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【アームレスリング】50歳・5児の母・山田よう子が世界大会で4冠 「もう少しいじめてほしかった」

アームレスリングIFA世界大会で4つの金メダルを獲得した山田よう子(やまだ・ようこ/50)さん。最後の世界大会と決めて臨んだ舞台で、圧倒的な強さを見せつけた。

しかし、4冠を成し遂げた直後に口から出たのは、達成感だけを表す言葉ではなかった。

「メダルを取れてうれしい、というより、もう少し楽しみたかった。もう少しいじめてほしかった」

世界アームレスリング

「練習ができていないのに世界を獲れるのか」

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今年は子育てをはじめとする私生活のさまざまな事情が重なり、十分な練習ができなかったという。

「今年は本当にプライベートがバタバタしていて、全く練習をしていなかったんです。不安もありましたし、それが試合でどう出るんだろうという、今までとは違う楽しみ方もありました。世界一になること自体は初めてではありません。長い競技生活で国内外のタイトルを積み重ねてきました。だからこそ今回は、これまでとは別の興味がありました。みんながすごく練習してきている中で、私は練習できない環境にいました。それでも世界を獲れるのかと考えていました」

もちろん、練習できなかったからといって出場を辞退するつもりはなかった。今回を自身最後の世界大会と決めていたからだ。

「子育てのこともあったので世界大会は最後にしようと思っていました。だからこそ接戦の末に勝ち取って、そういった姿を子どもたちに見せられたらいいなと思っていました」

しかし結果は余裕の4冠。

「接戦という感じにもならず勝ってしまったので、変な意味じゃなく、もう少し楽しみたかったですね」

50歳になってなお、若い世代が挑む一般カテゴリーでも世界の頂点に立った。

次世代に求めるのは「強さ」以上に「心」

長年、日本女子アームレスリング界の第一線を走り続けてきた山田さん。これからの世代に期待するものを尋ねると、「心の強さ」という言葉が返ってきた。

「私は本当に負けん気が強いんです。その負けん気を受け継いでくれる選手が出てきてほしい。それは単純な競技の強さじゃなくてもいい。心の強い選手が現れることを一番望んでいます」

自身にできることがあれば、次世代のサポートもしていきたいという。

また、約四半世紀にわたり競技を続ける中で、女子選手が競技を継続する難しさも目の当たりにしてきた。

特に山田さんが強く語ったのが、出産を経て競技に戻る女性の難しさだ。

「出産は本当に大変です。どんなにトップでやっていた選手でも、身体は変わるし、筋力も落ちる。そこからまた頑張ろうと思うのは簡単ではないと思います」

山田さん自身も5人の子どもを育てながら競技を続けてきた。だからこそ今後は、競技技術だけではなく、出産や育児を経験した女性アスリートを支える活動にも関心を持っているという。

「そっちの部分でも、いろいろサポートしていきたいと思っています。アスリートとしてとは別の形でも」

世界で勝つ方法だけでなく、女性がスポーツを続けていくための経験も伝えていく。長い競技人生を送ってきた山田さんだからこそできる役割だろう。

アームレスリングの世界挑戦には区切り。「格闘技でやり残したことがある」

今回をもって、世界選手権への挑戦には区切りをつける。理由は、力が衰えたからではない。

「世界一は次の世代の子たちに任せたいです」

アームレスリング国内大会については、育児などその時々の状況を見ながら出場を考えていくというが、スポーツから離れるつもりはない。

「子育てするお母さんにもストレス発散する場所は必要じゃないですか」

そして話は、アームレスリングとは別の“やり残したこと”へと移った。

かつて総合格闘技の舞台でも戦った山田さん(※)は、現在もMMAについて正式な引退を表明していない。

※2003年4月2日、女子総合格闘技イベント「SMACK GIRL」でデビュー。PUREBRED所属としてエンセン井上に師事し、女子格闘技最短記録となる10秒1本勝ちを収めたこともある。

「MMAをまだ『引退』って言えていないんです。だから今後は格闘技をやりたいなと思っています」

23歳でアームレスリングを始め、世界の頂点に立ち、50歳で再び世界4冠。

最後の世界大会を圧倒的な結果で終えた山田さんだが、その言葉からは「競技人生を終える」という雰囲気はまったく感じられなかった。世界への挑戦を次の世代に譲ったIRON BEAUTYが、次にどんな舞台に立つのか。山田よう子さんの挑戦は、まだ終わっていない。

文・撮影:FITNESS LOVE編集部

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