2月11日(火・祝)、ボディビルダー・“ジュラシック木澤”こと木澤大祐選手の日本選手権優勝・現役引退式典が名古屋観光ホテルで行われた。
主催は、名正運輸株式会社(以下、名正運輸)の加藤新一社長。アマチュア競技であるボディビル選手の引退に際して、一般企業がスポンサーとなってホテル会場を貸し切っての2部構成、特に1部ではファン200名を無料招待しての大規模な催しを行うという前例のない試みが注目を集めた。本式典には参加希望者が殺到。公募の開始直後で定員の4倍近くの倍率となった。木澤選手への思いのたけを綴ったメッセージによる選考で席を勝ち獲った熱烈なファンたちは、2時間の宴を楽しんだ。
「木澤くんが若いころから長年付き合ってきて、競技においてドン底の時期も栄光も見守ってきました。彼の正直すぎるほど真っ直ぐで嘘がない人柄と生き様が好きです。引退を機にファンに恩返しがしたいという木澤くんの意向を受けて、どうせなら競技人生の集大成となる、参加者全員が一生心に残るイベントをやりたいと思い式を企画しました」
加藤社長は元祖“筋トレ採用”(※)の考案者であり、自身も長年のトレーニング愛好家である。名正運輸は本社を愛知県飛島村に構え、関東・東海を中心として食品の運送業を営む。加藤社長は木澤選手とパーソナルトレーニングを通じて知り合い意気投合、自身の所有する事務所のひとつをジム(ジュラシックアカデミー/名古屋市港区)として提供するほか、近年は木澤選手が主催するナチュラルボディビルコンテスト『JURASSIC CUP(ジュラシックカップ)』の冠スポンサーとなるなど、公私ともに支えてきた。
式典では、様々なファンのための企画が行われた。木澤選手の30年を超える紆余曲折の競技人生において象徴となるステージを本人の解説とともに上映で振り返る企画のほか、ボディビル界で名を馳せる3名のシークレットゲストが登壇。デビュー初年にして日本選手権を4位まで登った“歩くテストステロン”扇谷開登選手、元メンズフィジーク172cm以下級日本王者からボディビルへ転向を遂げ活躍する久野圭一選手、日本選手権を4度制した伝説のボディビルダーであり木澤選手のライバルとして長年競い合った“狂気の男”合戸孝二選手が、木澤選手とともに来場者と賞金・賞品を賭けて「筋肉バトル」を行うなどで盛り上がりを見せた。
木澤選手は、「引退においてファンの方々と触れ合えるイベントはしたいと思っていましたが、このような盛大な催しの機会をいただけて、加藤社長には本当に感謝しかありません。競技においては引退しますが、これからもフィットネス業界の発展に寄与できるよう邁進していきます」と式典への礼を述べた。
(※)筋トレ採用……トレーニングを優先できる勤務時間、ジム・パーソナルトレーニング費用やプロテイン・サプリメントの提供、大会出場時の遠征費用提供などを就労の福利厚生とする「筋トレ優先の働き方」を雇用条件とした求人。
取材:にしかわ花 撮影:FITNESS LOVE編集部
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。