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プロレスラーに憧れた男が筋肉と引き換えに半月板を失ってもなおボディビルへの挑戦をやめない理由

筋トレ週休2日制で回す、子煩悩パパビルダー・田中英孝選手

2月26日(土)、兵庫県・西宮市民会館アミティホールにて『マッスルゲート関西新人戦』が行われた。昨年より『新人戦』が新設大会として開催され、今年は関東と関西で2大会が予定されている。関西での開催は初めてにも関わらず70名以上の選手がエントリーした。今回取材したのは、名門『新日本プロレス』を目指し、トレーニングを始めた田中英孝選手だ。今大会ボディビル70㎏以下級で優勝し、良い仕上がりと美しいポージングで観客を魅了した。いったいなぜ、田中選手がボディビルにまでのめり込むようになったのかを聴いてみた。

取材・文:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介

田中英孝選手「子どもの友達や保護者間でもイコールプロテイン!というようなことですぐに覚えてくれます」

ーーまず、トレーニングを始めたきっかけを教えてください。

田中 さかのぼれば、小学校5年生のときにプロレスラーになりたくて、「新日本プロレスに入門するためにはどうしたらいいか」と調べたのがきっかけでした。その当初は、腕立て伏せから始めました。その後、格闘技道場へ通ったりしながら紆余曲折を経ましたが、最終的に継続していたのがトレーニングでした。2008年に近所にできたジムに入会し、そこからジムでのトレーニングを開始しましたが、その後ゴールドジムに変わり、コンテストに出るようになり減量などに本格的に打ち込むようになりました。

ーー田中選手の普段のトレーニングメニューとは?

田中 ①脚、②肩・腹筋、③背中・上腕二頭筋、④胸・上腕三頭筋の4分割を週5日で回しています。40歳を過ぎてから3日以上連続でトレーニングをすると、4日目は疲労が強くて集中できなくなってきたため、週休2日制を取っています。また、中学生と小学生の子どもがいますが、それぞれサッカーとバスケをしており、サッカー部の保護者会会長とバスケチームのコーチをしているので、その兼ね合いもあり回し方などをコントロールしています。バスケのコーチに関しては、見本を見せたりするのに脚のトレーニングの直後や翌日だと筋肉痛で動けませんからね。

ーー自慢の部位と、そのトレーニングを教えてください。

田中 脚で、特に大腿四頭筋です。新日本プロレスに入門するにはレスラーと同じようにスクワットを1日3000回しなければならないけど、中学生だった自分はまずは1日500回を毎日のように部屋で行っていたおかけで、成長期と言うこともあり発達しやすくなったのだと思います。また、そのおかげで右膝の半月板は破れ、手術で取り除いたのでもうありませんし。あと、左膝に関しては現在進行形で損傷しています。
 トレーニングに関しては、45度レッグプレス(1RMの60%の負荷で10回×10セット=100回、レッグカール、レッグエクステンション(POF法)、ハックスクワット、カーフレイズを行っています。やりすぎかもしれませんが、これで成長したので継続しています。

ーートレーニングをしていて良かったことは?

田中 あきらめずに継続して取り組むことで、肉体の変化を楽しめるようになったし、食事なども気を付けるようになったことで、それもまた楽しみの一つになりました。要するに人生が筋トレのおかげで楽しくなったことです。また、当然のごとく同じベクトルを持った仲間がたくさんでき心底信頼し合えていることです。あとは子どもの友達や保護者間でもイコールプロテイン!というようなことですぐに覚えてくれます。

ーートレーニングをしていて辛かったこととは。

田中 自分自身というより、家族に辛い思いをさせていたかもしれません。当時はトレーニングをしている自分は偉いんだというような錯覚に見舞われていたようなところがあり、小さい子どもを置いてジムに通っていました。子どもが成長するにあたり「今日は家にいる?」と聞かれるようになり、さみしい思いをさせていたんだと考えさせられました。それでもトレーニングは継続であるため、睡眠時間を削って(これは筋肉にはよくありませんが)今は極力子ども優先で取り組んでいます。高齢者施設で働いているので、勤務後はできるだけいったん帰宅し、子どもたちの顔を見てからジムに行くようにしています。

ーー食事でこだわっていることはあるのでしょうか。

田中 自分は細かい計算などは苦手なので、トレーニング前中後に炭水化物を集中させ、それ以外はタンパク質量を落とさないようにだけ気をつけています。またバルクアップ期といえど暴飲暴食してしまうタイプで、いざ減量を開始するとなると減量幅に苦労するんです。なので一気に増えないように普段はほとんど量を変えません。そのため週末のチートデーが楽しみで仕方ありません。

ーー摂っているサプリメントは何でしょうか。

田中 まずプロテイン、トレーニング中にBCAA、トレーニング直後と起床直後にグルタミン。これを摂ることで体調を崩さなくなりました。それと、普段野菜をあまり摂らないのでマルチビタミンを摂っています。これら以外はそのときに必要だなとか、試してみようとかそう思ったときに随時購入して摂っています。

ーー減量でこだわっていることは?

田中 先ほどお話しした食事の部分と、あとは自分の身体と相談しながら状態に応じて、有酸素を取り入れたりしています。タイムアンダーテーションを意識してトレーニング以外でも極力動くようにしています。トレーニングメニューは変えません。エネルギーが不足がちになるので余計なことをしても頭が働いておらず、ケガのリスクがあるからです。

ーーバルクアップで意識していることは?

田中 とにかく筋肉の伸縮を感じる負荷量で積極的に重量を増やすことです。極端には増やさず、トレーニング前・中・後、特にトレーニング後の炭水化物に注力しています。

ーートレーニングで意識していることとは。

田中 減量期でも増量期でも統一しているのが自分自身の重心の部分です。自分は踵の内側に重心があるので、そこがぶれないように設定しています。そうすることで軸がぶれず安定したトレーニングができています。

ーー大会に出場するようになってから、周囲の反応はいかがでしょうか。

田中 今回はエントリーしたことは仲間内にしか発表していなかったので、特にこれといったことはありませんでした。ただ2月に入り実は新型コロナの濃厚接触者になってしまい、結果的に無症状でしたが陽性になりました。その間自宅に隔離される状況が生まれたのですが、大会出場を知っていた友達が隔離されたその日の晩に、夜中にもかかわらず自宅の前にインクラインベンチと可変式のダンベルをわざわざ持ってきて貸してくれました。このおかげで隔離期間をジムに行かずして何とか最低限のコンディション維持に努めことができました。大会出場を知っていたことで協力してくれたことが嬉しかったですし、優勝という報告ができて、なお嬉しかったです。

ーー田中選手のお気に入りのトレーニングアイテムは?

田中 鬼シリーズです。デザインもかっこいいし、色も自分が好きな赤と黒なので。

ーートレーニングや食事の参考しているものは?

田中 YouTubeの「BIG HIDE CHANNEL」です。それ以外でも良いと思ったものは特にこだわりなく試しています。もちろん自分でオリジナルを編み出そうと日頃考えています。難しいことですが。

ーー最後に、今年の目標は?

田中 ゴールドジムJAPAN CUP出場です。そのために、そこで戦える様に今大会で出た課題に対しすでに取り組んでいます。絞りでは負けていないと自信があるのでバルクを上げて、いずれはJBBF主催大会への出場も考えています。

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