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トップビキニ女子アスリートが語るネチネチ筋肉理論

 

前回2019年のグランドチャンピオンシップスに続き、ビキニフィットネスで3位入賞を果たした小谷野選手。安井友梨選手とダンシーあずさ選手の順位も変わらない結果となったが、小谷野選手が口にしたのは意外な心境であった。(月刊ボディビルディング2022年3月号から引用)

【写真】トップビキニ女子アスリート小谷野選手の美ボディ

取材・文:月刊ボディビルディング編集部 撮影:中島康介

グランドチャンピオンシップス3位・小谷野彩香

――前回に続き3位という順位で大会を終えましたが、結果についてはどのような感想でしょうか。
小谷野 もちろん大会前は優勝を目指して取り組んでいましたが、正直順位は変わらないんじゃないかなと思っていました。「もし私が優勝したら、それは奇跡かな」みたいなものがあったんです。
――自信が無かったのでしょうか?
小谷野 そういうわけではありません。自信を持つことは大事です。そしてそれは2021年のオールジャパンですごく感じました。そのときのステージに立ったときは自信があったはずなのに、後で見返してみたらびっくりするくらいステージ上でカッコ悪くあわあわしていたんです。だからオールジャパンが終わってからグランドチャンピオンシップスまでは、「自分が一番!ぜったい勝つんだ」と思って約1カ月間を過ごしていました。
――その1カ月間で仕上がり面やメンタル面での変化はいかがでしたでしょうか。
小谷野 メンタル面ではかなり変ったと思います。普段人前に出る機会が無いので、安井選手やダンシー選手のようにステージ慣れしていないというか、立慣れてないというか……。自分の見せ方をまだまだ知らないなと思いました。でも、その気持ちのままステージに立ったら表情に出てしまうと思っていたので、ロシアの選手のステージングなどを観て、それだけを頭の中に入れ込みました。それはポージング練習においても同じような気持ちで取組んでいきました。
――ステージング面での不安要素を取り除かなきゃいけないと?
小谷野 大会後に本当にいろんな人に相談しました。「すごい良かったよ」などと言ってもらえたのですが、私的に納得がいかなかったんです。また、私自身、他人と勝手に比べてしまうところがあったみたいです。私の上にはあと2人だけですが、その2人は私よりも華やかで芸能人の方みたくファンもたくさんいて……。私は普通な感じで、「どうせ私なんか」と思ってしまうところがあるんです。それがどこかで表に出てしまうんだと思っています。そういうのは関係なしに本当に自分はできる!と思うことが大事だと思いました。
――いろいろ含めて今年の課題はなんでしょうか?
小谷野彩香選手 Lウォーク小谷野 月ボの総評にあった中尾尚士審査委員長の言葉で、「ヒップが丸くない」と言われました。私はすごく絞りやすい分お尻の脂肪まで落ちてしまうので、四角い印象になってしまうのかもしれません。これは脚も同じで、カットが出やすいというか……。良いことでもあり良くないことでもあるので、絞り切ったときに四角くならないように、(お尻が)残るくらい筋肉を付けなければいけないと感じました。具体的にはお尻の丸みとトップの高さを増やしていかなければと思います。上半身に関してはウエストの細さを追求していかないといけないと考えています。安井選手とダンシー選手のウエストの細さが、とにかく尋常じゃないと思いました。また、安井選手に関してはバックポーズのときのウエストの細さがすごく良い評価だったので、どうしていけば良いのか…。
 今は常に姿勢を良くして内臓を引き上げようと努力をしています。あとは肋骨が開いてしまうので、それを閉じたまま呼吸することを常に意識しています。また、腹筋のトレーニングは止めました。肋骨を閉じても腹直筋が強いと、肋骨を閉じるのを邪魔している気がするんです。「この筋肉がいなくならないと(肋骨が)閉じ切らないんじゃないか」と思っています。また、競技をやる以上柔軟性もすごく大事です。私は胸の可動域が狭いので、それを広げるために胸のトレーニングも始めました。
――胸椎の伸展ですね?
小谷野 胸郭を上げるということが全くできないんです。男性はできる方が多いと思っていて、それは胸のトレーニングをやっているからなんだと思って私もやるようにしています。
――まだまだ課題点が多く出てきそうですが……。今年の初戦までに改善できる自信はどうでしょうか?
小谷野 お尻の筋肉量は増やせているんじゃないかと思います。自分的にはトレーニングもしっかりできていると思っていますし、毎年オフに体重がかなり増えるのですが、今回はあまりにもメリハリが崩れてしまっているというのは今のところ感じられないです。
――課題の面で絞りやすいとのことですが、脚が特に仕上がっていると感じました。
小谷野 有酸素をやったり、動かしている量が多いからだと思います。あと、私が大会に出始めたばかりのころに、ボディビルの横川尚隆選手がポージングで脚をバンッ!(大腿部を揺さぶってから一気に力を入れてセパレートさせるパフォーマンスのこと)ってやるじゃないですか。あれがカッコいい!と思って私も真似して練習していたから、そこのマッスルコントロールができるようになって、よりカットが出てきているのかなと思います。
――縫工筋のセパレーションがずば抜けて強い印象がありますが、どんなアプローチを?
小谷野 股関節周りだけをめちゃめちゃ鍛えているし、軽い重量で超高レップでトレーニングしています。アブダクションやアダクション、マルチヒップで鈴木雅トレーナーがやっているケトルベルをつま先に引っかけて膝を曲げて脚を上げる動作も取り入れていました。一見周りから何をやっているんだろうと思われていたかもしれないですね(笑)。今までいろんなことを試してきました。自分に合うトレーニングを求めて、オフシーズンにひたすら一つのマシンで「どうやったらここに効くのか」みたいなトレーニングを長時間やっていることもあったり……(笑)。
――股関節周りには本当に注力しているのですね。
小谷野 私は(筋肉が)膝回りに本当に付きやすいのですが…。そうなると下から大きくなってしまって、理想の三角形の身体ではなくなってしまうんです。砂時計タイプではなく、足先から上半身にかけての逆三角形を理想としています。最近は、「膝関節は無い!全部股関節!膝はたまたまついてきた」みたいな感じで、膝は無いと思って脚のトレーニングをしています(笑)。
小谷野彩香選手 Lウォーク――レッグエクステンションはやらない?
小谷野 やりますが、頑張って股関節を使うようにしています。股関節から挙げるみたいな…、そういうイメージでやっています。
――話を聞いていると、それは審査基準ありきのものに感じますが、その基準は19年から変わってきていると感じていますか?
小谷野 あまりそれは感じてはいないです。21年のグランドチャンピオンシップスでも安井選手、ダンシー選手、私の3人が残っているというのは、皆さんそれに合わせた身体づくりと評価をしているからだと思います。結果3人以外の方たちがどうなのかというと、あまり変わっていないのではないかと思いますが、とにかく安井選手は本当にすごかったです。
――今年の大会目標は?
小谷野 今、私は歯科衛生士の資格を得るために専門学校に通っています。3月に国家試験があるので、まずは絶対それに合格することが目標です。また、オールジャパンで3連覇を目指します! その次のグランドチャンピオンシップスは、あのステージが好きなので出たいです。21年も自分自身やり切ったので後悔は無いですし、3位でも満足しています。優勝を目指していない訳ではないですが、好きだから出る、過去の自分を超えるために出るつもりです。

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