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【スポーツ、トレーニングしている人必見】風邪薬にもドーピング物質が!?ドーピング違反をしないために競技者が理解すべきこと(続)

「風邪を引いたんだけど、薬に禁止物質が入っていないか心配……」そんな時、相談に乗ってくれるのがスポーツファーマシスト。「ファーマシスト」とは、英語で薬剤師を指す。スポーツファーマシストは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する情報・知識を持ち、 アスリートを含めたスポーツ愛好家に対して、薬の正しい使い方の指導などを行う専門家で、JADA(日本アンチ・ドーピング機構)が定める所定の課程を修めている。今回はスポーツファーマシストであり現役のパワーリフティング選手としても活躍する奥谷元哉氏に、競技者が違反を起こさないようにするために理解しておくべき原則を教えていただいた。今回も先週に引き続き、自身の服用する医薬品、及び摂取方法が禁止リストに該当するかどうかを調べることができる、ウェブサイトや連絡先についても紹介する。

文::奥谷元哉

ドーピング違反をしないために競技者が理解すべき2大原則

陰性の結果がアンチ・ドーピングの競技者として当然である。

最終責任は競技者自身にある。

まず、1についてですが、陽性の結果に対してこれはしょうがないよ、これはまだましだよね、これはひどいなあという評価をしたいお気持ちはわかりますが、残念ながらこの考え方自体がドーピングを生み出す温床となっています。養成の結果にたいしてどんなに資料と弁論を要したところで資格停止期間は短縮されるかもしれませんが、「陽性の結果が陰性の結果になることはない」のです。記録にも人の心にもこの選手は、あの時違反したという事実がずっと残り続けます。このように考えますと、ましな違反もひどい違反もありません。全うにアンチ・ドーピングの競技を続けていくには陰性の結果しかありえないのです。次に2についてですが、私のブログをご覧になられている方は何度か目にされていると思いますが「最終責任は競技者自身にある」、これはアンチ・ドーピングの指導者向けの資料にある文言ですが、JADAのウェブサイト内、日本アンチ・ドーピング規定の2・1・1や2・2・1に同内容が記載されています。
どんなにやむをえない事情があったとしても「陽性」結果の責任は選手自身にあります。どんなに合理的な理由を用意したとしても「陽性」の結果が「陰性」になることはありません。資格停止期間の短縮は結果が陰性になるわけではありません。陽性を出したという経歴のまま永久に残ります。皆さんが規律パネルに掲載されている選手の申し開きを見るとき、この考え方の視点で内容を読んでみてください。違反をしている選手全員がこの考え方を理解できていない申し開きを行っていると分かります。
この2大原則にさえ基づけば、他人の書いているいい加減な情報に惑わされたり、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)が巧妙に張り巡らせた網に絡め取られることもありません。また『うっかりドーピング』という言葉も存在するはずがありません。大変失礼ながら、うっかりドーピングという言葉を生み出した方もその言葉を運用してしまう方もこの原則を理解されていません。どのような過程があるかは人それぞれですが、「競技者が数ある中からそれを選択し、競技前に服用するという決断を競技者自身が最終的に下した結果、陽性であった」このように考えますと、全てのドーピング違反は本質的には意図的に行われているため、うっかりドーピングという言葉は本来存在しえないのです。
うっかりドーピングという言葉は存在しないという私の意見を受け入れられない方がいらっしゃると思います。根底にあるのは、我々は薬の専門家では無いので薬のことがわからなくても仕方がないという考え方ではないかと推測します。確かにアンチ・ドーピングが始まってから数年前まではアンチ・ドーピングの啓蒙活動が不十分でしたし、調べるための手段が少なかったことは事実です。その時期という条件付きであればうっかりドーピングという言葉は成立しえます。
しかし、現在はアンチ・ドーピングの啓蒙活動がかなり進んでおり、一般の方でもどれがアンチ・ドーピングのルールに引っかかる物質、方法であるかについて、調べることは容易になりました。左ページにそのウェブサイトなどを掲載しますので参考にしてください。

要注意

さまざまな情報ベースとスポーツファーマシトなどの専門家の助言を活用することにより、自身の服用する医薬品、及び摂取方法が禁止リストの国際基準に該当するかどうかを知ることが可能です。しかしながら、例えこれらの情報に基づき、また、専門家の助言を受けた上で大丈夫とされる物質を摂取し検査で陽性反応が出てしまった場合であっても、資格停止処分は下ります。資格停止期間が短縮される可能性はありますが結果が陰性になることは絶対にありません。これは最終責任は競技者自身にあるという原則に基づくためです。アンチドーピングのルールは全てこの原則に帰結してしまうため、競技者はどのような行動を取るにしてもこの原則を常に思い浮かべながら行動しないといけないのです。

フェアを論じるのは難しい

アンチ・ドーピングのルールは競技者の生活をかなり制限します。そのため、趣味で競技をしている方にとっては何でそこまでしなくてはいけないんだ? と、思われている方もいるでしょう。バレなければ、試合前に抜けば、そのような考えの方もいるかもしれませんが、年々検査精度、検査方法が良くなるため、今までのバレない方法は通用しなくなってきています。
一部の競技だけで蛋白同化薬の違反者が継続して出続けているのはそのせいではないでしょうか。こういった制限を好まない方や無制限に自己の可能性を追求したい方はアンチ・ドーピングのルールを適用していない団体や競技に転向して下さい。禁止物質を摂取している競技選手と摂取していない競技選手では競技能力を同じ基準で測ることができません。例えるならば、自転車の直線レースにオートバイで出場しているようなものです。
しかし、アンチ・ドーピングのルールが無い団体や競技では禁止物質を使ったとしても周りも使用していますので全くアドバンテージを得ることはできません。こそこそ隠れてドーピングをしながらアンチ・ドーピングの競技に出る選手はこのことがわかっていて出ているため悪質であると言わざるを得ません。
日本の場合はある程度メジャーな競技でない限り、優勝しても金銭がもらえない上に、ドーピングが発覚すると一生後ろ指を差されます。優勝という名誉だけのために禁止物質に手を出している方、使用を検討している方は考えを改めることを強く推奨いたします。海外の場合はマイナー競技であっても金銭を受け取ることができたりと、国と競技によっては生活の保障を得られるので道徳観だけでドーピング問題を論じることはできません。安易にそういった選手の影響を受けて、真似をしないようにして下さい。
いかがでしたでしょうか。本質的な部分を書きましたのでやや難解で、心に突き刺さる内容だったかもしれません。アイアンマンの読者の方は本気でトレーニングされています。アンチ・ドーピングにも本気で取り組んでいただきたいと思います。


著者:奥谷元哉(おくたに・もとや)
1980年生まれ。スポーツファーマシストとしての顔も持ちながら、現役のパワーリフターでもある。2007年に競技デビューし、わずか3戦目で世界選手権出場を果たし8位入賞。4試合目で全日本選手権75㎏級で優勝し、過去最短で日本トップに駆け上がった選手として知られている。株式会社ONI 代表取締役社長。主な戦績:2009年全日本パワーリフティング選手権大会75kg級大会優勝/2011年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級優勝/2011日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位/2011年世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級2位/2012年アジアパワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級1位/2014日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位/2015年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位/2017年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級3位/2018年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位

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