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理論派ビキニ選手が語るメリハリボディを作る秘訣【私のカラダを劇的に変えた筋トレ】

「筋肉のしくみやボディメイクのメカニズムを納得して初めてトレーニングに打ち込める」という理論派の柿夏芽さん。彼女を“ビキニフィットネスの超新星”に押し上げた唯一無二のⅤシェイプ、なかでも背中の大円筋の重要性について、そして自分らしい身体づくりについて語ってもらった。

【写真】ビキニでバックポーズ含む、柿さんのコンテスト写真

アスレティックトレーナーを目指して日本体育大学に入学し、4年時に〝バズーカ岡田〟として知られる岡田隆先生が顧問を務めるバーベルクラブに所属、本格的なトレーニングを始めました。でも、実はボディビルダーのムキムキの身体はスポーツや生活動作には使えない「見せ筋」だと否定的で(苦笑)、それを証明するために入部したんです。

ところが、クラブの先輩であるボディビルダーの五味原領選手から食事や身体づくりについていろいろ話を聞くうちに、「ボディメイクってこんなに頭を使ってやるものなんだ」と気づかされて。私も理由や意味を納得して初めて頑張れるタイプなので、超理論派の先輩と最初に出会えたことは幸運でした。

五味原さんに最初に教わったのは「背中」です。スクワットやベンチプレスはやったことがあるけど、背中はどうやって鍛えるんだろうと思い、自分からリクエストしました。それ以来、予定が合わずに次の種目を教えてもらえず、延々と背中ばかりをやっていた結果、他の部位に比べて見事に肥大しました(笑)。でも、後づけですが最初に背中をやり込んだのは大正解でした。

私は小学4年のとき、すでに164㎝もあり、まわりを気にして猫背に、しかも矯正ベルトをつけさせられるくらい姿勢が悪かったんです。それが、姿勢をつかさどる広背筋を鍛えたおかげで改善されました。美しい身体を作るには美しい姿勢でトレーニングをしないと意味がないので、姿勢の維持はどの部位を鍛える上でも重要です。たまたま背中をやり込むことになったけど、結果的に正しいトレーニングをするための土台作りができたわけです。

今は大会に出るかたわら、パーソナルトレーナーとしてお客様の身体づくりのお手伝いをしていますが、ボディメイクという点でも背中は重要なカギを握ります。というのも、背中が変わってくると、シルエット全体も大きく変わるんですよね。

例えばウエスト自体を細くするとなると、どうしてもダイエットなど「削る」という方向を考えがちです。そうなると、我慢や苦しい生活が待っているだけ。そうではなく、背中を広げてウエストとのギャップを出すなど、つけるべきところに筋肉をつけたほうが運動不足も解消されるし、何より削るというマイナスの方向ではなく、プラスの「成長」があると思うんです。

メリハリのあるシルエットのポイントとなるのが背中。中でも、私がお勧めするのは大円筋です。ビキニ競技でいう「ウエスト」とは、トップスのアンダー部分からボトムまでの幅を指します。つまり、肋骨のあたりも締まっていないとウエストが太く見えてしまうんです。背中の代表的な筋肉といえば広背筋ですが、広背筋はウエスト部分とも重なっているため、あまり太くしたくないですよね。その点、わきの下にある大円筋なら、ある程度ボリュームを出すことで視覚効果が生まれ、肩からウエストまでの綺麗な「Vシェイプ」を作ることができます。

大円筋は肩甲骨の下部から始まり、上腕の内側までつながっています。この起始と停止を近づけていくのが大円筋に効かせるトレーニングのポイントです。これはほかの部位にも通じることですが、筋トレで大事なのは筋肉にストレスがかかり、きちんと収縮・伸張できているかどうか。やり方が正しくないと、収縮はただ筋肉が潰れるだけ、伸張は靱帯と筋肉が引き延ばされるだけになってしまいます。こうした筋肉のしくみが分かってくると、より効率的に鍛えられ、トレーニングも楽しくなってくるのではないでしょうか。

私は〝トレーニング〟も〝美しさ〟もこれが絶対というものはないと考えます。今回は背中のトレーニングをお勧めしましたが、ウエストを細く見せるため、お尻にアプローチしてもいいです。肩を鍛えても逆三角形は作れます。「こうでなければ美しくない」とは思わないでください。自分にとってベストのアプローチを探した先にあなたにしか生み出せない〝美しさ〟があります。

私は髪を30㎝弱切りました。理由は「以前のショートに戻したかった」というだけですが、純粋にショートヘアが美しいと感じています。ビキニ競技は女性らしさを演出するロングヘアが主流です。競技では審査基準とマッチしなければ勝てません。競技なので基準に合わせることが必須です。ですが、今シーズンはショートで大会に出ます。「美しさにこれが絶対というものはない」この考えを大切にした結果です。

私は競技者である前に一人の人として、自分なりの〝美〟と〝幸せ〟を大切にします。人の数だけ美も幸せもあります。その先駆けとなり、私の姿が、皆さんにとって良いメッセージとなれたら幸いです。

取材・文:藤村幸代 撮影:中原義史 (初出:Woman’sSHAPE Vol.24)

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