自体重でできる上半身のエクササイズとして代表的なプッシュアップ(腕立て伏せ)ですが、負荷の増減という点においては、バーベルなどに比べ、大きな制限がかけられることになります。しかし、物理学や生体力学を理解することにより、様々なバリエーションが生まれてきます。このようなバリエーションは沢山ありますが、ただ闇雲にバリエーションエクササイズを行うのではなく、システマチックに行うことが必要です。今回はプッシュアップのバリエーションエクササイズを紹介していきます。
文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>
ポイントは、負荷の増減です。前にもお話しした通り、プッシュアップは体重の約半分の負荷がかかります。仮に体重が60㎏の場合、30㎏の負荷がかかるということになります。通常のプッシュアップが楽に行えるようになった場合、負荷を増大させる必要があります。負荷を増大させることに対して2つの方法があるので紹介します。
プッシュアップで負荷を増大させる方法 (プログレッション)
重力を利用する/デクラインプッシュアップ(写真1−1)
足部を高く上げることにより、上半身にかかる負荷を増大させることができます。この種目は大胸筋上部により刺激を与えることができます。体幹は斜めになり、支点と力点の距離が短くなるので、体幹にかかる伸展方向への負荷は軽減されます。バランスボールに足を乗せて行うことで、伸展以外に横方向(側屈)や回旋方向(回旋)への安定も求められ、体幹への負荷が上がります。もし、体幹を安定させる能力を高めたい場合はバランスボールを用いることをお勧めします。(写真1−2)
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物理的な負荷を加える/バンド抵抗プッシュアップ(写真1−3)
写真1−3のようにラバーバンドを用いることで負荷を高めることが可能になります。負荷の強弱は、バンドの強度やバンドの長さによる張力を変えることで増減させることができます。バンド抵抗プッシュアップの負荷の増減はフリーウエイトほど幅広くできませんが、ひとつだけ長所があります。それは速度を速く行えるということです。バーベルを用いて素早くベンチプレスを行うと慣性が働き、かなり危険が伴いますが、ラバーバンドを負荷に用いると、バンドの張力で慣性をある程度抑えられるため、素早くプッシュアップを行うことができるのです。スピードプッシュアップを行うには、フリーウエイトよりもバンドの方が安全にエクササイズを行えるということになります。
次ページでは女性でもやりやすい上半身に負荷をかけずにできる腕立て伏せを紹介
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