過剰に起きると悪さをします。
糖化は、"毒性物質"をつくる
糖化が進むと「終末糖化産物(AGEs)」という毒性物質がつくり出されます。これが老化にダイレクトに関連しているのです。特に、コラーゲンを持っている血管・骨・皮膚へのダメージが高く、それぞれの組織を焦げ付かせて劣化させます。血管がダメージを受けると、心臓や脳といった機関の疾患につながります。骨はもろくなり、骨粗しょう症の原因になりかねません。
肌の老化はコラーゲンの糖化が原因
「コラーゲン」とは
女性にとって気になる肌にフォーカスすると、肌もまさにコラーゲンでできています。コラーゲンの分子は三重の螺旋構造になっており、それが寄り集まって存在しているため、本来は不安定なものです。そこで、それぞれのタンパク質に橋をひっかけるような「架橋構造」によって安定させています。架橋構造は必要なものですが、AGEsはこの中にさらなる過度な架橋構造をつくり、柔軟性を失わせます。これが、老化による肌のたるみやしわの原因になるのです。
さらに言うと、コラーゲンのアミノ酸組成のバランスが悪いので、プロテインのかわりにコラーゲンを飲んでも、筋肉の材料にはなりません。
「コラーゲン自体を摂取することには意味がない説」はホント?
これまで、タンパク質は全て最終的にアミノ酸に分解されて吸収されるので、コラーゲン自体を摂取することには意味がないと言われていたのですが、近年その説を覆す研究発表がなされました。コラーゲンのアミノ酸組成は特殊なので、20種類のアミノ酸を摂るよりも、あえて必要なアミノ酸だけを入れたほうが、最終的に組み立てやすいというのが理由の一つ。加えて、コラーゲンの一部はアミノ酸にまで分解されずに吸収されていることが分かったのです。
アミノ酸が連結しているぺプチドでは、最低でも3つにまで分解しないと吸収されないのですが、体にとって有益と判断されたものは、優先的にそのまま吸収される「経口免疫寛容」と呼ばれる機能があります。これが、近年コラーゲンでも作用していることが分かったのです。これによって、飲むコラーゲンペプチドには限りなく効果があると言えるようになりました。
ただし、化粧水のように外から肌に塗るものに関しては、表面の皮膚の保湿効果などはあると思いますが、塗ったものがどこまで体内に吸収されるかといえば、多少疑問があると言わざるを得ません。肌の中の角質層よりも下の組織に浸透させるには、経口からの補給が効率的でしょう。
コラーゲンに含まれるプロリンは、水酸基が反応することによって「ヒドロキシプロリン」に変わります。これはコラーゲンにしかないアミノ酸で、しっかりあることで肌がみずみずしくなります。
プロリンに水酸基を反応させるためには、酵素が必要です。何にでも、反応させるためには酵素が必要ですが、酵素単独では反応せず、さらにそれを助ける「補酵素」が大切になります。補酵素の代表的なものに挙げられるのがビタミンで、プロリンをヒドロキシプロリンに変えるために必要な補酵素がずばりビタミンCなのです。ビタミンCが肌にいいと言われるゆえんは、ここにあります。
まとめ:肌を若々しく保つためのポイント
1.コラーゲンに過剰な架橋構造をつくって肌の老化を進ませるAGEsを生成させないこと。
2.ビタミンCの摂取を含め、摂取したコラーゲンをうまく肌に変えていくこと。
次回は、「糖化を防ぐには」をご紹介
取材:飯塚さき イラスト:JUNKO
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桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。