コロナ禍により、多くの人が出入りする場所を回避するなどの理由から、自宅でトレーニングする人も多いようだ。ジムへ行ったときには100kgのベンチを挙げたい!そう思う人のために、まずはその前段階として自重でのベンチを可能にする筋力を自宅トレで身につけよう !そこでお願いしたのが、2019年世界マスターズ選手権メンズフィジークオーバーオール優勝の超絶実力者である田村宜丈選手。世界チャンピオンの経験値を基にした自宅胸トレ強化策を伝授願った!ポイントは「いかに強度を上げるか」だ!2回目となる今回は、負荷を増やす方法と手幅について。
取材・文:岡部みつる
【写真】世界と闘う!メンズフィジーク田村宜丈選手の筋肉美ボディ
負荷を増やすためのバリエーション
身体を下ろした際に、身体を足元方向へずらします。着いている手を基準に考えると、身体に対してハンドルを上方向へずらした形になります。自然と肘は開きます。次は今行ったのとは逆に、身体を頭の方向にずらします。着いている手を基準に考えるとハンドルを足元方向へずらした感じになります。肘は自然と閉じる形になります。これは、まず身体を真下に下ろした後、床からの高さを保ったまま体幹を床と平行に身体の軸の上下方向(足元に向けて、頭の方に向けて)にスライドさせるというやり方になります。身体を下ろす、下ろしたまま身体を足元方向にスライドさせる、そのまま頭の方向にスライドさせる、元の位置に戻る、腕立てをしてスタートポジションへ戻る、で1レップとします。もしくは、身体を下ろした位置で数回身体を前後にスライドさせても良いでしょう。身体を下ろしたときに、多少身体を多少バウンスさせるのも効果があります。それらの動きを組み合わせて1レップとしても良いかも知れません。
手幅を変えて行う
手幅を変えて行うのも非常に良いバリエーションのつけ方になります。狭くすると三頭筋の関与が強くなり、広くすると大胸筋に効きやすくなります。色々な手幅で行なえば過不足なく、オールラウンドに鍛えることができます。
◆Checkポイント!
ここで重要なことは、自分でどこに効いているかしっかりと感じ取ることです。実際にジムへ行ってべンチプレスを行う場合、細かな効きを感じ取るのは難しいかも知れません。100㎏以上の前段階としての、自重べンチを目標に取り組んでいるという仮定ですが、器具を挙げるという場合、そちらに意識が行きますから身体の反応まで気が回らないかも知れません。また、この手幅だったらここに効くとか、こうやるとここに作用するといっても、個々の身体の骨格や筋肉のつき方などにより個人差があります。例え、世界チャンピオンである田村宜丈がそういったからといって、あなたも同じよう感じるとは限らないのです。しっかりと自分でどこに効いているかということを感じ取りつつ、取り組んで頂きたいと思います。自重トレの利点の一つは、そういうことまで神経が行き渡る重量でのトレーニングであることだと思います。
田村宜丈(たむら・よしたけ)
1972年11月2日生まれ、北海道出身、身長168cm。2018年世界マスターズ選手権優勝、2018年世界選手権準優勝、2018年アーノルドEUマスターズ総合優勝、2019世界マスターズ選手権メンズフィジークオーバーオール優勝、2021年オールジャパンメンズフィジーク40歳以上級172㎝以下級優勝、IFBB世界選手権マスターズメンズフィジーク45~49歳級優勝
執筆者:岡部 みつる(オカベ ミツル)
昭和の終焉に渡米。’93年、米マスキュラーデベロップメント誌のチーフフォトグラファーとして年間契約。’96年からMOCVIDEOを設立「オリンピアへの道」をはじめロニーコールマン、ジェイカトラーなどトッププロビルダーのDVDを制作。’08年に会社を売却し帰国。マッスルメディアジャパンと協力し「Mr.日本への道」をはじめ鈴木雅、田代誠、合戸孝二、ジュラシック木澤といった日本のトップビルダーの撮影や編集に携わる。標高634mの鹿、不如帰、ヒグラシに囲まれた山中にワイフと愛犬サチとの3人暮らし。YouTube『ミッツTV』で撮影裏話など配信中。’92NPC-Mr.L.A. ライト級優勝。