筋肉博士、石井先生に聞く!しなやかなウエストラインをゲットするための秘訣とは!?【前編】

ダイエットやトレーニング特集の主役として長く脚光を浴びる「コア」、そして「体幹」。
誤解や迷信も多いこの部分の真偽について森弘子さんが石井先生に直撃質問。
日常生活でもできる鍛え方、加齢対策にも話が広がります。

 いろいろな媒体で「コア」とか「体幹」という言葉がよく取り上げられていますが、先生に改めて体幹と腹筋の定義からお願いしたいと思います。

石井 まず体幹についてですが、単純に言えば体から頭と手足をのぞいた胴体のことです。ただし体幹を機能的に捉えると広背筋という筋肉があって、これは腕や肩を操作する筋肉です。そういった筋肉というのは
あるのですが、これを「体幹筋」とは言えません。体の幹として働くところというのは、同じ胴体の中でも肋骨から下の部分。上は横隔膜でフタがされていて、下は骨盤底筋という筋肉で底がフタをされている部分
です。周りを腹筋群が取り囲んでいて、背中は背筋がサポートしている、その空洞の部分。実際には空洞ではなく中に内臓が入っていますが、その部分を機能的に体幹、あるいはコアと言っていいでしょう。

 最近はダイエットを目的にして、コアにフォーカスしたワークアウトが流行していますが、先生はそうしたワークアウトの効果についてどのようにお考えですか?

石井 効果はあると思います。コアというのは今お話したようにおへその周囲の部分ですが、この部分というのはスポーツを行う際にはとても良く使う部分です。脚あるいは股関節で生み出した大きな力を、上半
身へ伝える時にコアがグニャグニャしていたらそこで止まってしまいます。脚の力を手の指先まで伝えるためにはコアの部分を使うわけです。コアの筋肉がよく使われていて良い状態であれば、ウェストもスリムにキープできるわけです。しかし、コアの部分というのは日常生活でよく使うわけではありません。たとえばスクワットでもデッドリフトでも、コアがグニャグニャしていたら上がりませんから当然使います。でも、あまり歩かない、立っている時間も少ない、座るにしてもグニャっと座っている、こういう日常生活だとコアの筋肉を使わない状態になりますから、単純に筋肉が衰えてくるという状態になるだけでなく、筋肉の支えがないとコアの中に収まっている内蔵に重力が掛かって下がってくる。そうするとお腹周辺のシェイプが乱れて締まりがなくなってきます。ですからコアの筋肉をしっかり働かせてキュッと締めてあげればウェストが細くなる、そういう効果は起こると思います。

 私はトレーニングでしっかり腹筋を鍛えますが、日常の姿勢や動作に注意して、できるだけお腹の力を抜かないように意識化しています。その重要性を皆さんにお伝えしているのですが、日常的にコアを意識化し、しっかりと動けば、ウェストラインを向上させる効果は期待できるでしょうか?

石井 はい、期待できます。例えば、以前はけていたズボンをはこうとしてもウェストが締まらないとします。でも、おへそに力を入れてギュッと細くすれば締まりますよね。締まるっていうことは、筋肉を使えばお腹が引っ込むということです。だから年がら年中筋肉を使ってお腹を引っ込めておけばお腹は出てこないということなので、常にお腹が引っ込むような筋肉の使い方ができていればいいわけです。

 ぱっと見た目の印象はスリムでも、お腹がポッコリ出ている方や姿勢維持がきちんとできていない方などは、やはり日常の動作で筋肉を遊ばせてしまっているようです……。

石井 あまりにもひどく筋肉を使わないと、お腹が緩んでしまいます。お腹の筋肉をよく使う、コアリズムのようなエクササイズをして筋肉が日常的に活動するレベルを少し上げてあげれば、サイズ的に3~5㎝はすぐ細くなると思います。

 それは嬉しいお話ですね。他にも最近は骨盤のゆがみを矯正することで体のアライメントを正し、それによって身体をスリムに、特にお腹周りをシャープにしましょうという流行がありますが、骨盤とお腹周りの関わりについてもお話頂けますか。

石井 骨盤は前に傾いたり後ろに傾いたりしやすいです。個人差もすごくあるのですが、体幹の筋肉をトレーニングする、自宅でやれるようなフリーウェイトの種目を3ヵ月ぐらい続けて、その前後で骨盤の傾き具合を調べると、普通より後ろに傾いている人は前に戻りますし、前に傾いている人は後ろに戻るというように、俗な言い方をすると骨盤が立ってくるということが起こります。どのくらい立っていた方がいいかは人種によって違っていて、日本人に一番いい値というのはありません。そもそも骨盤というのは腰椎の骨の形、大腿骨の形、全身の骨の形によっておそらくちょうどいいポジションというのが決まってくる。アジア人の場合は欧米人や黒人に比べて、ちょっと後ろに傾き気味ぐらいがどうも一番自然なようです。

 最近は骨盤をベルトで締めるだけで痩せるというものも出ていますが、これについてはいかがですか。

石井 女性の場合は出産の関係もあって骨盤が緩みやすいので、締めれば良いという発想だと思います。

 出産で緩んだものがそのまま緩みっぱなしということはあるんでしょうか?

石井 いやぁ、それはないです(苦笑)。レントゲン写真とかMRIでこれは緩んでますという映像はない。そのエビデンスはありません。そもそも骨盤の緩みに警鐘を鳴らす方が「骨盤が緩むということを数量化できないですかね?」と相談に来るぐらいですから(笑)。締めれば症状がよくなるということで、そこから逆にこれは緩んでいるのだろうと考えているのでしょう。実際に画像で見たら緩んでいて締めたら治ったとか、そういう変化が出る映像はないです。そこまで大きな変化は実は出ない。本当に微妙なところで、今の測定機では測れないと思います。

 ただ、出産をきっかけにお腹周りがもたついてしまい、その改善が難しいと感じている女性は多いと思います。そういう方は骨盤の緩みに原因を求めがちですが……。

石井 それはベルトを締めることで単純によくなるということより、足や体幹を日常生活の中で動かすことと相互作用があるのだと思います。そういう状態にすることで股関節が動きやすいとか体幹が動きやすいと
いうことで、今よりしっかり筋肉を動かして、骨盤の状態が安定してくるということはあるかもしれない。一概に骨盤さえ何とかすれば全部よくなるとかそういう問題じゃなくて、骨盤の前後の傾きというのは骨盤が自分で決める訳ではなく、骨盤の周りの筋肉が決めます。骨盤が開く・閉じる、仮にそういうことがあったにしても、骨盤底筋とか腸骨筋という骨盤の表面に走っている筋肉によってなされるわけですから、そういう筋肉を使わないと最終的には話にならないということですね。

 私の経験でも産後の腹筋の衰えは深刻でした。産む性である女性だからこそ、腹筋の強化が必要といっても過言ではありませんね。また性差という観点では、腹筋に関して女性と男性で何か特徴の違いなどはあるのでしょうか。

石井 筋肉そのものにそれほど大きな違いはないと思います。ただ女性の方がウェストのところは細く作られていて、その代わり骨盤が広くておへそから下の部分の体積が大きいので、男性に比べると腹直筋などは筋肉として薄いですし、筋肉の節の並び具合とかも男女差はあると思います。そのため男性ほど細かく割れるということはあまりないです。

 厚みもやはり女性の方が……。

石井 付きづらいと思います。

 トップビルダーの方でも、女性の場合は6パックの厚みは男性ビルダーと異なりますし、一方でビルダーではない一般の男性の方でも、少しトレーニングすれば腹筋が割れてくる方もいらっしゃいます。お腹の筋肉が男性的になるのを心配される方もありますが、女性は頑張って筋トレをしてもお腹が簡単に6個に割れるようなことはないと(笑)。

石井 割ろうと思って頑張っても、そうそう割れるものではないので、そこまでやれれば大したものだということです(笑)。

 ではウェストをシェイプしたい女性はしっかり筋トレをするという発想でいいのですね。

石井 それでいいと思います。

 

いしい・なおかた
1955年、東京都出身。東京大学大学院教授、理学博士。
全日本ボディビル選手権優勝(81・83年)、アジアボディビル選手権優勝(82年)ほか、ボディビル競技での輝かしい実績を誇る。
トレーニングをテーマに次々にベストセラーを世に送り出す“筋肉博士”。

もり・ひろこ
ソライナ株式会社にて、プロテインや健康食品の企画・開発を行う。
ボディフィットネスでは東京大会4連覇、2016年には8年ぶりに大会に復帰し、関東オープン・フィットネスビキニ163cm超級で優勝を飾る。

取材・文_長谷川亮
撮影_t.SAKUMA 
「Woman’sSHAPE Vol.04」2011年12月掲載

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