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田代誠「平均睡眠時間は3時間くらいでしたが『出ない』という選択は私にはありません」

数多くのドラマが見られた昨年の日本選手権。選手たちはどのような思いで、あの日のあのステージに上がったのか。ここでは男子ボディビル、女子フィジークの各2位から12位までの選手を単独取材。感動の舞台裏に迫る。

取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介

これぞボディビルダーの象徴・田代誠選手

2021年男子日本ボディビル選手権大会10位・田代 誠「『出ない』という選択は私にはありません」

昨年は調整の時間がなかなか取れず、出場を迷った時期もありました。ですが、別にケガをしているわけでもありません。いろんな状況が重なって出場できないという方は実際にいらっしゃいます。でも私の場合はコンディションを整えることができないだけで、大会には出られます。「だったら出るべきだ」というのが私の基本的な考え方です。30代で負けたとき(2005年の日本選手権)でもそうだったんですが、出られる状況にあるのに出ないという選択は私にはありません。
その際、最優先にするのはやはり「絞り」です。時間が取れなくても、トレーニングを全くやらないという判断は私にはありません。ただし、絞れていない状態で大会に出るというのは失礼な話です。筋量が残る、残らないというのはまた別として、最低限、見ていただける程度の身体には絞らないといけません。

田代誠選手の理想の肉体

そうした場合、有酸素の時間を捻出するためにいろいろとやりくりをする必要があるのですが、そこは睡眠時間を削るしかありませんでした。昨シーズンは平均睡眠時間は3時間くらいでした。これは会社に勤めながらボディビルに取り組まれている方は一緒だと思います。仕事をして、家族サービスをして、トレーニングをして。その中でいかにして時間を捻出するか、ということです。
結果については、予選は通ったんだと思いました。自分で自分のコンディションのことは分かります。当初は決勝には残れないかもしれないと思っていたので、ほっとした気持ちになりました。諸先輩方の中にも、年齢とともに結果が出せなくなっても大会に出続けている選手はいらっしゃいます。昨年は85歳の金澤利翼選手も出場されました。普段のトレーニングを拝見しているわけでありませんが、そういった方たちの大会に出る姿勢というものは間近で見させていただいています。
チャンピオンになったころの姿よりも、そうした姿のほうが私はかっこいいと感じるんです。チャレンジする姿勢というものが大事だと思っています。大変なのは毎日同じです。一度でも出なくなると翌年も出なくなってしまうかもしれない。そうなるのはちょっと嫌なんです。もし決勝に残れなくなったとしても、今後もチャレンジを続けます。

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