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“食べて痩せる”代謝のメカニズム【ダイエットのウソ・ホント】

食事制限で気を付けたいのが「PFCバランス」。このPFCバランスをあえて“崩す”ことがボディメイクのポイントだと、サプリメントの開発者で栄養の専門家の桑原さんは言います。まずは「低脂質・高タンパク」が大切です。このようにPFCバランスを崩した食事をすることで、身体に刺激を変化させることができます。しかし続けていると身体に慣れが生じてしまい、ダイエットが停滞してしまうことも……。
今回は、さらに身体に刺激を与えるいい方法をご紹介します。

文_Masayuki Saitoh  写真_Shojiro Kameike

▶まずは前回のおさらいから

「食べて痩せる!?」代謝のメカニズム

刺激を変化させる良い方法は?

そもそも(PFCバランスを崩すなどをして)刺激を変化させるのは、身体が省エネモードになって代謝が落ちるのを防ぐためです。代謝を上げる刺激であれば、なんでも活用できます。そう考えると、実は食べることそのものがとても有効な刺激であることに気づきます。

食べると代謝が上がる?

食べるということは、もちろんカロリーを摂る行為なんですけど、同時にカロリーを消費する行為でもあるんです。「食事誘導性代謝」と呼ばれる食事に伴う代謝は、代謝全体の1割にも達すると言われています。食べているとき、運動しているという自覚はなくても私たちはカロリーを消費しています。朝、昼、晩の食事の中でもとりわけ朝ごはんを食べたときに代謝がボーンと上がります。ボディビルダーが2ℓのペットボトルを持ち歩いているのを見かけますが、あれは喉が渇いているからじゃないんですよ。こまめに水を飲むことで代謝を高く維持をする、ちょっとした裏技なんですよ。

冷え性の人は代謝が上がりにくい

———女性には冷え性の方がたくさんいます。暑い日でも、オフィスに入れば冷房が効いていて、汗をかくこもありません。これも代謝の問題でしょうか。

そうですね。冷え性の人は代謝が上がりにくく、カロリー消費という点で随分と損をしているかもしれませんね。寝起きの状態はまだ身体が省エネモードになっているので、誰でも代謝が低い状態です。しかし、日中、代謝は徐々に上がっていき、夕方ごろにピークを迎えるのが普通です。冷え性の人の場合は、日中に十分な代謝の上昇が見られず、ピークも低くなってしまいがちです。朝食は、下がっている代謝を一気に引き上げるチャンスですから、絶対に抜いてはいけません。それから、熱めのシャワーで朝の体温を上げ、ある程度代謝が高まった状態で一日をスタートさせることができれば、夕方に向けてより高い水準で代謝が上昇していきます。結局、こうした日々の積み重ねの違いが太る人と、太らない人の差なんですね。寝起きの代謝をいち早く上げることは、シェイプアップの王道と言えるでしょう。

食事の内容はどのようなものが良い?

何であれ、まず食べるということが大切です。内容は普通の食事でOK。しかしちゃんとした食事を朝からしっかりと摂るのは意外と大変なので、まずは先ほどの「朝プロテイン」から始めても良いですし、時間がなければバナナ+ヨーグルト+野菜ジュースとかでも、何も食べないよりはマシです。
あと、辛いものを食べると身体が温まったり、発汗したりしますよね?さらに一工夫したいという人は、カプサイシンや黒胡椒といった辛味成分を摂ると良いでしょう。
その他の栄養素としては、脂肪をエネルギーに変える過程で、「運搬役」として働く「カルニチン」も有効です。これら「燃焼系」の栄養素を配合したサプリメントも市販されているので、関心のある人は試してみてはいかがでしょうか。

「食事の量を減らす」ダイエット

結局のところ、シェイプアップ目指すには、「消費量を増やすか、摂取量を減らすか」しかありません。代謝を上げるなど消費量を増やす工夫を十分にした上で、やはり、摂取量を減らすことも必要になってくるでしょう。
ただ、減らす話から始めてしまうと、栄養バランスを崩したり、代謝を下げてしまったりして、もとの目的である美しさの追求からかけ離れてしまうことが多いんです。

もちろん、摂取量を減らすのにもテクニックがあります。その原則は「脳を騙せ」です。

脳を騙す

脳というのは騙されやすいんです。よくお酒を飲んだ帰りにラーメンを食べたくなるでしょう?アルコールを分解するために肝臓がフル稼働して、一時的に低血糖っぽくなるから、脳が「大変だ炭水化物が足りない!」と錯覚するんです。でも、実際は胃の中には食べ物がどっさり残っていると。これなどはマイナス方向の錯覚ですけど、工夫すればプラス方向の錯覚を引き起こすことができます。例えば、寒天や蒟蒻など、低カロリーの食材をたくさん使って料理するとか。

糖質や脂質の吸収を抑えるサプリメントは良い?

白インゲンや桑の葉を配合した、いわゆる「ブロック系」のサプリメントのサプリメントは、個人的には、人間の身体が本来摂ろうとしているものを阻害するのは避けたいと思っています。ただし、例外はあります。ひとつは、いわゆる「メタボ」の状態で、そういったものを利用しないと病気になる危険のある人の場合。もうひとつは、身体があまりにも合成に傾いてしまった人の場合です。
身体にはどんどん体重が増える合成傾向と、どんどん体重が減る分解傾向とがあって、ちょうど綱引きのように拮抗しています。この拮抗が崩れ、身体が分解に傾けばシェイプアップを楽に進めることができます。しかし、反対に既に合成に傾いてしまっている人の場合は、分解し始めるまでに時間がかかり、成果を実感できないまま諦めてしまうケースが多いんです。そういうときに「ブロック系」を使うのはアリでしょう。

シェイプアップを成功させようと思ったら、身体を分解に傾かせるまでは短期決戦でいくべきです。最後のアドバイスは「シェイプアップは最初の2週間で一気に持っていけ」。

まとめ▶ダイエットのウソ・ホント

教えてくれたのは……桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。


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