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砂時計体系の筋肉美を持つ白井「優勝して肩の荷が下りました」とはいったい!?

東京ボディビル選手権で2019年、3年連続2位という惜敗が続いた白井大樹。本人は「また2位か」というプレッシャーは大きかったという。しかし、昨年の勝利は例年と何か違う理由で掴めたものかというと、そうでもなかった。(月刊ボディビルディング2021年11月号から修正引用)

取材・文:月刊ボディビルディング編集部 撮影:中島康介

「『また2位で呼ばれてしまうのか』と、内心2位で呼ばれる準備はしていました」

――第56回東京ボディビル選手権(以下ミスター東京)優勝おめでとうございます。今の気持ちはいかがでしょうか?
白井 嬉しいというよりも、ホッとしたというか、安心したというか、ようやく肩の荷が下りたなっていうのが一番です。
――なぜ、肩の荷が下りたのですか。
白井 正直、ミスター東京で優勝したいというのがそこまでありませんでした。できたらいいな、自分に番が回ってきたらいいな程度の気持ちで出ていました。何がなんでも優勝という気持ちはありませんでした。ただ、東京で一度2位になってから、‟次は優勝”という気持ちが強くなってしまったんですね。初めて準優勝したときも優勝は狙っていなくて、急に順位が上がっちゃったなというのが率直な感想でした。
――横川選手が優勝した2017年のミスター東京ですね。
白井 当日の前から、「どうせ横川尚隆選手が優勝だよな」と思っていましたからね。ミスター東京の前に関東ボディビル選手権で2位になりましたが、全然絞れていないと言われ、こてんぱんにやられてしまいました。それで、カリッカリに絞ってやろうという気持ちになり絞ったら、17年は前年の11位からジャンプアップして2位になりまして、来年は優勝という雰囲気になっていました。自分も優勝しなきゃと多少は思いました。
――東京で優勝するというのは、周りからのプレッシャーもあったのですね。
白井 周りからの期待が一気に膨れ上がってしまったのが大きかったです。もし、翌年のミスター東京で一気に順位が下がっていたら、それはそれで落ち着くじゃないですか。でも、2位になれたんで、来年こそはってなるじゃないですか(笑)。その後に、東日本と関東で優勝できて、関東ではミスター東京で優勝した松本(美彦)選手が2位で、自分が優勝したので、その流れでその年の全日本学生ボディビルのゲストに呼んで頂きました。そのときのインタビューで、「この大会に出てる選手で、おそらく来年あたりミスター東京で優勝する選手がいると思うんですよ」と言いました。相澤隼人選手ですね。もし出てきたら絶対勝てないと思っていました。なので、19年も正直なところ勝てないと思いました。そしたらまた2位になって、また来年というプレッシャーがありました。2位でコールされると、「悔しい」というかは、また1年間「次は優勝だ」と毎回思うようになりました。そんなこともあり、一昨年はコロナ禍で大会が早々に中止になりラッキーと思いました。
――2位になるプレッシャーは優勝よりも重そうです。
白井 今年もポーズダウンでトップ2が残るとき、横川選手、松本選手、相澤選手の顔が脳裏にポンポンポーンと浮かびあがり、「また2位で呼ばれてしまうのか」と、内心2位で呼ばれる準備はしていました。そしたら呼ばれなかったので、優勝してホッとできたという気持ちです。
――ただただプレッシャーから開放されたという気持ちですね。
白井 そうですね。優勝が決まった瞬間、涙もなにも出なかったですね(笑)。
――今回は08年の佐々木卓選手以来の高身長選手優勝になります。
白井 自分はベンチプレスのためにトレーニングをやっていて、気が付いたらここまで来ていまして、周りからの声もあり出ていました。よく聞かれるのは、「高身長の選手は何が必要なのか」ということですが、正直分からないんです。自分は好きなことしかやっていませんし、BIG3の中でもベンチプレスを伸ばし続けていたらこうなったというだけなんです。あとは、もともとウエストが細いので、それに助けられていると思います。
――白井選手は、よく砂時計に喩えられることがあります。
白井 自分はプロポーションだけでここまで来れたのはあると思います。ちょっと甘くても、ウエストが細いからごまかせるみたいな感じですかね(笑)。
――実際、ジャパンオープンからもう二絞りくらい仕上がりはよくなっていたように見えましたが、何をしてきたのでしょうか。
白井 ジャパンオープンは、初戦でどうせダメだと思っていたので、前哨戦として出ました。ジャパンオープンが終わってから、ミスター東京まで2㎏は落とす必要があると分かっていたので、そこから一気に気持ちが変わりました。何をやったかといえば、夜ご飯にお米を追加したのと、食事の目玉焼きを2個から3個にしたくらいですね。
――感覚的に減量を行うタイプですね。
白井 そうです。減量方法なんてぜんぜん知らないですよ。とりあえずベーシックな減量はしてきたと思います。高たんぱく質、低脂質、そこそこの炭水化物みたいな感じでしたね。有酸素運動はあんまりやらなかったですね。ただ、昨年は今までで一番トレーニングができなかった年でもありました。
――それは忙しさなどからですか。
白井 腰を痛めてしまったのが理由です。筋肉が張り過ぎちゃって、急に痛くなってしまいました。しゃがもうとしても痛かったです。なので、ジャパンオープンが終わってから、スクワットをローバーからもともとのハイバーに変えました。一昨年8月に、ローバースクワットを練習しよう!となり、ハイバーで180㎏8レップ3セットをノーベルトで達成するというのが目標でしたが、達成できたので、今度はローバーでやってみました。そしたら重量が伸びるんですよね。それで、ジャパンオープンの1カ月くらい前まで、190㎏でセットを組めていたのですが、大会前のあるときに130㎏でアップしていたら、突然痛くなってしまって、ジャパンオープンまでズルズル引きずってしまいました。どうしようかと思ってハイバーにしたら、途端に痛みが抜けたので、そこから本調子になっていきました。
――それで、昨年の次の目標はやはり日本選手権だったのでしょうか。
白井 うーん、正直出たくないと思っていました。周りには出てほしいと言われているので、調整を進めていましたけど、自分自身はしばらくボディビルに出たくなかったのが今の気持ちでした。
――それは先にも述べたように、周りからのプレッシャーが原因ですか。
白井 それもあるのと、自分はお酒が大好きなんです。夏は夏のお酒を飲みたいですし、秋は一夏越えたお酒があります。でも、日本選手権に出るとなると、それが飲めません。それは悔しいので、そういうことから出たくないと思っています。
――日本選手権のタイトルよりもお酒の方が大事ということですね。
白井 はい、その通りです。だって、絶対タイトル取れないですし、なんで自分が出ているんだろうなと思ってしまいますから。日本選手権に出ている方たちの凄さはよく分かっているので、勝てないのは分かっているんです。また、自分自身としては、ミスター東京のタイトルを取るという目標まで来たので、もういいかなという感じです。とりあえず、今はこの先のオフシーズンのお酒のことばかり考えています。
――ちなみに、宮畑会長から何かお言葉はありましたか。
白井 ミスター東京の表彰で金メダルを頂く際に、「ようやくだね」と言われました。自分は、「お待たせしました!」と返しましたが、それだけですね。でも、宮畑会長も安心したと思います。そのやり取りで、本当の意味で肩の荷が下りましたね。

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佐藤奈々子選手
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