ボディビル日本チャンピオンの横川尚隆選手の2020年4月15日のTwitterで、家で行っている上腕二頭筋・上腕三頭筋のメニューが公開された。
リプ欄には「レップかと思ったらセットで笑った」「セット数えげつな」などのコメントが寄せられた。横川選手といえば、2020年2月25日、Twitterを通じてIFBBエリートプロに転向したことを発表。日本男子初のIFBB ELITE PROになった。アイアンマン2020年4月号の取材では、「腕を顔より大きくして、ヤマタノオロチみたいにしたい」と太い腕への憧れをこのように語ってくれた。
太い腕への憧れ
──デカくするというテーマのもとで、集中的に取り組んでいる部位などはありますか。
横川 腕ですね。もともと、腕をやるのが好きなんですよ。やっぱり、太い腕には憧れますよね。男のロマンの一つだと思うし、見た目にも分かりやすいからいい。でも、大会で勝つためには全身のバランスを見ないといけないから、ようやくまた腕に集中してやれるようになったっていう。
──どのような太い腕にしたいんですか?
横川 腕を顔より大きくして、ヤマタノオロチみたいにしたい。ヤマタノオロチって、顔がたくさんあるじゃないですか。僕がダブルバイセップスをとったときに「あれ、顔が3つ並んでるのかな?」くらいにしたいんです。なので、他より優先して週2回。週3でもいいくらいなんですけど、他の部位を小さくしたいわけではないので、そこはバランスを取るようにしています。
──週2の内訳は。
横川 1回はストレートセット、もう1回はスーパーセット。実は、今までスーパーセットってやったことがなかったので、新しい感覚で、いい感じです。
──初めてとは、意外です。
横川 やってみて感じたのは、重量を筋肉でうまくコントロールできない人は、ストレートで丁寧に行うほうがいいということ。トレーニング手法をいろいろ試してみたい人も多いと思いますが、スーパーセットはしっかりコントロールしないと、ただパンプアップするだけで終わってしまう。それ以上の刺激にはならないと感じました。なので、僕自身もここにきて初めて取り入れるくらいでちょうどよかったのかも、と思っています。効果実感はありますよ。実際に、腕が太くなりましたから。
──まだまだデカくなれますか。
横川 なれますよ。言っても、まだ5年くらいしかやっていませんからね。歴も浅いし、それこそスーパーセットも初めての試みだし、やったことのない種目だってたくさんありますから。まだまだ発達の途中、いや発達し始めたばかりです。
ベーシックを「やり込む」大切さ
──腕の発達も順調そうですしね。腕トレには、どのような考えがありますか。
横川 う~ん……。例えばしいと言われがちな脚は、根性さえあれば誰でも太くなります。それは、間違いないです。対して腕はもっと繊細。反動を使えば、いくらでも重量を扱えるけど「腕の力だけで」と意識すると、そう扱えるものではありません。みんな数字が大好きだから、重量とかレップ数にばかり気をとられてしまって、変な動きになってしまう。結果、求める効果が得られない。これは腕に限った話ではないですが、動きの始めから終わりまでしっかりと重さを乗せて刺激を入れられれば、その部位は必ずデカくなります。
──デカくなることにつまづいている人がいたら、もっとシンプルに考えたほうがいい、と?
横川 そう思います。デカくならないのは、選んだ種目ではなくやり方に問題があるから。筋肉は刺激を受けなければ、大きくなりませんから。変わったことをする必要はそんなになくて、それよりもベーシックをやり込むほうが大切だと思っています。
──ただ「やる」のと「やり込む」の違いですね。
横川 ジムとかでも見ていると、あともうちょっと頑張ればコツをつかんでデカくなれそうなのに、途中でやめてしまう。すごくもったいないなって。あ、そうは言うけど、トレーニングは結局のところ本人がどうしたいかによって答えが変わるものだと思うので、僕の言うことが全てではないですよ。全然デカくならなくたって、すごくもったいなくたって、本人が心からトレーニングを楽しんでいるのなら、それでいいんです。本気で日本一を目指している人なら話は変わってきますけど、ただの趣味でトレーニングをしているのなら、自分の好きなようにやればいい。実際に、僕も今は自分の好きなようにしてトレーニングを楽しんでいますからね。
取材: 鈴木彩乃 撮影:AP,inc. 記事作成:IM編集部