IRONMAN2020年10月号に掲載し大好評だった横川尚隆選手のロングインタビューを再録。本日から3日間連続、全3回にわけてお届けします。
昨今の日本ボディビル界で「短期間での成長力」を語るに避けては通れないのが、キャリア5年目にして前年度覇者であり、IFBBエリートプロとなった横川尚隆選手である。今は、芸能活動を主軸にしながらも、その身体はプロボディビルダーとしてすさまじい進化を遂げ続けている。今回は2014年のフィジーク初出場から日本ボディビル界を駆け抜けた5年間にわたる横川選手の快進撃を振り返ることで、最速たる所以を探る。
取材:鈴木彩乃 撮影:AP,inc.
2014~2015年キャリア2年目でメンズフィジーク王者に
最初「ベストフィジークジャパン」に出場したときは、特別なトレーニングはしていないんです。その年の夏にゴールドジムに入会はしていたけれど、目的はボディメイクではなく取り組んでいたキックボクシングに活かすため。それからコンテストがあることを知って、興味本位でエントリーをしただけで、コンテストのための身体づくりはせずにキックボクシングでできた身体で出場しました。
大会で勝負しようと思って臨んだわけではないから、2位という結果も「やったー」くらいの軽い感じで受け入れて、ジムも行かなくなり、そのままキックボクシングの世界に戻りました。それから少し経って、たまたま「第2回オールジャパン・メンズフィジーク」の開催を知りました。オールジャパンってことは、ここで優勝したら「日本一」か……と思ったら挑戦してみたくなって、もう一度ジムに入りました。だから2015年が、初めて「身体をつくろう」と決めてトレーニングを開始したときなんです。
目指すところは、何なのか
当時のフィジーク競技では、主に肩の丸みと背中の広がりが重要視されていました。なので、ほとんどの時間を肩と背中のトレーニングに費やして、あとは胸と腹筋に取り組んでいました。腕や脚をやろうとしない僕に「腕はやらないの?」「脚はやっとかないと」と言う人もいましたが、そこは何を目標としているのかってところだと思うんです。
僕は、あくまで日本一になることが目標だから、採点につながりにくい=評価の優先順位が低いものに時間を割くことに意味が見出せなかったんです。別に、脚が細かろうが大会で1位になった選手が勝ちだからっていう考え方でトレーニングを続けました。
身体の感覚を研ぎ澄ます
身体づくりの知識がゼロだったので、最初はとにかくジムにあるマシンと知っているフリーウエイト種目をやり続けました。筋肉のことも知らないし、正しいフォームも分からない。だけど、自分の中で「効く」「効かない」の感覚はハッキリとしていた。なので、効くような身体の位置にもっていって、効く挙げ方をするようにしていきました。
そのあたりの感覚は鋭いほうだと思います。ただ、1つの部位に集中して動作するのが得意な反面、連動させて動作するのが難しい。だからビッグ3のような多関節種目が弱い。スクワットで言えば体幹を固めて、背中も固めて、殿部も使って……という意識が働きにくいというか。スクワットなら脚。中でも大腿四頭筋の、さらに外側を狙う。それ以外の意識は使わないから、身体の割には多関節種目で重いものを扱えないんです。
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