8月16日(日)、京都府京都市の京都テルサで『2026年 日本ジュニア男子ボディビル選手権大会』が開催され、久野清照(くの・きよてる/22)選手が75kg超級を制覇。さらに各階級の優勝者によって争われるオーバーオールでも優勝し、ジュニア世代(23歳以下)の頂点に立った。
【写真】背中の隆起がヤバい!久野清照選手の23歳以下日本一に輝いた筋肉!

充実した上半身の筋肉に、ストリエーション(筋線維の走行)が随所に浮かび上がる迫力ある筋肉が持ち味の久野選手。昨年は同大会で3位。その悔しさを胸に、この一年は「次は絶対にオーバーオールを獲る」と決めてトレーニングを続けてきたという。
「去年の学生選手権のときから、次の年は絶対にオーバーオール優勝を獲ると掲げていました。それを達成できて、めちゃくちゃうれしいです」
昨年は全日本学生ボディビル選手権で優勝。今年は大学の講義がなかったこともあり、これまで以上に身体づくりへ時間を注ぎ込むことができたという。
「今年だけは絶対に勝つということだけを考えて、ずっとボディビルに打ち込んできました」
課題だった脚を強化 ポイントは重量だけでなく丁寧なフォーム
特に力を入れたのが脚だった。
久野選手の上半身は以前から厚みがあり、脊柱起立筋をはじめとした背面の迫力も目を引く。一方で、自身では脚を課題の一つと考え、この一年はスクワットやレッグプレスといった基本種目を中心に取り組んできた。
その身体を見ると、さぞかし桁違いの重量を扱っているのではと思ってしまう。しかし、本人から出てきた数字は意外なものだった。
「全然弱いです(笑)。たぶん、見た目から想像されるほど重い重量は扱っていないと思います。大会1週間前のスクワットは140kgで数回程度ですし、レッグプレスも片側にプレート5枚くらいで200kg〜300kgくらいですね。なのでとんでもない重量でトレーニングしている感じではないんです」
重量だけを聞けば、全国トップのジュニアボディビルダーとしては驚くほど現実的な数字だ。
だが、この話には久野選手が近年変えてきたトレーニングへの考え方が表れている。
140kgのラットプルダウンをやめた理由
以前の久野選手は「とにかく重量を伸ばす」という意識が強かった。
背中の脊柱起立筋については周囲からよく褒められるというが、本人いわく、それすら狙ってつくったものではなかったという。
「背中のトレーニングがまだ下手で、狙ったところに入れられず、脊柱起立筋に負荷が逃げた結果なんです」
以前はラットプルダウンを140kgほどで行っていたが、現在は100〜110kg程度まで重量を落としている。
目的は単純だ。より丁寧に動かすためである。
「前までは、とにかく重量を伸ばそうと思っていました。でも今は、フォームが崩れない範囲で重量を伸ばしていくようにしています」
扱う重量を落とすことは、トレーニングを頑張っている人ほど抵抗を感じることがある。「前より弱くなった」と感じてしまうからだ。
「重量を追いかけることよりも、狙った筋肉を正確に使うことを優先しています。その積み重ねが、今年の脚を含めた全身の評価につながったのかなと思います」
迎えた日本ジュニアボディビル選手権。75kg超級を制すると、階級王者が並んだオーバーオールでも勝利。昨年3位だった舞台で、一年前から掲げ続けてきた目標を現実のものにした。
「次戦は8月23日(日)、石川県にて行われる日本クラス別ボディビル選手権です。80kg以下級に出場して、6位以内の入賞を目指します!あと来年は愛知ボディビル選手権にも挑戦して、そこでは優勝を狙います」
筋肉を大きくするためには、重い重量を持つことも一つの方法だ。しかし「重量が重いほど良い」とは限らない。
久野選手が140kgのラットプルダウンから重量を落としたように、時には負荷を下げ、自分が本当に狙った場所を使えているのかを見直す。それは競技者だけでなく、普段ジムでトレーニングする人にも取り入れられる身体づくりのヒントと言えそうだ。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
用語解説
日本ジュニアボディビル選手権:23歳以下(開催年末時点で)のボディビルダーが出場し日本一を争うJBBF主催の大会
脊柱起立筋:首から腰まで背骨の両側に沿って走る大きな筋肉群
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取材・文:柳瀬康宏 写真:中原義史
執筆者:柳瀬康宏
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。










