7月18日に開催された「第36回東京クラス別選手権大会」に出場した84歳の荒川正雄選手が、ボディビルマスターズ70歳以上級で4位となった。今大会の出場選手の中で最高齢となった荒川選手は、どんな思いでコンテストに臨んだのか。肉体づくり、ボディビルへの情熱を聞いてみた。
50歳から肉体づくりを始めた荒川選手は、34年間ずっとトレーニングを欠かしてこなかったという鉄人だ。東京クラス別は1990年に開催された第9回大会から今回の36回大会まで、すべて出場をしてきたというから驚きだ。
「登坂勉さんという有名な方がいて、登坂さんが出場した年に50歳のクラスができて、私もエントリーしました。準優勝して、翌年も準優勝、3年後の11回大会で優勝して、それからずっと東京クラス別に出ています」
妻と2人暮らしの荒川選手にとって、ボディビルはライフワーク。月曜日から金曜日までトレーニングジムへ通い、鍛え続けている。妻はトレーニングをしないが、毎回、大会へ応援に駆けつけてくれるそうだ。
「脊柱管狭窄症がかかってからトレーニングを始めて克服しましたが、こうして年を取っても若い人と一緒に舞台に立てること、10歳以上も下の選手と競い合えることが幸せですね。いくら笑われようが、順位とか関係ないんですよ。次は北海道で行われる8月の全日本マスターズの80歳で出場します。毎年、妻と一緒に北海道へ行って、温泉に入るのが楽しみなんです」
年齢を重ねると、とくに下半身の筋肉は一気に衰えるというが、「そうならないように鍛えています。疲れが残らないようにうまくローテーションして部位を分けて鍛えています。でも、足の爪先に痺れがあって、うまく立てない時もあります。それでも、キープできている方だと思いますよ」とアンチエイジングを証明し続けている。
最後に何歳までトレーニングを続けるのか聞くと、「できれば90歳になってもやりたいですね。大会に出ないと目標がなくなってしまいます。だから私は、これからも動ける限り大会に出場しますよ」と満面に笑みを浮かべた。
取材・文:松井孝夫 撮影:中島康介