減量に最適!ジャガー佐藤がカルニチン研究の第一人者と対談!

ダイエットサプリとして知られるカルニチン。しかし、なぜカルニチンはダイエットにいいのか。そのメカニズムまで理解している人は少ないのではないだろうか。ここでは、佐藤貴規氏が日本におけるカルニチン研究の第一人者である王堂哲さんにインタビュー。カルニチンの働き、有用性について詳しく聞いた。

取材・文:藤本かずまさ

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佐藤:まず「カルニチン」という成分の特徴、働きからお聞かせください。

王堂:脂肪(脂肪酸)をエネルギーに変えるためには必須の成分です。脂肪がエネルギーに変わるには細胞内のミトコンドリアに運び入れることが必要です。しかし、脂肪はそのままの形ではミトコンドリアに入ることはできません。脂肪をミトコンドリアに運び込むという作業を正しく行うために必要なのがカルニチンです。最近の知見では、ミトコンドリアは脂肪と直接接触すると構造が壊れることが分かってきました。カルニチンはミトコンドリアを守るという仕事をしているとも言えます。

佐藤:脂肪を燃焼する際に必ず必要とされる成分なのですね。

王堂:そうです。エネルギーを生み出す際には必須の成分です。特に重要なポイントとしては、心臓の細胞はカルニチンに依存する部分が高いということです。心臓は、ずっと動き続ける疲れを知らない筋肉です。そのエネルギーの70%は、実は脂肪からきているのです。

佐藤:ダイエットのためのサプリメントという印象が強いですが、担っている役割はそれだけではないのですね。

王堂:カルニチンは発見されてから100年以上にもなる成分ですが、サプリメント的な応用に関しては1970年代くらいから研究が始まりました。当初は持久運動能力を高めていくというところに力点が置かれていました。最近では、回復過程にエネルギーをいかにして供給していくかが重要視されています。トレーニング中にも脂肪は使われています。ただし、大切なのはリカバリー(回復)のプロセスです。トレーニング中だけではなく、リカバリーのプロセスでも非常に大きなエネルギーが要求されます。このエネルギーは脂肪から調達される部分がかなり大きいと考えられます。

佐藤:一般的なトレーニーの感覚では、トレーニングをするとその後に自然発生的に筋肉の修復・成長が行われるというイメージがあると思います。
そこでエネルギーが必要とされるという概念を持っている人は少ないかもしれません。

王堂: 体づくりをビルの建設にたとえると、コンクリートや鉄筋などの材料がアミノ酸にあたります。しかし、材料があっても、設計図がないことにはビルは建てられません。この設計図は、遺伝子に書かれています。作業員は遺伝子からつくられる酵素です。さらには、予算が必要です。この予算にあたるのがATP(エネルギー)です。私たちはATPというエネルギーを調達しながら生きています。
エネルギー源となる糖はグリコーゲンという形で筋肉、肝臓に蓄えられていますが、そこまで多くの量があるわけではありません。使うと、すぐに枯渇します。糖が枯渇すると次は脂肪をエネルギーに変えていくわけですが、それは持久的なエネルギーです。このエネルギーは休んでいるとき、睡眠中などにも使われます。
例えば「通勤する」「階段を昇る」といった日常的な行動でも、相当な運動になります。そこで使われるエネルギー源はグリコーゲンが主になりますが、職場に着いてパソコンに向かっている時間などでは筋肉は休んでいます。そういったときは脂肪がエネルギー源となり、リカバリーを助けています。

佐藤:リカバリーにもエネルギー源が必要で、そこで脂肪が使われるのでカルニチンを補給したほうがいいというロジックはよく理解できました。

王堂: 筋肉は、動いているときは莫大なエネルギーを消費します。その反面、莫大なエネルギーを消費し続けると生命に関わることになるので、何もしないときは極力エネルギーを消費しないようになっています。実際に、1日の中で筋肉を使って運動している時間はそれほど長くはありません。それ以外の休息している時間は1日に十数時間はあると思います。リカバリーのためには、その十数時間、エネルギーを担保し続けなければいけません。
これは飛行機と船の違いのようなものです。船での移動は時間がかかりますが、夜も移動し続けるので、気がつけば目的地からかなり離れた距離にいます。運動は「飛行機型」、リカバリーは「船型」のエネルギー消費になります。
カルニチンは途切れてしまうと命にも関わることになるため、必要な最低限の量は必ず体内で合成されています。ただし、この量は20代をピークに加齢とともにしだいに減っていきます。「ただ生きているだけ」の状態ですと、それでも特に問題はありません。しかし、現代人には「ただ生きているだけ」にプラスアルファが求められます。

佐藤:プラスアルファ?

王堂:それには2つあります。我々人間は、子どもをつくり終えたあとは死んでいくことが役割になります。生物の摂理として、子孫を残したら死に向かうことがプログラムされているわけです。

佐藤:子孫を残した時点で、生物としての役割は果たしたと。

王堂:そういうことです。子孫を残したあとは、筋肉だけではなく、体のあらゆるものがフェードアウトしていきます。カルニチンの合成量の低下もフェードアウト現象の一つです。「ただ生きているだけ」の状態でこのフェードアウト現象に従っていくと、60〜70歳くらいで死ぬことになります。

佐藤:しかし、現代では平均寿命が延びています。

王堂: 寿命は自分ではコントロールできません。80歳、90歳、100歳まで生きるかもしれません。「ただ生きているだけ」の状態から、さらに長く生きる。これが1つ目のプラスアルファです。そして2つ目は「身体パフォーマンス」。筋肉も、使わないとフェードアウトしていきます。体をつくる、筋肉をつけるというのは、その生物の摂理とは逆方向の作業になります。そこでは刺激とエネルギーを与え続けることが必要になります。カルニチンはフェードアウト現象を遅らせるには役に立つ成分です。加齢とともに減少するカルニチンを外部補給するという考え方はとても大切です。血管の内皮も筋肉でできています。最近の研究では、ここにもカルニチンが含まれていることが分かりました。トレーニングをすると、局所的に筋肉で血管が押さえつけられ、血行が悪くなります。酸素が不足する状態が局所的に生まれます。その局所的に生まれた酸欠状態は、その後に活性酸素の発生を伴います。発生した活性酸素は筋肉の細胞膜を傷つけ、強い筋肉痛を引き起こします。血管に十分量のカルニチンがあると、血流が確保された状態が維持でき、酸欠になりにくくなります。すると活性酸素の発生も抑えられます。筋肉が受けたダメージが信号になって超回復が起こるので完全に抑えてしまうことがいいわけではありませんが、過度な筋肉痛は緩和するのが合理的です。超回復を起こしながら持続的にトレーニングを継続していくにはカルニチンは大いに役に立ちます。

佐藤:トレーニングを行って、そこに回復や成長、継続という要素を加えるならカルニチンは不可欠ということですね。推奨できる摂取方法にはどういったものがありますか。

王堂:長期摂取と単回摂取の考えがあります。単回摂取の場合は、運動前に摂取していただくのがいいです。ただ、摂取したカルニチンはすぐに体外に排出されるわけではありません。そういう意味では摂取のタイミングにこだわる必要はないです。食後でも、就寝前でも構いません。炭水化物と一緒に摂取するという考え方でもOKです。インスリンが分泌されるタイミングでカルニチンを摂取すると、筋肉への吸収が高まります。

佐藤:例えば、40代以上の男性で週に3回ほどトレーニングをするような方にとっての推奨量は?

王堂:カルニチンはとても安全な成分ですが、無用の過剰摂取を防ぐため厚生労働省が定めている上限の目安というものがあり、それを考慮すると、運動前に500〜1000mgを摂取するのがいいでしょう。即効性を得たい場合は、空腹時に摂取するほうがいいですね。カルニチンは、プラスアルファの人生を歩み、健康的にダイエットしたい人に大いに役立ちます。

王堂 哲(おうどう・さとし)
1985 年 大阪大学薬学部修士課程修了。ロンザジャパン株式会社コンシュマーケア事業部顧問。千葉大学医学部非常勤講師、愛知学泉大学非常勤講師、和洋女子大学家政学群客員教授。L- カルニチンを始めサプリメントを細かく研究し、日本人のQOL 向上に役立てることをテーマに活動している。

佐藤貴規(さとう・たかのり)
1979年生まれ。2007年~08年東アジア選手権65kg級優勝。12 年東京選手権優勝、日本クラス別70kg 級優勝、全日本選手権7位。13、14 年日本クラス別75kg級優勝。15 年日本クラス別65kg 級優勝。17年日本クラス別75kg 級優勝、全日本選手権5 位。17年の日本選手権後に引退を表明。現役最後の大会となった世界選手権70kg 級では7位という成績を残した。

 

 

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