マッサージや整体に行ったとき「身体硬いですね〜」と言われたり、肩こりや腰痛の対策に「筋肉の柔軟性は大事ですよ〜」とアドバイスを受けたりして、頑張ってストレッチに取り組んだ経験はありませんか?
アスリートがストレッチを欠かさない様子を見ると「やっぱりストレッチは大事なんだ!」と思うのも無理はありません。ストレッチは筋肉の柔軟性を向上するためや、血行を促すために重要な運動の一つですし、肩こりや腰痛の対策方法としても有効な運動です。
でも、運動不足の人が最初にストレッチを取り入れて「身体を柔らかくしよう!」と考えるのはちょっと古い常識かもしれません。
身体が硬い原因は「筋肉の硬さ」だけではないんです。本当の原因は脳の仕組みにあります。本当に身体を柔らかくしたいなら、筋トレで脳にアプローチすることが大切なんです。
「え、そうなの?」と続きが気になるあなたのために、今回は健康的でしなやかに動ける身体になるための新常識を紐解きます。
なぜ身体は「硬く」なってしまうのか?
そもそも、身体が硬いとはどういうことなのでしょうか?身体が硬くなる要因は、大きく分けて2つあります。
物理的な組織の硬さ:筋肉やその周辺組織の硬さ
筋肉やそれを包む「筋膜」、関節を包む「関節包」などの組織そのものが硬くなっていると身体の動きも悪くなります。長時間同じ姿勢でいることによって、筋肉のポンプ作用が不足すると、組織の血液と水分量が失われてビーフジャーキーのようにカチカチになってしまうのです。
脳による「ブレーキ」:神経による制御
また、意外と知られていないのが脳(神経系)の働きです。脳は、筋肉が伸びすぎるのを察知すると「これ以上は危ない!切れてしまう!」と判断し、無意識に筋肉を硬くしてブレーキをかける安全装置のような働きを持っています。これを相反抑制※といいます。
※相反抑制(そうはんよくせい)とは、「ある筋肉が収縮(縮む)するとき、その裏側にある反対の働きをする筋肉は自動的に弛緩(緩む)」という、人間の身体に備わっている神経系の仕組みのこと
「柔軟性」と「可動性」の違いを知る
また、身体の柔らかさにも2種類あります。一つは「柔軟性」、もう一つは「可動性」です。
柔軟性: 人に押してもらったり、脱力した状態で伸びる範囲。
可動性: 自分の筋力でコントロールしながら動かせる範囲。
「思った通りにしなやかに動ける身体」を作るために大切なのは、「柔軟性」ではなく「可動性」です。
自分が意識して動かせる範囲を広げることで、階段の上り下りや着替えといった動作のストレスを減らすことができます。
なぜ「筋トレ」で身体が柔らかくなるのか?
可動性を高めるために推奨するのは、意外にも「筋トレ」です。ただし、やり方にコツがあります。
それは、「自分が動かせる限界の範囲(最大可動域)」でトレーニングを行うこと。
重りを使い、コントロールしながら限界まで動かすことで、脳は「この範囲は自分で制御できているから安全だ」と学習します。すると、脳が可動域にかけていた「ブレーキ」を外してくれるのです。
実践ガイド:今日から取り組めるステップ
まずは、下記の「多関節運動」を、無理のない範囲で深さを意識して行ってみましょう。
ディーププッシュアップ

膝をついてもOK。胸が床に近づくよう、深く落として筋肉を使いながら伸ばします。
ゴブレットスクワット

胸の前で軽い重り(2〜5kg程度)を持ち、深くしゃがみます。重りがあることで重心が安定し、股関節を深く使いやすくなります。
フォームローラー

もし「硬すぎて正しいフォームで筋トレできない」という場合は、まずフォームローラーなどで筋肉を物理的にほぐすことから始めましょう。
まとめ:自分でコントロールできる範囲を広げよう
「筋肉をほぐす」ことと「脳のブレーキを外す」こと。この両輪を回すのが、しなやかな身体への近道です。
1セット15〜20回を目安に、自分の力で「大きく動かす」ことを意識してみてください。筋トレとストレッチの効果を同時に得られるこの方法は、忙しい現代人のセルフケアにぴったりです。
👇もっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらのリンクからチェックしてみてくださいね。
#3 身体を柔らかくする方法って?なぜ硬くなるのか、何に取り組めばいいか
著者:前田 修平(まえだ・しゅうへい)
NASM-PES、はり師・きゅう師。ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル『前田のまいにちセルフケア by GronG』を運営。登録者は43万人以上(※2026年5月時点)。科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝えている。
Web構成:中村聡美










