5月24日、京都パルスプラザ・稲盛ホールで『ベストボディ・ジャパン2026京都大会』が開催された。ミス・ベストボディ部門レディースクラス(30歳~39歳)では、伊藤夏希(いとう・なつき/31)さんが準グランプリに輝いた。
【写真】伊藤夏希さんのメリハリのあるボディライン(バックポーズ含むステージ写真5枚)

物欲よりもきれいな身体の女性になりたい
「3年間の専業主婦生活を経て、一度は諦めかけたウエディングプランナーという夢の職業に復帰しました。働いて、自分で稼いだお金で一番したかったことは、鞄や靴を買うことではなく、自分の身体を女性として魅力的な身体に戻すことだったので、自宅近くのパーソナルジムに行くことにしました」
2023年夏、身長155cm体重62kg。出産前から13㎏増のスタートだった。
「写真を見返すと『かわいい』と思うくらいぽにょぽにょで、キューピーちゃんみたいな体型になっていました。週2回1時間のパーソナルでは、下半身メインで見てもらいました。脚トレのときは狙った部位に入るようにトレーナーにフォームを確認してもらいながらやりたかったからです。主にブルガリアンスクワットとルーマニアンデッドリフトに取り組みました」
パーソナル以外に週2、3回は一人でジムに行き、上半身と下半身に分けて30分~1時間、4種目4セットのトレーニングに励んだ。
「食事はむちゃくちゃでした。チョコレートとカフェオレが大好きで、毎日欠かさず食べていました(笑)。夜、夫が晩酌する横でお菓子を食べる。唐揚げ弁当、カレーも食べるし、パンが大好きで小麦を大量摂取していました。そんな食生活を和食中心に改め、調味料や食材も無添加無農薬のもの、瓶で保管できるものを積極的に取り入れるようになり、お菓子は和菓子以外買わなくなりました。ですが、食べないとトレーニングができないのでお米をしっかり食べて食を整えることを意識し、お味噌汁も飲むようにしました」
4、5カ月経つと身体がすっきりしてきた。30代に突入する前にふと自分の人生を振り返り、伊藤さんはボディコンテストに出ようと決意した。
やり遂げたことがない人生~コンテストへの思い
「私は今までの人生で胸を張ってやり遂げたことが何もありませんでした。中学校でバレー部に入ったけれど最後までやらずにやめてしまったし、高校も大学もまともに受験勉強せず、入れるところに入っただけ。主人は日本拳法を高校から大学卒業までやっていて、今も空手の先生をしています。主将としてやり遂げてきたことや、発言の器の大きさが自分と比べてあまりにも違いました。このままの私ではロクな大人にならない、主人に見合う女性にはなれないと思いました。何かをやり遂げたと胸を張って言えることを見つけなければ、と思いました」
伊藤さんは大会挑戦の意志をトレーナーに話した。
「トレーナーは、『伊藤さんが出るなら僕も一緒に出ます。ただし、コンテストに費やす時間も必要だし、夫婦喧嘩もするだろうし、お金もかかります。ご主人に話してOKが出たら一緒にがんばりましょう』と言ってくれました。主人に伝えると、『家のことは俺がやるからやりたいことは全部やりやー!』と背中を押してくれました」
2024年1月、52.8kgから減量スタート。6月奈良大会当日には46kgまで落とすことができたが予選落ち。昨年は奈良大会4位、神戸大会3位。週末はフリーランスのウエディングプランナーとして働きながら、昨年8月からは自身のトレーニングと並行して身体の勉強をしながら働ける仕事を探した結果、平日はジムでトレーナーとしてバランスボールを使った腹筋や体幹トレーニングのレッスンをするようになった。
苦しんだ20代が終わると明るい30代が待っていた
伊藤さんは24歳で妊娠、出産している。
「ウェディングプランナーという憧れの職業に就き、これからがんばるぞ、というときに妊娠がわかり仕事を辞めざるをえませんでした。元々アトピーがあり産後は全身蕁麻疹が出てしまい、あざまみれで搔きむしって出血が絶えず、身体も心もぼろぼろ。毎朝自分の血がついたシーツを洗う日々でした。周りの20代のみんなはキラキラしているのに、私は毎日泣きながら授乳していました。あのころが一番辛く、苦しい時期でした。そのころの私に『今、踏ん張って生きていたら、夫婦でたくさんの壁を乗り越えて、30代やっとここまで来れたと思える未来が待っているよ』って伝えてあげたいです」
伊藤さんは自分と向き合い、自分の中でずっとコンプレックスに思っていた過去の経験を払拭するために、10日間の瞑想リトリートに参加した。誰とも話さず、スマホも手放し、1日10時間以上ひたすら瞑想する生活を経て、自分と周りを比べることでどれだけ自分で自分を傷つけてきたか考えたそうだ。
「私が今見るべきものは、周りの人が買ったものや食べたものじゃない、目の前の息子と主人の笑っている顔を見る時間が一番大切だと気付きました。そう気づいたときに、SNSと距離を置くと、主人と晩酌したり、息子の顔を見る時間が自然に増えました。今思うと必要な経験だったと思えますが、20代にはもう二度と戻りたくないと思うほど、今が一番自分らしく生きています。もっと早く気づけばよかったと本当に思いました」
伊藤さんは京都大会の前日、「ママ、今度こそグランプリ獲れるかなぁ」と6歳の息子に聞いた。
「ママは一番じゃなくてもかっこいいよ」。
準グランプリの結果にご主人は言った。
「今回2位でマジでよかったな。今回グランプリだったら、この悔し涙は流せなかったんやで。この気持ちを知ることはなかったんやで」
伊藤さんはその言葉に救われた。
「息子には、親として背中で魅せる母親に、主人には妻としていつまでも愛される女性になるために、これから起こるかもしれないさまざまな困難も家族で乗り越えて、人間力を高めたいと思います」
人生で大切なことは何かをコンテストに挑戦する過程で気づいた伊藤さんの話は、本当に大切なものは何か、私たちにとっても改めて考える機会になりそうだ。
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取材:あまのともこ 撮影:岡暁
主に『FITNESS LOVE』で執筆中。2021年~2025年JBBF登録選手。JBBF京都府オープン大会ビキニフィットネス(身長別)3位。マッスルゲート四国大会ビキニフィットネス2位。










