トレーナーとして働く奥村怜央(おくむら・れお/24)さんの身体は、181cmの身長にボディコンテスト出場時には76kgで体脂肪率4%(※)の引き締まった肉体をしている。しなやかさと迫力を兼ね備えた姿の奥村さんだが、かつて『マッチ棒』と呼ばれるほどの細身の時代があった。
※体脂肪率は市販の体組成計で測定
【写真】『マッチ棒』から全国大会出場へ!奥村怜央さんの肉体変化
「17歳のときは55kgで体脂肪率は12%。ゲームばかりしていて、食事も適当。部活もとりあえず参加という感じで、運動はとにかく苦手でした。父は日々トレーニングをしていたので、運動嫌いな私をトレーニングに誘ってくれたのが筋トレのきっかけです。やっていくうちに『一度きりの人生、何かを変えたい』と思うようになり、どんどんのめり込むようになりました。身体が変わることが楽しくて……気づけば生活の一部になっていました」
「食べること」が武器になった増量期
奥村さんが最初に取り組んだのは、とにかく食べることだった。
「1日4000〜5000kcalは取っていました。特に白米を中心に炭水化物をしっかり食べて、タンパク質は鶏むね肉だけじゃなく、牛肉や豚肉のようなカロリーの高いものも意識して取り入れました」
具体的なメニューは徹底している。
「朝は白米300gに鶏胸肉150g、卵2個に納豆。トレーニング前後も白米300gは必ず食べます。昼も夕方も同じように白米と鶏胸肉。寝る前も白米200gと鶏胸肉100g……そんな食生活をずっと続けていました。食べた分は全部トレーニングで使う、みたいな感覚です。だからこそハードに追い込めたと思います」
週5〜10回、時には1日2回のトレーニング
「身長が高くて手足も長いので、可動域は広いんです。ただその分、怪我もしやすい。だから日常からしっかりコンディショニングを行って、怪我を防ぐことを大事にしています」
基本的には週5〜10回、時には1日2回筋トレをするダブルスプリットまで行う。
「もちろん、無理をして重量を扱うことはしません。大切なのは続けられること。その上で自分なりに高重量を扱い、シーズンごとに必要なトレーニングを分けて計画的に進めています」
奥村さんが強調するのは、ダイエットもボディメイクも食べて動くことだ。
「しっかり食べて、しっかり動く。それが一番効きました。食べたカロリーを身体を動かすことで全部使ってあげるイメージです。誰にでも続けられるやり方じゃないと意味がない。だから極端なことはせず、地道にやり続けています」
もちろんトレーナーという職業も、筋トレと深く結びついている。
「自分の身体で反応を試して、それをお客様に還元する。それが今の仕事です。大変なことはなく、むしろ勉強になることばかりです。筋トレを始めてから自信がつきました。自然と笑顔になれるようになったんです」
日本一を目指して
現在はフィジーク競技者として公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)に所属し、すでに日本大会である『オールジャパン(※)』の舞台にも立っている。
※JBBFが主催する、フィットネス競技の男女日本一決定戦とされる大会
「運動が苦手だった自分が、日本大会に出場するようになったんです。正直、自分でも信じられません。筋トレで人生が変わったように、これからはトレーナーとして初心者の方に続ける楽しさを伝えていきたい。そして競技者としては必ず日本一を目指します!」
かつてマッチ棒と呼ばれた17歳から7年。24歳の奥村さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材・文:柳瀬康宏 写真提供:奥村怜央
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。