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呼吸法で心を穏やかに、あるがままに【インドヨガ修行体験記】

インドヨガ修行体験記元Yoga&Fitness編集部がインドで本格的にヨガ・アーユルヴェーダを学ぶため1カ月間の「ヨガ修行」を開始。ヨガ初心者、英語もうまく話せない、海外一人旅もしたことないような私ですが、「インド」で学んだことを何話かに分けて伝えていきます。

呼吸法と瞑想のクラスの体験をまとめましたが、読者の皆さんにとってはイメージができず疑問だらけだと思います。そこで、修行中にもらったテキストを参考に、実際にいつ、どうやるのか、具体的なやり方をまとめました。

【ポーズ写真】呼吸法を実践し、心を穏やかに。実際のポーズ写真を見る

プラナヤマは、「Prana=氣、生命力」と「Ayama=拡張、増大」を意味します。意識を「氣」に向けることで、心に依存する感情などを流し、心を穏やかにあるがままにさせます。ヨガでは、Pranaとはすべての宇宙エネルギーのことを指し、動いたり、機能したり、生命を持っているものはすべてPranaの表現にすぎないと言われています。

 

■まずは定番の腹式呼吸

サンスクリット語:カパル=「頭蓋」「額」、バティ=「光」「素晴らしさ」「認識」「知識」
眠気を取り除き、瞑想に向けて心を準備させます。肺の浄化、消化器官を整える効果があります。
◎アーサナまたは鼻うがいの後、瞑想の直前。食後 3 ~ 4 時間後の空腹時にのみ行いましょう。
注)心臓病、高血圧、めまい、てんかん、脳卒中、ヘルニア、胃潰瘍などに苦しんでいる人は実践しないこと。

前脳を活性化させる呼吸法
• 目を閉じて全身をリラックスさせる。
• 両鼻から深く息を吸い、お腹が風船のように広がっていく。
• 吐くときは腹筋を絞るように引き込みながら、しっかり吐き切る(緊張しないこと)。
• 最初は 3 ~ 5 回行っていき、練習とともに徐々に回数を増やしていく。

■前脳を活性化させる呼吸法

Bhastrika Pranayama inhale

バストリカ・プラナヤマ

サンスクリット語:バストリカ=「ふいご」
鍛冶屋のふいごのような動きからふいご呼吸としても知られています。火の中に空気の流れを増やすことで多くの熱を発生させるふいごのように、バストリカ・プラナヤマは体内への空気の流れを増やし、体内の熱を発生させます。体内の毒素を力いっぱい吐き出すことで、肺を浄化する効果があるため、喫煙者にとって最も強力な呼吸法の一つと考えられています。鼻が詰まっている場合は、鼻うがいをしてから行いましょう。また、喘息患者や他の肺疾患に苦しむ人にとって優れた方法ではあるものの、肺疾患に苦しんでいる人や結核から回復中の人は、専門家の指導の下でのみ練習しましょう。
注)心臓病、高血圧、めまい、てんかん、脳卒中、ヘルニア、胃潰瘍などに苦しんでいる人は実践しないこと。

肺をきれいにする呼吸法
• 目を閉じて全身をリラックスさせる。
• 口は閉じて鼻呼吸で素早く空気を吸い込み吐き出す動作。
• 両手を 90 度上に上げる。手を完全に伸ばし、指を上に向ける。
• 息を吐きながら手を曲げ、息を吸いながら手を上げるのを繰り返す。

 

■肺をきれいにする呼吸法 ~柔らかいイビキ音~

サンスクリット語:ウジャイ=「勝利」
これは「征服によって獲得する」と「束縛」を意味する言葉に由来し、束縛からの自由を与えます。胸式呼吸の一つで、お腹(へそ下あたり)は常に引き締めたまま(バンダ)呼吸を行います。ウジャイ・プラナヤマは神経系を落ち着かせ、不眠症を和らげるのに役立ちます。
◎シャバアーサナの前、寝る直前にオススメ。
注)本質的に内向的すぎる人は、この練習を行うべきではありません。心臓病に苦しんでいる人は、バンダとウジャイ・プラナヤマは組み合わせてはいけません。

身体を温めて心を落ち着かせる呼吸法
• 目を閉じて全身をリラックスさせる。
• 鼻孔に意識を向けて、呼吸を穏やかに、整える。
• しばらくしてから意識を喉に移します(鼻呼吸のまま)。
• 息が鼻孔からではなく喉から吸い込まれたり吐き出されたりするのを感じたり想像したりしてみる。
• 呼吸がゆっくりと深くなり、声門をゆっくりと収縮させると、眠っている赤ちゃんの呼吸のような柔らかいいびき音が喉で生成されていく。
※これを正しく実践すると、同時に腹部の収縮が起こります。これは何も努力しなくても自然に起こります。
※吸気と呼気は両方とも長く、深く。呼吸音はあまり大きくならないようにしてください。
• 最初は 1 分間練習して、徐々に 10 ~ 20 分間練習していく。

 

■身体を温めて心を落ち着かせる呼吸法 ~蜂のハミング呼吸~

サンスクリット語:ブラマリ=「蜂」
蜂の羽音が聞こえることから由来しているように、息を吐きながらハミング音を鳴らして行います。音の振動は心と神経系に心地よい効果をもたらし、意識を内に向けることによって瞑想状態を引き起こします。毎日練習することでストレスと脳の緊張を和らげ、怒りや不安、不眠症を軽減させます。
◎内部の知覚を妨げる外部の騒音が少ない深夜または早朝が練習に最適な時間帯ですが、周囲が平和であればいつでも実践できます。
注)横たわった状態で実行しない。耳に炎症がある人は治まるまで実践しないこと。心臓病のある人は、息を止めないように練習すること。

怒りと不安を軽減させる呼吸法
• 快適なアーサナで座ります。脊柱を直立させ、頭を真っすぐに伸ばし、両手をチン・ムドラまたはギャン・ムドラにして膝の上に置きます。
• 目を閉じて、短時間全身をリラックスさせます。
※唇を軽く閉じ、歯を少し離したままにしておくと、音の振動が脳内でより明確に感じられるようになります。顎がリラックスしていることを確認してください。
• 腕を横に上げて肘を曲げ、人差し指または中指を使って耳を塞ぐ(指を入れずに耳たぶを押してもよい)。
• 意識を頭の中心、眉毛の中心に置き、身体を完全に静止させる。
• 鼻から息を吸い、ゆっくりと息を吐きながら、蜂の羽音に似た深く安定したハミング音を出す(これで1ラウンド)。
• 息を吐き終えたら、深く息を吸う。これを5ラウンド行う。
※意識は頭の中でハミングする音、そして呼吸を安定させて均一にすることに向けられていなければなりません。

 

■怒りと不安を軽減させる呼吸法 ~片鼻呼吸~

ヴィシュヌ・ムドラ

ヴィシュヌ・ムドラ

サンスクリット語:ナディ=エネルギーの「チャンネル」「流れ」、ショダナ=「浄化」
副交感神経系と交感神経系の間に調和とバランスを整えます。通常はどちらか一方の鼻孔が他方の鼻孔よりも開いているため、常に脳の片側がより支配的になります。ナディショダナ・プラナヤマを実践することでバランスが取れ、脳の両半球が調和して働くことができます。定期的に実践すると、ストレス緩和やデトックス効果が期待できます。
◎瞑想前だけでなく、思考の明晰さや集中力をもたらすため、頭をたくさん使う場合にもお勧め。

指はヴィシュヌ・ムドラで行う(写真添付)
• 右手の指を使う。 親指は右の鼻孔の上に、薬指は左の鼻孔の上に置く。親指と薬指で片方ずつ鼻孔を交互に押して鼻孔内の息の流れを制御する。

自律神経を整える呼吸法
• 右の鼻孔を閉じる(午前と午後の練習時)
• 左の鼻孔を閉じる(夕方の時間帯に練習する場合)

 

■自律神経を整える呼吸法
• 右の鼻孔を閉じる(午前と午後の練習時)
• 左の鼻孔を閉じる(夕方の時間帯に練習する場合)

1)
• 右の鼻孔を閉じ、左の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。
• 次に、左の鼻孔を閉じ、右の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。
• 手を下に置き、両方の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す (合計 9 回の呼吸 – これが 1 ラウンド)

2)
• 左の鼻孔を閉じ、右の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。
• 右の鼻孔を閉じ、左の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。
• 手を下に置き、両方の鼻孔から息を吸い、吐き出すことを 3 回繰り返す。

3)
1 ラウンド繰り返す。

説明:
• 1 吸気と呼気 = 1 呼吸。つまり、1 ラウンドで 9 回呼吸する。
• 上記を12 ラウンド練習するのが良い。

■夏に行う!
シータリ・プラナヤマとシートカリプラナヤマ

どちらも身体と心に冷却効果をもたらすために夏の間に練習するもので、汚れた大気中や寒い季節には実行しないこと。。口で呼吸するこれらのプラナヤマは、冷たい空気や汚れた空気が直接肺に吸い込まれ、害を及ぼす可能性があります。両方のプラナヤマの最終目的は同じですが、基本的な違いは実践するプロセスにあります。

シータリ・プラナヤマ
サンスクリット語:シータリ=「穏やかで、情熱がなく、心を落ち着かせるもの」。「冷たい」から由来。
舌を口の外にできるだけ伸ばし、舌の側面を巻き上げて筒状にして息を吸い込む呼吸法です。湿った空気または水分が飽和した空気を吸入することによって体温を下げる、身体を冷やすことが目的です。ストレスや困難な状況を回避するために副交感神経系を落ち着かせることに役立ちます。

シートカリ・プラナヤマ
シータリ・プラナヤマとは異なり、歯の使用が目立つのがシートカリ・プラナヤマです。ニシキヘビの呼吸音によく似た、食いしばった歯によって発せられるシューシューという音にその名前が由来しています。血液を浄化し、身体がすっきりする呼吸法です。怒りや苦しみなどの否定的な感情をコントロールするのにも役立つと言われています。アーユルヴェーダでは「ピッタ=火のエネルギー)のバランスを整えることで、血液から毒素を取り除きます。

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【参考文献】
上記の利点や注意点などは、クラスで使用したテキスト「Yogi360.com」から一部抜粋し、日本語訳したものになります。

松本実奈美(まつもと・みなみ) 元Yoga&Fitness編集部。退職後、ヨガ修行と一人旅を兼ねて約2カ月間インド生活を送る。WORLD PEACE YOGA SCHOOLの『200 Hour Yoga Teacher Training』講座修了

取材・写真:松本実奈美

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