11月３(水)～８日(月)、スペインのサンタ・スサンナでボディビルとフィットネスの世界大会『IFBB WORLD CAMPIONSHIPS（国際ボディビル連盟主催世界選手権大会）』が開催され、日本からは13人の選手が出場した。昨年は新型コロナウィルスの世界的感染拡大により、国内外の大会は軒並み中止を余儀なくされ今年も世界大会の開催が危ぶまれたが、徹底した感染症対策と、渡航する選手にはワクチン接種の徹底と隔離期間を設けるなどして開催できるまでに至った。今回も日本選手が活躍を見せ、さらには２人がカテゴリー優勝という快挙を成し遂げてきた。また、２年ぶりの世界大会となり、以前に増して世界の選手もレベルアップしてきていたが、その中でも“日本人”が勝てる、上位に行ける理由を、出場した選手たちは明確に分かったという。本記事で今回取材をしたのは、マスターズビキニ40－44歳級５位、ペアフィットネス７位の成績を収めた長瀬陽子選手だ。
取材：FITNESS LOVE編集部 写真：中島康介（国内大会写真）
▶【写真】世界でも活躍する、日本代表・長瀬陽子選手のビキニフィットネスはこれだ！（国内大会時）
◆世界選手権に出場するにあたり、苦労したこと（減量、隔離期間中、渡航した後に行った最終調整など）
私は普段、大会出場前は1週間ほど牛肉を食べて調整するのですが、滞在ホテルの食事に牛肉がなく初めて鶏肉や魚で調整した事に苦労いたしたしました。
スペインでの大会は世界マスターズ選手権、アーノルドクラシックで経験しており、これで4回目だったのですが、毎回滞在ホテルのブッフェに牛肉があるので安心して対策を考えていなかった自分の失敗です。
どちらかというと私は、大会直前に体重が落ちていき張りが無い身体に仕上がりがちなタイプですので張りが出せる食材である牛肉は大切でした。ただ、非常時には工夫が必要です。鶏肉や魚では摂れない脂質をオリーブオイルや脂質が多そうな惣菜を摂り補いましたが、普段慣れない事をしたためか大会前々日と前日の晩は消化に苦労し胃痛が酷く、関根秀子選手に胃腸薬を頂きなんとか体調を整えました。
◆世界選手権のステージの感想
まず日本のステージと違う点がいくつかありました。
①ステージの登場が逆からである事。
②横に極端に長いステージでサイドウォークが長くビキニ選手はハイヒールウォーキングの良し悪しが審査員に分かり易い事。
③会場がガラス張りで外の天候や光がステージに影響しやすく、日中と夕方以降では身体の見え方が違う事。
④それに伴いカラーリングの色やオイルアップの感じを考慮しないといけない事。
⑤いつもの世界選手権より人数が多く1500人もいる大会だった為に時間がかなり押した事。
国際大会には6回目の出場ですが1番色々工夫が必要な大会でした。ただ、帯同の先生方や代表選手の皆様に協力頂き落ちついて対処できました。
◆大会が終わった今の気持ち
前回3位から順位を落とし5位だった事は悲しい事でしたが、前回の3位がまぐれではなく、カテゴリー出場人数が倍近く増えても安定して世界で入賞できる力が自分にある事を確信できた大会でした。
◆世界選手権に出場してみて、海外の選手との間に感じた違いとは
毎年ビキニフィットネスのポージングや身体作りには流行があるものだと思っています。一時期ヘビーボトムなバランスが流行った事もありましたが、今は本来のビキニフィットネスの身体のバランスに完全に回帰している感じがしました。筋肉の大きさを求めるのではなく、細い華奢な感じを残しつつも良く鍛えて引き締まり、メリハリある身体がビキニフィットネス選手に求められていると思います。
◆世界の選手と並び、見えてきた課題
以前から引き続き私の大きな課題ですが、臀筋が足りていない事を痛感しています。今回、脚のキレ具合を考えるともう1キロ落とした状態で仕上げたかったのですが、1キロ落とすと足りていないお尻の丸みが更に無くなるためできませんでした。これから来期に向けて、後ろに出っ張るお尻を目指して臀筋のトレーニングを頑張らなくてはいけません。
あと、ステージでは脚の力が抜けてしまうシーンがありました。特に世界選手権ではフロントポーズをとらされる時間が長く勝負の時となりますので、長い時間立たされいてもずっと力を入れたままにできるポージングの持久力を身につけたいと思います。
