2020年の『ゴールドジムJAPAN CUP』では日本体育大学の3年生、柿夏芽選手がビキニフィットネスでオーバーオール優勝を果たし、当時『ビキニ日本一に輝いた女子大生』として話題を呼んだ。翌年の2021年もJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)の『オールジャパン選手権』ビキニフィットネス24歳未満級と35歳未満163cm超級で2冠を果たし、日本を牽引する新世代の選手として活躍が期待された。しかし2022年は『日本ジュニア選手権』でまさかの2位。そのまま表舞台から姿を消したが、2023年『ゴールドジムJAPAN CUP』で久しぶりにステージに立つことが決まった。
柿選手は姿を消すきっかけとなった2022年をこのように振り返る。
「昨シーズンは社会人1年目の年でした。私は大好きなトレーニングを仕事にしようと、パーソナルトレーナーになり、朝から晩までトレーニング指導に明け暮れて自分のトレーニングはほとんどできない日々を過ごしました」
しかし、トレーナーとして、日本女王として大会を欠場できないという義務感から、減量もトレーニングもできていない状態で『日本ジュニア選手権』に出場し、敗戦を味わう。
「ステージが楽しくなくて、もう競技から離れようと、そう思った一戦でした」
“大好きなことを仕事にする”と決めて就いたパーソナルトレーナーの道だったが、徐々に「自分には違う働き方のほうが向いている」と思うようになった。
「好きなことを仕事にすることが幸せだと思っていました。ですが私は、好きなことが仕事になった途端、それは好きなことではなく“義務”に変わってしまいました。このままでは人生を楽しめないと思い、転職し、"好きなことのために仕事をする"ライフスタイルに変えようと決意しました」
今年、パーソナルトレーナーから転職した柿選手。
「ゴールドジムに再入会し、今では最低でも週4日は通えています。一度、フィットネスから離れていた身として感じることは『疲れているときこそ、身体を動かすことで疲労が抜ける』ということです。競技をしていなくてもトレーニングには多くのメリットがあると気づくことができました」
そして、柿選手は『ゴールドジムJAPAN CUP』で久しぶりに復帰すると明かしてくれた。
「今年大会に出たいと決めた際、まず第一に楽しみたいと考えました。そう考えたときに思い出したのは、デビュー当時の記憶です。『ゴールドジムJAPAN CUP』は、私のデビュー年に、初めて日本一をいただいたステージです。"誰でも参加できる"マッスルゲートは、当時大会初心者だった私でも不安に感じない選手ファーストな運営、サポートがありました。また、誰がステージに並ぶか分からないワクワク感も"誰でも参加できる"大会ならではの魅力だと思います。このような理由から『ゴールドジムJAPAN CUP』への出場を決めました」
初代女王としてプレッシャーも強いだろう。そのなかで柿選手は結果にこだわりつつも楽しみたいと答えた。
「大会を終えたときに、『この競技を続けていてよかった。楽しかった!』と心から感じることができたら目標達成です。もちろん競技ですので、優勝を狙い全力で準備しております。ですが、この競技を通して得られるモノは順位以外にもあります。その価値と幸せに気づき、感謝できる人間になりたいと思います。応援していただけたら幸いです!」
取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介